四日目

朝ですよ
か「ほら早くしなさいよ、イヌ!」
タ「い、イヌですか?」
か「下僕なんだからイヌで十分よ。ほら、ワンって言いなさいよ」
タ「い、嫌だよ」
か「今日雨降るらしいわよ? 宙釣りになったらさぞ気持ちいいでしょうね?」
タ「ワンッ! ワンッ!! クゥ〜ン……かなみ様ぁ〜」
か「よし。ほら、行くわよイヌ! 四つんばいで走りなさい!」
タ「キャンキャン! かなみ様、待って〜」
警官「ちょっと君。何気味の悪いことをしてるんだい?」
タ「げっ!?」
警官「と、思ったらお前は昨日の田代! やっぱりお前は○常者だったんだな!? ち ょ っ と 署 ま で 来 い ! 」
タ「ち、違う! 俺は異○者じゃなああああぁぁぁぁぁぃ………」
か「じゃあね〜。アタシは先に学校行っとくからねぇ〜♪」
タ「かなみぃぃぃぃぃ…………さま〜…………」

学校ですよ

荒井「今日も遅刻だったな? 体、どっか悪いのか?」
タ「いや……」
荒井「そのわりに、なんかゲッソリしてない?」
タ「…………」
荒井「た、タカシ?」
タ「……俺、死ぬかもしれない……」
荒井「???」

吉田「ねぇ、かなみ?」
か「ん? 何?」
吉田「アンタ、最近別府君と何かあった?」
か「何かって何よ?」
吉田「何かと言ったら何かよ。ケンカしたとか、告白したとか、○ックスしたとか」
か「!? そ、そんなわけないでしょ!? (////)」
吉田「ふーん……」
か「な、何よその表情は……」
吉田「……かなみってさ、別府君のこと好きなのよね?」
か「?!?!?!?! な、何言ってんのよ!? そ、そんな気味の悪いこと言わないでよ! 冗談は顔だけにしてよねっ! (/////)」
吉田「…………今、もの凄い酷いこと言われた気がするけど………ま、いいや。それよりかなみ。嘘は良くないわよ?
   本当は好きなんでしょ?」
か「ち、違う! 断じて違うわよ!!」
吉田「ふーん…………」
か「な、何よ……」
吉田「そこまで言うんだったら、別にいいわよね」
か「? 何が?」
吉田「実はさ、アタシ結構別府君のこといいな〜って思ってたのよね」
か「!?!」
吉田「だから、告白しちゃおっかなって思って」
か「………そ、そう……勝手にすれば?」
吉田「うん。勝手にする」
か「………………………………………」

放課後ですよ
吉田「かなみ。したわよ」
か「………? 何を?」
吉田「何って、告白よ。別府君への」
か「………え? う、嘘……」
吉田「嘘じゃないわよ。そう思うんだったら本人に聞いてみれば? ちなみにまだ答えはもらってないわ。
   明日、お昼にまでには答えを出すって言ってたわよ」
か「ほ、本当に……?」
吉田「本当よ。じゃ、バイバーイ」
か「…………(う、嘘?! うそウソ嘘uso!?! タカシに……告白した……!? 
  ……………うそ………これで……もしタカシがOKしたら………嫌! ……そんなの嫌っ!
  ……ど、どうしよう…………うそ……嘘………)」
タ「かなみ様。帰ろうぜ」
か「!?」
タ「? どうした?」
か「あ……う、うん………帰ろう……」
タ「? 何かあったのか?」
か「何にもないわよ……(な、なんでコイツこんなに普通なのよ………もしかして吉ちゃん嘘ついたんじゃ……
  訊いてみようかな……) ねぇ、タカシ」
タ「ん? 何?」
か「今日さ……吉ちゃん……吉田さんに何か言われた?」
タ「吉田さん? あぁ、言われたよ。いきなりあんなこと言われてもよく分からないっての」
か「!? (………本当に……告白………したんだ………) ねぇ、答えは?………どうするの?」
タ「どうする? どうするって言われてもな。あんなの初めてだし。いくら俺でも難しいって。
  とりあえず明日までには答え出すって言っといたけど。正直困ってるな。答えなんてでるかなぁ〜」
か「………そぅ………(まだ、迷ってるんだ…………)」
タ「? どうした? 何か元気ないぞ?」
か「大丈夫。心配しないで……」
タ「?」

夜:タカシ宅

ピンポーン
タ「? 誰だ? はーい?」
ガチャ
ち「こんばんは」
タ「ちなみちゃん!?!? 何でここにっ!?」
ち「そんな驚くことでもないでしょう? ただ遊びに来ただけです。それと……お姉ちゃんのことも気になったんで」
タ「!? 何でそのことを!?」
ち「まぁ、お姉ちゃんが来るとしたらここしかないし。4日前の電話で大体確信はついてましたし。
  それに学校での様子を見てればすぐにわかりますよ」
タ「学校……あ……そうか、ちなみちゃん同じ学校の1年生か……そりゃばれるな……ていうことは、
  おじさんやおばさんも?」
ち「はい。電話の後に、多分ここにいるだろうと言っておきました」
タ「おじさんたちは何て?」
ち「特になにも。『タカシ君の家だったら大丈夫か』ですって。結構信頼持ってますねタカシさん」
タ「分かっててそのままにしてるのか。そりゃそうだよな。普通四日も音沙汰なかったら流石になにか起こるもんな」
ち「そういうことです。では失礼しますよ」
タ「今日は何しに来たの?」
ち「さっき言ったでしょ。お姉ちゃんの様子を見に来たんです。あ、お姉ちゃんにはお父さんたちが
  ここにお姉ちゃんがいることを知ってるって事は内緒にしてて下さい」
タ「? 何で?」
ち「そのほうが面白いからです」
タ「…………」

居間
ち「お姉ちゃん。お久しぶり」
か「ちなみっ!? 何でここにいんのよっ!?」
ち「ちなみんマジックです」
か「ちょっとタカシ。アンタがばらしたんじゃないでしょうね?」
タ「違うよ。ちなみんマジックだよ」
ち「その通り。で、どうですか? 家出生活は」
か「ど、どうって訊かれてもね。別に楽しくもなく、寂しくもなく。普通かな」
タ「俺は普通じゃないけどな」
ち「何かあったんですか?」
タ「二度ほど死にかかり、警察に二回捕まって、今はかなみの下僕と化している」
か「アンタが悪いのよ」
ち「…………はぁ〜。タカシさん。ちょっとお姉ちゃんをお借りしますよ?」
タ「? 別にいいけど?」
ち「お姉ちゃん。集合」
か「な、何よ」
―ここからヒソヒソ話―
ち「お姉ちゃん。この4日間で何か進展はありましたか?」
か「し、進展?! 何言ってんのよアンタは。何が進展すんのよ」
ち「タカシさんとの仲です。キスくらいはすませましたか?」
か「!? き、キスっ!? な、何でアタシがアイツとキスなんかしなきゃならないのよ!?」
ち「……はぁ〜……お姉ちゃん。実の妹くらいには素直に相談してもいいと思いますよ?
  安心してください。今の私は愛のキューピットちなみんです」
か「ぐ……」
ち「はっきりして下さい。そんなんじゃ、いつまで経ってもタカシさんと恋人同士になりませんよ?
  いんですか? お姉ちゃんがもたもたしている内に、他の人がタカシさんをさらって行ってしまうかもしれませんよ?」
か「え………」
―吉田「実はさ、アタシ結構別府君のこといいな〜って思ってたのよね」―
―吉田「明日、お昼にまでには答えを出すって言ってたわよ」―
か「…………」
ち「…………もしかして心当たりがあるんですか?」
か「………コク…」
ち「………はぁ〜……お姉ちゃん。そんなお姉ちゃんのために、これを持ってきました」
か「……? 何これ、映画DVD?」
ち「はい。ホラーです」
か「…………」
ち「その表情からして大体察しがついたみたいですね? 名付けて『キャー☆とか言いながらタカシさんを
  押し倒しちゃえ作戦』です」
か「…………」
ち「(おや? 反抗しませんね……これは結構本気で困ってるのかな……) これを今日、タカシさんと一緒に
   見てください。少なくとも女の子に抱き疲れて嬉しくない男の子はいないでしょう」
か「あ、ありがたく借りておくわ」
ち「(意外……これじゃからかい甲斐がない…………ツマンネ) では、私はもう帰りますね。
でそろそろ帰らないとお父さんたちに怒られるので」
か「あ、うん。ありがとう。ところで、お父さんたちにはここにいることは――」
ち「わかってます。内緒にしておきます」
か「ありがとう」
―ここまでヒソヒソ話―
ち「タカシさん。終わりました。ということで私は帰りますね」
タ「あれ? もう帰っちゃうの? 夕飯食って行ったら? カレーだぞ」
ち「いえ、晩御飯は家でもう食べてきてるので。それじゃあ、お姉ちゃん。がんばってね」
タ「何を?」
か「なんでもないわよ」
ベシッ
タ「いてっ」
か「おやすみ、ちなみ」
ち「はい。おやすみなさいお姉さん」
タ「おやすみちなみちゃん」
ち「一つ言っておきます。気安くちゃんづけするな」 ガチャン…
タ「…………」
か「さてと……タカシ? 映画見ない?」
タ「……んぇ? 映画? 何をいきなり」
か「ちなみが持ってきたのよ。もの凄い面白いって。見てみない?」
タ「うーん……そうだな。どうせ暇だし。ちょっと待ってろ。用意するわ」
か「うん」
“ホラー”映画の鑑賞中ですよ
か「………ゴク……」
タ「………」
映画『きゃーーーーーーーっ!!!』
か「ひゃっ!?」
タ「うわっ!? う……うぉぉ……これ、普通に恐いな……」
か「う、うん……(ち、ちなみのやつ……恐すぎなのよ…もうちょっと見れるのにしなさいよね…
  …これじゃあ普通に驚いちゃって何もできないじゃない……だ、ダメダメ! ここでタカシに抱きついて、
  タカシの意識をアタシに向けて……それでそれで…………よしっ! 次こそはっ!)」
映画『うわああああああああああっ!!!』
か「きゃああああ!!!」
タ「わああああああああ!!!」
映画『ぎゃああああああああああああ!!!!!!』
か「いやああああああああ!!!!」
タ「ぎゃああああああああ!!!」
映画『ひぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃ!!!』
か「きゃーーーーーーーーーーっ!!!」
タ「うわわわじょぱjw@ぱほ」w@ぱは!?!?」

―映画終了―
タ「す、すげぇ恐かったな……」
か「そ、そうね………(何もできなかった……2時間ただ普通に恐がってただけじゃない………)」
タ「俺、こんなに恐いと思ったのは久しぶりだy―――」
パチッ!(←突然電気が消えた)
か「え?!」
タ「停電!?」
か「ちょ、ちょっと!? どうなってるの!?」
タ「落ち着け。とりあえず動くな」
カタカタカタカタカタカタ(←どこからともなく聞こえてくる奇怪な音)
か「ひ、ひぃ!?」
タ「な、どうなってるんだよ!?」
ガタガタガタガタガタ!!(←テーブルが揺れ出す)
か「い、いやああああああ!?!」
タ「何なんだこれは!?」
ピカッ!!(←庭の方からまばゆい光が)
か「きゃああああああっ!!」
かなみがタカシに無意識に抱きついた
タ「うわっ!? かなみ様! 落ち着け!」
か「こ、恐いよぉぉぉ……タカシぃ………」
タ「大丈夫だ。俺がいるから。な?」
ボン……ボン…ボン…ボンボンボンボン(←変な色のサッカーボールが転がってきた)
か「どうなってるの? 恐いよ………グス……」
タ「くそっ! 化け物めっ! 隠れてないで出てこいっ!」
パチッ!(←急に部屋の電気が点いた)
タ「うわっ………」
?「大成功♪」
か「誰?」
タ「……って、この声は……」
ち「どうも」
か「ち、ちなみ?!」
タ「これ、全部お前の仕業?」
ち「はい。恐かったでしょ?」
タ「恐すぎるわっ!!」
か「何でこんなことすんのよぉ……お姉ちゃん……グス……本当に恐かったんだから……グス……」
タ「ほら、かなみ様が泣いてるじゃないか。ちなみちゃん。何でこんなことしたんだい?」
ち「……かなみ様?……まぁ、いいや。こんなことをした理由はお姉ちゃんが知ってます。
ね? お姉ちゃん?」
か「………え? ………あっ!?」
ち「ニヤニヤ」
か「!? い、いつまで抱きついてんのよバカっ!」
ドゲシッ!!
タ「グヘッ!? お、お前が抱きついてきたんじゃないか?!」
か「うるさい! 変態っ! 痴漢! 悪魔っ!!」
タ「な、何なんだよそれっ!?」
か「そのままの意味よっ! バカっ!」
ち「………はぁ〜……もう、帰ります……あ、タカシ。ちゃんつけんな」
タ「…………呼び捨て?」
か「…………」
タ「……もう寝るか?」
か「そ、そうね………」

夜:タカシの部屋
タ「…………」
キィ…(←ドアの開く音)
タ「? かなみ様……か?」
か「うん……」
タ「………寝れないのか?」
か「ち…違うわよ……(////)」
タ「……実はさ、俺、さっきからもの凄く恐くて寝れないんだよ。お前が嫌じゃなかったら、一緒に寝てくれないか?」
か「え……? あ……うん……仕方ないわね。ったくおこちゃまなんだから、タカシは」
タ「ごめんな。かなみ様」
か「……よいしょ………言っとくけど、変なトコ触ったりしたら●すからね」
タ「分かってるよ。それじゃお休み」
か「あ………うん………」
互いに背を向け合いながら寝ている二人
か「…………(恐くて寝れないってのも一つの理由なんだけど………やっぱり気になるな 
  ……タカシが吉田さんに何て答えるのか……)」
タ「…………」
か「(嫌だよ……タカシが……他の人の彼氏になっちゃうなんて………嫌だよ………) 
  ねぇ……起きてる?」
タ「……ん?……あぁ、一応。どうした? 寝れないか?」
か「………タカシさ…………………………………………好きな人いる?」
タ「………え?」
か「いる?」
タ「えっと……いない、と言うと嘘になるかな…………」
か「そう…………」
タ「……それがどうしt――」
か「誰?」
タ「え?」
か「それって……………誰?」
タ「何でそんなことまで答えないといけないんだよ? 俺が答える前に、まずお前の好きな人言えよな」
か「……………私は…………タカシが好き…………」
タ「…………え?」
背を向け合っていたはずのタカシの背中に、かなみの手の平が当たる。かなみの頬が、タカシの背中にあたる。
か「アタシは…………タカシが好き…………タカシは? 誰が好きなの?」
タ「え…………お前、冗談――」
か「冗談じゃない!」
タ「…………」
か「冗談じゃないから…………タカシは……グス……誰が……グス……好きなの……?」
タ「かなみさm――かなみ? 泣いてるのか?」
タカシが布団の中で体を180度回転させた。振り返るとそこには、布団の中で顔を俯け僅かに肩を上下に揺らしながら
泣いているかなみがいた。
か「ヒグッ……ご、ごめんね……いきなりわけの分からないこと訊いて……勝手に泣き出したりしちゃって……
  ……ごめんね……ヒグッ……」
タ「……何があったんだ?」
か「吉ちゃんがね……タカシに告白したっていったの。明日、返事するんでしょ? それで、
  もしタカシがOKしちゃったら…………凄く嫌なの……アタシ……タカシのこと好きだから…
  ………だから……凄く恐くて…………ヒグッ……」
タ「? 吉田さんが俺に告白?」
か「………え?」
タ「してないぞ? 吉田さんは俺にやたら難しい数学の問題を出してきたんだ。で、すぐには無理だから、
  明日までには解いておくって言ったんだ」
か「………へ?」
タ「……騙されてるな」
か「う、うそ……?」
タ「ホント。俺は吉田さんには告白されてないよ。それは多分。お前を後押しするためだったんだろ」
か「そ、そんな……それじゃあ、一人で悩んでたアタシがバカみたいじゃない……」
タ「けど、かなみの本音が聞けて、俺は吉田さんに感謝したいけどね」
か「あ……(//////) うぅ………」
タ「意外だな。かなみが俺のこと好きだっただなんて」
か「う、うるさいっ……(/////)」
布団の中で、タカシの胸を力なく叩くかなみ。
タ「……ははw ごめんごめん」
か「……(////) アンタどうなのよ?……アンタの好きな人って誰なのよ?」
タ「俺? 俺の好きな人はかなみだよ」
か「…………え?」
タ「信じてないな? 本当だぞ。俺の好きな人はかなみだ。椎水かなみ。お前だよ」
か「あ……あぁ……」
かなみの目から涙が溢れてくる
か「うそ……うそつき……」
タ「うそじゃねぇよw 俺の座右の銘は『常に正直者であれ』だからな」
か「あ………うぅ………ますますアタシがバカみたいじゃない……(////)」
タ「だなw ピエロだな」
か「バカ……バカバカバカバカ………うれしいよ………バカ………」
タ「…………」
そっとかなみに近寄るタカシ
か「あ………」
タ「かなみ。キスしていい?」
か「え……………(////) うん……いいよ」
タ「ありがとう」
チュ
か「………(////)」
タ「ちなみに、今の俺の始めてのキスな。かなみは?」
か「え………あ……アタシも(////)」
タ「……なんかかなみ、いつもと感じが違うな。なんていうか、しおらしくなってる。っていうのかな」
か「う、うるさいわよ。そんなこと言うのは、この口か」
チュ
タ「ん………」
か「…………(////)」
タ「ははw かなみ大胆w」
か「笑うなバカっ………もう、寝る!」
タ「そうだな。明日起きれなくなるしな。お休み、かなみ」
か「うん……おやすみ……タカシ……」
二人はお互い向き合いながら眠りについた


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