・ ツンデレが裸にチョコ塗ってリボン巻いて「私を食べて///」って言ったら その3

「キャッ……アアアアアアッッッッッ!!!!」
「おわっ!?」
 私は思わず、バスタオルでギュッと身体を包みながら絶叫した。
「兄さんのバカッ!! 早く電気を消してよっ!!」
 その言葉に、反射的に兄はスイッチを消すと、同時に私に背を向けた。再び、流しの蛍
光灯だけが、部屋を薄明るく染める。
「ちょっと待て、敬子!! お前、何て格好して――」
「言わないでっ!!」
 兄の質問を、私は一喝して封じ込めた。私が今、どんなに変態なのかは百も承知である。
そんなこと、いちいち兄に聞かれたくなかった。
「私がいいと言うまで、兄さんはしゃべらないで下さい。いいですか?」
 質問口調ではあったが、私は断固として言った。兄が何か言葉を発せば、それだけで私
の馬鹿げた行為に対する矜持は飛び、私は部屋を飛び出してしまうかもしれない。
「わ……分かったよ。まずはお前がしゃべれ。言いたい事を全部言い終わるまで、黙って
るからさ」
――ありがとう。兄さん…… 心遣い、感謝します……
 内心で、兄にそっとお礼を言った。
 ここからが、勇気の見せ所だ。逃げるわけには行かない。どんな結末が待っているにせ
よ、真正面から立ち向かわなければ。
 ギュッ、と両の拳で、タオルを強く握る。
「兄さん…… 兄さんを、ここに呼んだのは…… 渡すものが、あるからです……」
 私の言葉に、兄の反応は無い。言った事を、キチンと守ってくれているのだ。一呼吸置
いてから、私は続けた。
「もう……日付は変わってしまいましたが……私からの、バレンタインチョコです」
 言ってしまった。後は、もう……与えるだけだ……
「こっちを……向いて下さい。兄さん……」
 私の言葉に、兄の肩がビクッと震えるのが分かった。
「そっちを向けって…… い、いいのか?」
 兄も緊張しているのだろう。年頃の妹が、バスタオル一枚でいるのだから。
 だけど、向いて貰わなければ……困るから……
「私が向いてって言ってるんです!! 遠慮なんて……しないで下さい……」
 ゴクリ、と喉が鳴る。
「そうか。それじゃあ……向くぞ?」
 兄からの確認の言葉。しかし、私の返事を待たずして、兄がゆっくりと振り向くのが見
えた。それに合わせて、私は、肩からスルリとバスタオルを落とす。
 兄の目の前に、リボンを巻き、チョコレート塗れになった私の姿が、薄明かりに照らさ
れて浮かび上がった。
 兄が、息を呑む。口が半開きになっているが、言葉が出ないようだ。
 私は、両腕で胸を覆ったりする事無く、全身を曝け出したままで、兄の方を向いたまま、
ゆっくりと、言った。
「兄さん…… 私を……私を、食べて下さい……」


――言った……言ってしまった……
 私は、全身を硬直させたまま、兄をジッと見据えていた。真冬に全裸でいると言うのに、
身体は火のように熱い。胸に掛かったチョコは、身体を起こした時から腹や脇に垂れてい
て、その感覚がくすぐったい。心臓は無論、早鐘のような鼓動を止めていない。
 だというのに、何故か私は、さっきまでと比べると、何か吹っ切れたような、そんな力
強さを身の内に持っていた。
 兄が、動揺しているせいかもしれない。私の姿を見て――言葉を聞いてから、兄はまだ、
一言も言葉を発していない。きっと混乱して、動揺しているんだと思う。そして私は、最
高に恥ずかしい一言を、既にもう言い終えてしまった。その事が、私に度胸を与えている
のだと思う。
「兄さん」
 全く微動だにしない兄を前に、私はもう一度言った。
「私の、チョコレート……受け取って……貰えますか?」
 二度目の要求に、兄がハッとしたように体をビクッと震わせる。
「ああ……って、いや、違う。ちょっと待て」
 無論、兄は私を問い詰めたい事は山ほどあるだろう。そんな事は分かっている。
 だけど、私も真剣なのだ。伊達や酔狂じゃ、こんな真似は出来やしない。
「嫌です。待ちません」
 私はキッパリと言い放った。そして、兄の機先を制して立て続けに言葉を発する。
「兄さんの聞きたい事なんて大体分かっています。言っておきますが、私は正気です。そ
して冗談でも何でもありません。私は……真剣ですから……」
 最後は、少し言葉が震えた。事実上の告白宣言みたいなものだ。本気だと言う事は、取
りも直さず、そういうことなのだから。
 私の言葉を聞き、兄は小さく吐息をついた。どうやら、思考の硬直から回復したらしい。
「お前の言い分は分かった。じゃあ聞くけどな。何でこんな事を……? 何が、お前にこ
こまでさせているんだ? 俺には……その……」
「分かりませんか?」
 私の口調が若干キツくなった。これで分からないとなれば、兄は余程の鈍感だ。
 しかし、兄は首を振った。
「普通なら分かるさ。だけど……お前は……妹で……」
「妹でいけませんか? 妹だから……兄さんを好きになっちゃいけないんですか?」
 詰問するように、私は兄に聞いた。不安で声が震える。やっぱり……垣根は越えられな
いのだろうか?
 私は、こみ上げる悲しみを抑えきれず、言葉の奔流となって迸り出た。
「確かに私は……兄さんの妹です!! でも……でも、好きなんです!! 兄さんの事が
…… 負けたくない。誰にも負けたくない……理沙先輩にだって……だから、こんな……」
 最後は涙声になってしまった。言葉が詰まってこれ以上は言い出せなかった。
「と、とにかく落ち着け。な?」
 動揺した声で言うと、兄は私にバスタオルを掛けようとした。しかし、私は手でそれを
振り払った。
「見せ掛けだけの優しさなんていりません!! 兄としての優しさも……いりません!!
兄さんを、一人の男として……聞いているんです。私を食べてくれるんですか? くれな
いんですか?」
 目からボロボロと涙が零れ落ちる。
「もし食べてくれないんなら……兄さんの手は借りません。一人で……全部片付けますか
ら、兄さんは部屋に戻ってくださって結構です……」
 多分、みっともないほどに取り乱して、大声でワンワンと泣きじゃくって、子供のよう
に暴れるから。
 しかしその時、不意に兄の手が、私のおなかに掛かっていたチョコレートに伸びた。出
し抜けに、スッと指で掬われる。
「ひゃっ!?」
 予告無しの、いきなりの行動に、私はたまらず声を上げた。
 兄は、指で掬ったそれを、口元に持って行き、ペロリと舐める。
「……意外と甘くないな。ほろ苦といったところか…… 俺好みの味だな」
「いきなり何するんですかっ!! お……驚かせないで下さい!!」
 不意打ちの行動に、私は兄を詰った。しかし、兄は、穏やかに私に対して笑って見せた。
「……食べさせてくれるんじゃ、なかったのか?」
「兄さん――!?」
 兄の言葉に、私は驚いて顔を真っ赤に染めた。いや、自分でも染まったのが分かるくら
いに熱くなったと言った方が正しいか。
「兄さん……それじゃあ……私を……」
 事、ここに至って、私は信じられないような気持ちに襲われていた。
――本当に……兄さんが、私を……受け入れて、くれるなんて……
 兄は、ちょっと恥ずかしそうに、私から視線を逸らした。
「正直……ここまで大胆な事されなくたって……敬子のくれるチョコは、いつだって一番
だったんだけどな……」
 また、兄の言葉にドキッとしてしまった。
――それじゃあ……以前から、兄さんも……
 しかし、それは俄かには信じられなかった。そして、その想いは、すぐさま言葉になる。
「嘘です!! 嘘、嘘っ!! だって……兄さん、いつもたくさんのチョコを貰って来て
……理沙先輩なんて、あんな立派なチョコを…… 私のなんて、敵うはず無いのに……そ
んな、白々しいお世辞はいりません!!」
 興奮して私は喚き散らした。兄の褒め言葉が却って空々しく、もしかしたら、私を慰め
るために、同情であんな事を言ったのかと思った。だとしたら、そんなのは――最低だ。
 兄は、顔を上げ、真っ直ぐに私の方を見つめた。視線と視線が交錯する。
「お前……神野さんのチョコを……見たのか?」
 冷静なその一言に、私はハッとなった。私の行った罪――兄の貰ったチョコレートを勝
手に開け、中身を見て……さらに、メッセージカードを見てしまった事を――図らずも、
気付かせてしまった。
 もしかしたら、これで兄に、嫌われてしまうかも知れない――
 そんな不安が心を占め、私は反射的に叫んだ。
「済みません、兄さん!! 済みません……」
 また、目から涙が毀れる。後悔と言う涙が。
「でも……でもっ!! 今年は理沙先輩は本気だって……本気で、兄さんに告白するんじゃ
ないかって……そういう噂を聞いて……だから私、気になって気になって……だって……
兄さんを、取られたくないから……」
 こんな事は、言い訳にすらならなかった。自己中心的だと批判されても仕方が無い。
「失礼だなんていうのは……分かってます。こんなの……泥棒猫みたいだって…… 兄さ
んが、軽蔑なさるのでしたら……甘んじて受けますから……」
 最後は涙声で上手く言葉が出なかった。胸がキリキリと痛み、私は乳房の下の辺りを右
手で押さえ、さらにその腕を左腕で押さえて、自分を抱きかかえる姿勢になった。
 兄は、しばらく無言だったが、やがてポツリと一言言った。
「凄いよな。神野さんのチョコレートケーキ」
 その声には、単純に感嘆の響きしかなかった。私は、ゆっくりと顔を上げて兄を見る。
兄の視線は、遠いものを見るように、上の方を見つめていた。
「正直……ドキドキしたな。何せ、あれだけの本命チョコなんて、俺でも初めての事だし、
送り主は、学校でも随一の才媛だぜ。普通の男なら、間違いなく誰だってKOされる。俺
だってな」
 私は、胸が締め付けられるような痛みを未だに抱えながら、しっかりと兄を見つめてい
た。どんな辛い結末になったとしても、最後まで、兄の顔を見ていなければ。
 兄は、頭をこっちに向けた。そして、今までの中で、私が見たこともないような微笑を
浮かべて、言った。
「けれど……俺には、敬子がいるから。だから……残念だけど、お断りするしかないな」
「あ……」
 思わず、呻き声が漏れる。心の中が、安堵と、嬉しさで一気に満たされた。
「兄さん……それじゃあ……」
「敬子。お前からの……バレンタインチョコ。頂いても……いいか?」
 その言葉に、再び羞恥心が蘇る。様々な想いが渦巻き、心の片隅に追いやられていた感
情が。そして……今更ながらに、兄に全裸を曝け出していたという事実を、はっきりと自
覚させられて。
 しかし、私はコクンと頷いた。そして、両手を兄の方に差し出した。
「……どうぞ。私の身体は……兄さんの物ですから。自由にして下さって、構いません」
 兄も、私の言葉に、コクンと頷き返した。
「それじゃあ……遠慮なく、食べさせて貰うとするよ」
 そして、私が答えるより早く、兄は私が自分に掛けた、リボンの結び目を解いたのだった。


「あ……ひゃうっ!!」
 兄の舌が、私の乳房を丹念に舐めまくる。
「兄さんのスケベッ!! こんなところばかり舐めてばかりいて……」
「お前が、胸にばかりチョコを掛けるからだろ。だから舐め取るのに時間が掛かってるんだって」
「だってそれは……恥ずかしいから……ひゃんっ!!」
 兄が、チョコを舐め取る作業を再開する。特に、乳首の辺りを重点的に舐るので、私は
痺れるような感覚に興奮して、どんどん欲情が高まって行くのを感じていた。
「もういいでしょう? 他の所も……食べて下さい……」
「まだ全部食べてないんだけどなあ…… まあ、それじゃあこっちも……」
「やっ!? こ、今度は反対側……あっ……って、ダメェ……それは……」
 兄も抑えきれなくなったのか、舐め取った側の乳房に、片手を当てて揉み始める。しか
し、私の声を聞いて、手を離した。
「嫌だったか? 悪い。俺も、ちょっと興奮しすぎて……」
 しかし、私は首を振った。
「本当に嫌だったら……手で振り払いますから……だから……兄さんは、お好きなように
なさってくれれば……」
「そうか。なら……」
「あっ……ああっ……」
 右の乳房を舌で蹂躙されながら、左は手で捏ね繰り、弄られ続ける。果てしないとも思
われるその責めに、私は早くも昇天してしまいそうだった。


「ハッ……ハッ……ハァ……」
 乳房から腹へと、そして腰まで兄の舌での愛撫は続いた。そして、とうとう秘部にまで
及ぼうとした時、兄が顔を上げて言った。
「お前……下の毛……」
 今まで気付かなかったのか、兄がちょっと驚いて声を上げた。改めてそう指摘されると、
死にたいほど恥ずかしくなる。
「だって……毛の付いた、チョコなんて……いくらなんでも、食べたくないでしょう? だから……」
 言い訳するのも、恥ずかしくて堪らない。もう、消えてしまいたいほどだ。
「敬子の、サービス精神にはホント、頭が下がるよ」
「いっ……言わないで下さいっ!! そんな事……」
 兄を睨み付けて、私は怒鳴る。しかし、兄は微笑んだだけで、両手で膝を割った。自分
でもそうそうは見ない秘所が露になる。恥ずかしさに耐えようと、私は両手で顔を覆う。
兄の顔が、太ももの間に入って行く。そして――
「イヤッ!! あっ……ああっ……にっ……兄さ……激しすぎ……やあっ……」
 私は、あられもない嬌声を上げてしまうのだった。


 あらかたのチョコを舐め取った後も、しばらく兄は、私の身体を舐めるのを止めなかっ
た。正直、気に入ってくれるのは嬉しかったが、私の欲望は、当に限界を超えている。
「兄さん。いつまで……その……舐めてばかりいるのですか……?」
 私の言葉に、兄はようやく顔を上げた。
「ああ。悪い。何かその……名残惜しくてな……」
 そして、身体を起こそうとしたので、私は慌てて自分の身体を起こし、兄を引っ張る。
再び、兄が私に覆い被さるような格好になった。
「何を勘違いしているのですか。バカ兄さん。メインディッシュは……これからだと言う
のに……」
 ああ、もう。こんな事を、女の子に言わせないで欲しい。こういうところが、兄さんの
ダメなところで、同時に素敵な所なのだ。
「は? メインディッシュって……?」
 聞き返す兄に呆れてしまう。本当に、チョコだけ舐めて終わりにする気だったのだろうか?
「兄さん。私の言った事、覚えてますよね?」
 私に抱き締められ、身動き一つせずに兄は頷いた。
「あ……ああ」
「だったら、分かるでしょう。兄さんは……まだ、私を食べて下さっては、いませんよ……」
 うわ。言ってしまった。自分からおねだりをするなんて。でも、もう抑えきれないくら
いに私の欲情は高ぶっているのだ。このまま終わりなんて、考えられない。
 兄の背から腕を放し、兄を解放する。ゆっくりと身体を起こしてから、兄は私の顔の間
近まで顔を近付けて、聞いてきた。
「本当に……いいのか? 後悔……しないな?」
 この期に及んで聞き返す兄に、私はふくれっ面をして視線を逸らした。
「後悔するくらいなら……最初から、こんな事……しません」
 その途端、私の顔が、いささか強引に正面を向かされた。ハッと気付いた、次の瞬間に
は、私の唇が兄の唇で塞がれ、舌が私の口腔内に自然に侵入してきたのだった。

 そして、その後の事は、夢中でよく覚えていない。
 鮮明な記憶として残っているのは、喪失の痛みと、全身を愛撫してくれる兄の優しい手
付き。そして、絶頂時の快感だけだった。
 事が済んだ後も、しばらくお互いに愛撫やキスは続けていたが、ふと、思い立ったよう
に兄が言った。
「そう言えば……元々のバレンタインチョコって……ちゃんと用意してくれてたり、したのか?」
「え?」
 私が聞き返すと、兄が、ちょっと考え込むように言った。
「いや……お前の、全裸チョコはさ。神野さんに俺を取られたくないから、してくれた訳
だけど……元から、準備はしてくれてたのかなって? それとも、一緒に溶かしちゃった?」
 そういえば、兄の言葉で思い出したが、私の本来の兄へのバレンタインチョコは、まだ
机に入れっぱなしだったっけ。
 私は、ちょっと呆れたように、ため息をついた。
「私の部屋にありますけど…… 兄さん、まだ食べ足りないんですか?」
 そう聞くと、兄はニコッと笑顔を見せて答えた。
「お前がくれるチョコは、全部食べておきたいからな」
 その言葉が、何故か酷く嬉しくて、私は視線を逸らして、わざと不機嫌そうに答えた。
「でしたら、兄さんが勝手に取って来て下さい。私は、その……まだ、動けないので……」
 正直、今になって膣内が痛みで疼き始め、歩けないことは無いまでも、余り動きたくは
無かった。
「あれ? 歩けないのか?」
 ちょっと意地悪い口調で兄が聞くので、私は恥ずかしさと憤慨の入り混じった返事をする。
「兄さんが悪いんです!! 私は初めてだって言うのに……あんなに激しくするから……」
 しかし、兄にあっさりと切り返されてしまった。
「それにしては、お前だって夢中になって腰使ってたような気がするが……」
 兄の言葉責めに、私は羞恥心で耳まで真っ赤になる。
「しっ……知りませんそんな事!! とにかく、食べたいなら兄さんが勝手に取って来て
下さい!!」
 これ以上兄の顔を見ていられず、私は視線を逸らし、顔を反対に向けてしまう。
「全く……しょうがないなあ……」
 兄の呟きが聞こえる。と次の瞬間、背中と膝の裏に、兄の手が差し入れられるのを感じた。
「えっ!?」
 慌てて兄の方を振り返った途端、私の身体が、兄の力強い腕でグイッと持ち上げられる。
「きゃっ……きゃああっ!! な、何するんですか兄さんっ!!」
 動揺して兄を詰るが、さも当たり前のように兄は答えた。
「抱っこ。だって、歩けないんだろ?」
「ひ、必要ありません!! 兄さんが一人で行けばいいじゃありませんか!!」
 とはいえ、暴れる事もままならず、宙に浮いたままで私は為す術も無かったが。
 そして兄は、ニッコリと微笑んで言った。
「敬子の部屋で、二人で仲良く食べたいからさ。それに、ここだと寒いから。な?」
 そう言われると、私はもう文句を言うべき言葉を、何も持たなかった。プイッと視線だ
け逸らすと、不満気に答える。
「分かりました。兄さんがそう言うなら、勝手になさって下さい。私は知りません」
 すると兄が、ちょっと面白そうにこう答える。
「いいのか? それなら、勝手にするぞ?」
 私はコクン、と頷いた。
「構いません。だって……私は、もう……兄さんの物なんですから……好きになさって下さい……」
 そう言ってから、我ながら恥ずかしい言葉を言ってしまったと照れてしまう。
「よし。じゃあ、しっかり掴まれよ」
 兄の言葉に頷き、私は両手で輪を作って兄の首に掛ける。そして、兄は、私をしっかり
と抱いて、自室へと連れて行ってくれたのだった。
 
 そしてもちろん。二人でチョコレートを食べながら、朝まで愛を交わしたのだった。


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