二日目


タ「ふぁ〜………ん……起きないと……んしょ………」
ガチャ
か「ん? タカシおはよー」
タ「………」
か「? どうしたの?」
タ「いや……現実なんだなぁ〜って……」
か「ふふふw 朝からこんな美少女におはようって言われて嬉しい?」
タ「むしろ悲しいな。俺は一人の方が気楽でよか――」
ベシッ!
タ「いてっ!? 何すんだよ!?」
か「バカっ! そこは嘘でも嬉しいって言っとくのよ!」
タ「俺の座右の銘は『常に正直者であれ』だ」
か「せめて空気読める正直者になりなさいよ! バカっ!」
タ「バカバカうるさいぞ! はぁ〜、これだったらやっぱり一人の方がいいよ」
か「く……バカっ! タカシのバカっ!!」
タ「い、痛い痛い! 叩くな! それよりこんなことしてたら遅刻するぞ、遅刻!」
か「え? あ、本当だ」
タ「はぁ〜……もう……かなみ、朝飯はどうした?」
か「朝ごはん? まだ食べてないけど」
タ「そうか、じゃあ今から作るから待っててくれ。女の子だったら色々と用意がいるんだろ?」
か「え? あ……うん、そうだけど。アンタ料理できるの?」
タ「それなりにな。まぁ、朝飯なんて簡単すぎるから料理というほどのもんでもないけどな」
か「ふーん……(意外ね……)」

お食事中ですよ
タ「ほれ、できたぞ。スクランブルエッグ。サラダに牛乳。パンはお好みでバターとジャ
  ムをどうぞ」
か「へぇ〜、スクランブルエッグとか、結構上手じゃない。あむ……うん、おいしい」
タ「一人暮らしになったらこういうことも出来ないと駄目だろ? だからちょくちょくと
  練習してるんだ」
か「ふーん……あむ……おいし……」
タ「点数つけるなら何点くらいかな?」
か「そうねぇ……50点」
タ「あれ? 辛口?」
か「おいしいとは言ったけど、それはあくまでアンタにしては、ってことよ。アタシが作
  ったらもっと凄いわよ」
タ「へぇ、じゃあ今日作ってくれよ」
か「………え?」
タ「え?じゃなくて、作ってくれよ。今日の夕飯あたりにでも。お前の料理食ってみたいし」
か「い、嫌よ。何でアタシがご飯作んなきゃいけないのよ!? ここはアンタの家でしょ?
  アンタが作りなさいよ。めんどくさい」
タ「無理矢理入り込んできたのはお前のほうだろ? だったらかなみが作れよ。ていうか
  それくらいしないとおかしいだろ」
か「おかしかないわよ。アンタの脳ミソのほうがよっぽどおかしいわよ」
タ「なぁ、作れよぉ〜」
か「いーや! 絶対嫌っ!」
タ「ちぇ……あ、そろそろ出たほうがいいな。かなみ、行くぞ」
か「え? あ、ちょっと待ってよ」

通学路
か「いいわね? 皆には絶対に内緒だからね!? 言ったら消すわよ」
タ「どう消されるのか興味あるけど、うん。絶対に言わないと誓おう」
か「なんか信用ならないわね」
タ「どうすりゃいいんだよ」
か「まぁいいわ。一応信じてあげる。一応ね」
吉田「あ、かなみちゃん。おはよー」
か「あ、おはよー、吉田さん」
タ「ん、おはよー、吉田さん」
吉田「今日も二人で仲良く登校? おあついわねぇw」
か「なっ!? 何言ってんのよ!!?」
タ「あぁ、俺たちはもの凄くあついぞ。そりゃもう、一つ屋n――」
ギューーーーーッ!
タ「!?!?」
吉田「一つや……何?」
タ「いや、何でも。ちょっと言い間違えただけだ。気にしないでくれ」
か「ったく、タカシはバカね。筋金入りのバカね。ほら、吉田さん。こんなバカ放っとい
  て、さっさと登校しましょ?」
吉田「? う、うん……ねぇ? 別府君震えてない?」
か「気のせいでしょ? ほら、行こう行こう」
タ「………これは……死ぬかもしれんな……」



昼間は特に何事もなく進み……
放課後

か「さてと……帰るわよ」
タ「おぅ」
か「とは言っても、注意しないといけないわね」
タ「何が?」
か「アタシがアンタの家に入るの見られたら大変でしょ? そこんところどうするのか考えないと」
タ「めんどくせぇな。良いんじゃないの? 普通に入ったら」
か「嫌よ。変な噂たったら気分悪いじゃない」
タ「俺は別にいいけどね」
か「アタシが嫌なのよ! 考えてみなさい、アタシとアンタが理由はどうあれ同………どう…
  ……ど……ぅ……」
タ「どう?」
か「ど……ど……あ゛あ゛っ! とにかくっ! 嫌なものは嫌なのっ!! 分かったらアンタも
  どうすれば一番いいか考えなさいっ!」
タ「なんじゃそりゃ。まぁ、考えろって言ってもな……とりあえず俺が先に家入るから
  タイミングを見計らってお前も入ってきたら良いんじゃない?」
か「う〜ん……それしかないかな……」
タ「まぁ、細かいところは帰りながら考えよう」
か「そうね」

タカシ宅前
タ「それじゃあ、先に行っとくな」
か「うん。あ、鍵はちゃんと開けときなさいよ?」
タ「わーってるよ」
か「心配ね……」
タ「そこまでバカじゃないよ。じゃ」
か「あ……うん……」

数分後
か「……そろそろ良いかな? 人も大分減ってきたし……それじゃあ……」
ガチャ
か「よし。ただいまっと」
タ「おかえり。どうだった?」
か「うん。多分大丈夫だと思う。それより、何? その格好」
タ「? 何ってエプロンだよ」
か「もしかして夕飯作ってるの?」
タ「あぁ、お前が作ってくれないって言ったからな。ちなみに今日はから揚げな。楽しみにしとけよ」
か「え……あ……うん……(へぇ〜本格的なのもできるんだ……ちょっと格好良いかも……)」
タ「あ、さっき風呂沸かし始めたからあと10分か15分したら沸くとと思うから、先に
  入りたかったら入っといてくれ」
か「うん。わかった」

兄の部屋(かなみの部屋)
か「さてと……何しよっかな。結構暇ね……お風呂は……まだできてないか………
  ! そうだw タカシの部屋見てみよっと」

タカシの部屋
キィ……
か「おじゃましまーす………誰もいませんよぉ〜……」
カチャ(←電気を点けた)
か「うわ!? 汚なっ!? なにこれ、ぐちゃぐちゃじゃない……整理整頓くらいしなさいよねぇ〜
  ……さてと……まずは、机から……」
ガサゴソ ガサゴソ
か「ん? これ幼稚園の時の写真? うっわ……懐かしいw タカシったらちっちゃくて可愛いw
  あ、横にいるのは私ね。手繋いでる……あの頃はこんなことも普通にできたのね……」
ガサゴソ ガサゴソ
か「あれ? これってアタシの本?……なんでこんなところに………あ! これ昔タカシに貸したやつだ。
  タカシめ〜。返さずにずっと放置してたのね。後でとっちめてやらないと。さてと、次はドコ調べようかな……
  ベッドの下とかおもしろいかもw」
ガサゴソ
か「ん〜。流石にこんな分かりやすいところにはないか。タカシが隠しそうなところは……タンスの裏とか
  ありそうかも……あ! あった! タカシも単純ねぇ〜。どれどれ……うっわ……タカシこんなのが趣味なんだ…
  …す、すごい……よくこんな格好できるわね……こんなのまで!?……すごい……こ、こうかな……んしょ……
  …!? な、何やろうとしてるのよアタシはっ!? (////) これはもう忘れよう…………………駄目だわ。
  捨てとこう。うん。こんな巨乳ばっかりの雑誌。タカシが変に偏見を持たれたらたまったもんじゃないわ。
  捨てとこう捨てとこう。さてと……他には……」
居間の方から
タ「かなみ〜。晩飯できたぞ〜」
か「! あ、うん! 今行くっ!」

居間:二人で晩御飯
タ「ほれ、どうだ? 結構美味そうにできてるだろ?」
か「す、すごーい。タカシ料理の才能あるんじゃないの?」
タ「任せとけってw さぁ、たーんと食え。遠慮はいらねぇぜ」
か「うん。それじゃあ頂きます」
タ「頂きます」
か「モグモグ………ん! おいしい! このから揚げすごくおいしい!」
タ「だろw? 母さん直伝のから揚げだ」
か「むぅ……(こ、これってアタシ負けてるんじゃないの?……)」
タ「はははっ! どうした? 自分よりも俺のほうが料理上手くて嫉妬してるのかw?」
か「!? そ、そんなことあるわけないでしょ! アタシがアンタに料理で負ける? 
馬鹿にしないでよ。アタシは女の子よ。料理くらいできるわよ」
タ「だったらしてみてくれよ」
か「め、めんどくさいから嫌よ」
タ「そんなこと言って、実は苦手なのを隠そうとしてるんじゃないかw?」
か「ち、違うっ!」
タ「あやしぃ〜」
か「違うったら違うっ! バカっ!」
タ「証拠みせろよぉ〜」
か「く……わ、分かったわよ! 証拠見せればいいんでしょ!? 証拠を!」
タ「どんな証拠を見せてくれるんだ?」
か「そうね……明日、お弁当作ってあげる」
タ「マジで!?」
か「えぇ。そして、明日アンタに土下座させてやるんだから。『俺の方が料理は下手でしたぁ〜。
  ごめんなさいかなみ様ぁ〜』ってねw」
タ「おぉ〜。期待してるぞかなみ」
か「えぇ、覚悟しなさいよバカタカシ!」

食後
か「ごちそうさま」
タ「お粗末さまでした。皿洗いは俺がやるから、かなみは食器を持ってきてくれないか?」
か「いいわよ」
タ「サンキュー」
ジャー! ゴシゴシ…ゴシゴシ…
タ「ところでさ、かなみ」
か「ん? 何?」
タ「さっき風呂は入ったのか?」
か「え?……さっき……(タカシの部屋に潜入してたなんて言えないわね……)
    え、えぇ。入ってたわよ」
タ「そうか、わかった」
か「? 何でそんなこと聞くのよ?」
タ「これ洗い終わったら俺も入ろうかなって思ったんだけど、かなみがまだ入ってないんだったら、
  先に入ってもらおうかなって思ってな。ほら、女の子はお風呂長いじゃん。髪の毛のこととか色々とあるし」
か「あ……そ、そうね……」
タ「そんじゃ、これが終わったらゆっくりと風呂入るか」

かなみの部屋
か「さてと……お風呂入りたいけど、しばらくは無理ね……宿題でもしようっと」

洗い場
タ「ふぅ。やっと終わった。さてと、ゆっくりと湯船につかりますk――」
プルルルル! プルルルル!
タ「電話? 誰からだ?」

ガチャ
タ「はい。別府です」
野田『よう、タカシ。俺だ、野田だ』
タ「野田? 何の用だよ?」
野田『なぁ、今からちょっと遊べない? 人数少なくてつまんねぇんだよ』
タ「今から? 別にいいけど、俺もう飯食っちまったぞ?」
野田『あぁ、いいよいいよ。人数いるだけでいいんだよ』
タ「……なぁ、もしかして合コンとかそういった類のもんじゃねぇだろうな?」
野田『違う違う。普通に友達同士ではしゃいでるだけだよ。第一そうだったとしたらお前
   は誘わないよ。お前そういうのは絶対に来ないだろ?』
タ「ん……まぁ、そうだけどさ……わかった。どこ行けばいい?」
野田『サンキューw 場所は――』
タ「ん……わかった。なるべく早く行く」
ガチャ
タ「想定外だな。まぁ、いいけど……とりあえず着替えないと」

かなみの部屋
か(ん……トイレ行きたくなっちゃった……トイレ、トイレ)
ガチャ
か(ん? タカシ電話してる。迷惑にならないように静かにしないとね)

タ「さてと、用意できたし、行くか――あ、かなみに言っといたほうが良いよな」
かなみの部屋前
タ「かなみ。今からちょっと出かけてくるから」
…………
タ「? かなみ?」
…………
タ「寝てんのかな? 一応置手紙でも置いてくか」

玄関
タ「んじゃ、行ってきます」
ガチャ…

トイレ
ジャー……ガチャ
か「ふぅ〜すっきりした」

居間
か「あれ? タカシいなくなってる。お風呂にでも入ったのかな?」

時は流れて……
かなみの部屋
か「……よしっ! 出来たっ! さてと、それじゃあお風呂入ろうかな」

脱衣所
か「服は洗濯機の中に入れとけばいいか」
ガラガラ
か「うわー。懐かしいわね。全然変ってないじゃない。あ、これタカシがつけた傷だ。まだ残ってるんだw
  ふふふ……あの頃はタカシとお風呂でよく遊んだなぁ〜……今でもできるかな……はぁ〜、無理に
  決まってるか。今のタカシじゃエッチなことしか頭にないだろうし……別に……それでもいい……かな……(///)
  あぁっ! もうっ! 何だかさっきからアタシ変なことばっか考えてるっ! あ゛あ゛〜落ち着けアタシの頭ぁ〜…
  …もう……タカシのバカ……(////)」

玄関
ガチャ
タ「ただいまぁ〜。ったく野田の野郎……結局こんな時間になっちまったじゃないか……疲れたぁ〜。
  とっとと風呂入って寝よう」

脱衣所
タ「よいしょ……ん……」
ガサゴソ
タ「よし、入るか」
ガラッ

風呂場
ガラッ
か「へ?」
タ「え?」
か「…………」
タ「…………ぁ……」
か「………プチン」
タ「ぁ……あの……その……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
タ「ああっ!? オーラが! オーラが出てるっ! 禍々しいオーラがっ!!」
か「 コ ロ ス 」
タ「ぎゃああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ………………」

通りすがりのサラリーマン「うぃ〜w ヒック……ひぃ〜♪ ちょっと飲みすぎちゃったかなぁ〜wwww
             ひゃはははwwww ヒック うぃ〜……んぁ? よう、少年! 
             そんな ところで何してるんだい?」
タ「…………」
サ「そんなところでバンジージャンプなんかしてたら風邪引くぞ少年♪」
タ「…………」
サ「分かる。分かるぞ。オジサンも若い頃はよく無茶をしたもんだ。けどな、そんな格好で、
  そんなふうにぶら下がってたら色々人様に迷惑をかける。だから、やめるなら早目に止めて
  おいたほうがいいぞ?」
タ「…………」
サ「んん〜? 寝とるのか? なぁ〜んだ、つまらん。あぁ〜♪ もっと酒が飲みたいなぁ〜♪」
タ「…………グス……」


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