●●●●●第36話●●●●●

リ『では、そろそろ夕食の用意をしますわね』
タ「いつもありがとう。ホントリナの料理は美味しくて助かるよ」
リ『そ、そんなの当然ですわよ!(///)・・・できない方がおかしいのですわ』
こ『むかっ!・・・ボ、ボクだってできるもん!!』
リ『あらっ、そのようなこと初めて知りましたわ。では、やってごらんなさいな』
こ『やるよ!ボクの料理の虜にしてやるんだからっ!!(///)』
タ「まあまあ・・・じゃあ、今日は二人でやってよ」
こ&リ『二人で!?』

・・・キッチン・・・

こ『えーっと、まずは水を汲んで・・・』
リ『では、ワタクシは野菜の用意をしますわ』
こ『あれ?蛇口から水が出ない・・・』
リ『何をしていますの?遊んでいる場合では・・・あらっ、本当に出ませんわね』
こ『壊れてるのかな?えいっ!』
ガンッ
リ『ちょ、ちょっと、そんな乱暴な・・・』
こ『ダメかぁ・・・え〜いっ!!』
ガガンッ
リ『水が噴き出したりしたらどうしますの!?ワタクシ達は羽が濡れたら飛べませんのよ!?』
こ『だって出ないんだもん・・・とりゃぁっ!!!』
ガガガンッ・・・プシューッ
こ『わぁぁぁ!噴き出した!!』
リ『きゃぁぁっ!だから言ったではありませんの!!』
プシャーッ
こ『あぅぅ・・・ずぶ濡れだよぉ・・・へくちっ!』
リ『どうしてワタクシまで巻き込まれなくては・・・くしゅんっ!』

タ「・・・どうも遅いと思ったら・・・」
こ『ふぇぇぇん・・・』
リ『ぐすんっ・・・』
タ「タオル洗濯しちゃってこれ1枚しかないから、二人一緒にくるまってて」
パサッ
こ『うぅ・・・』
リ『ちょっと、あまりくっつかないでくれませんこと!?』
こ『だって寒いんだもん・・・』

リ『きゃっ・・・む、胸に触らなくてもよろしいのではありませんの!?(///)』
こ『触りたくて触ってるんじゃないよ!デカイから当たるんじゃないか!!』

タ「・・・愛し合ってるところ悪いけど、ホットミルク入れたから飲む?(///)」

●●●●●第37話●●●●●

タ「うぃ〜、今帰ったぞ〜」
こ『うわっ、酒臭っ!』
リ『飲んできましたの?』
タ「これが飲まずにいられますかっての・・・ひっく」
こ『完全に酔っ払いだよ・・・』
リ『何かありましたの・・・?』
タ「どいつもこいつも俺をバカにしやがって・・・いいんだ、いいんだ・・・俺なんかいない方がいいんだ・・・」
バタンッ
こ『タ、タカシ!?』
リ『・・・寝てしまいましたわね・・・どうしましょう・・・ワタクシ達の力ではベッドまで連れて行くこともできませんし・・・』
リ『かといって、このままでは風邪を引きかねませんし・・・』
こ『・・・』
リ『このみ?』
こ『・・・まったく、タカシはしょうがないなぁ』
こ『タカシがいなくなったりしたら、ボクはどうなるのさ・・・嫌だよ』
リ『・・・このみ・・・』
こ『もう嫌だよ・・・ボクを置いて誰かがいなくなっちゃうのは・・・』
ピタッ
リ『な、なにをしていますの?』
こ『ボクもここで寝る』
リ『え?・・・そんな、風邪を引きますわよ!?』
こ『いいの!ここで寝るのっ!!』
リ『・・・』
ピトッ
こ『えっ!?リナまでなんで・・・』
リ『あんな広いベッドで一人では、かえって風邪を引きそうだからですわ!』
リ『べ、別にワタクシもついていてあげたいとか、そのようなわけでは・・・(///)』

こ『タカシ、ごめんね?・・・ボクもう行かなきゃ・・・』
タ「えっ?・・・ど、どうしたの!?いきなり・・・」
こ『これ以上、ここにはいられないんだ・・・』
タ「そんなこと急に言われても・・・」
リ『ごめんなさい・・・ワタクシも帰らなければなりませんの・・・』
タ「リナまで!?・・・ちょ、ちょっと待ってよ」
こ『さよなら・・・ボク、タカシのことは忘れないよ・・・』
リ『お世話になりましたわね・・・さようなら・・・』
フッ
タ「このみ!リナ!・・・そんな・・・」
タ「どうして?・・・どうして俺を置いて・・・?」
タ「そんなの・・・そんなのって無いよ・・・」
タ「これから俺は一人でどうしたらいいんだよ・・・」

タ「・・・ハッ!?」
タ「・・・あれ?・・・ここは・・・リビング・・・」
タ「なんだ、夢だったのか・・・そうだ、このみ!リナ!いるの!?」
こ&リ『すー、すー・・・zzz』
タ「良かった・・・二人ともいた・・・ホッ」
タ「うっ・・・いたた・・・そっか、昨日酔っ払って床で寝ちゃったんだ・・・あれ?」
タ「てことは、二人とも俺につきあって床で寝たの・・・?」』
タ「・・・どうかしてたな、俺・・・いない方がいいなんて・・・」
タ「二人ともごめんよ・・・そして、ありがとう。また頑張ってみるよ」
タ「さて、今日は久々に俺が朝飯作るか!」

●●●●●第38話●●●●●

リ『(とうとうこの日が来ましたわ・・・)』
タ「どうしたの?リナ・・・表情が暗いけど」
リ『な、なんでもありませんわ!』
タ「そういえば、リナがここに暮らすようになってからもう1年だね」
リ『!!!』
タ「ゲートの定期点検が終わる頃だよね?」
リ『・・・気付いていましたのね』
タ「このみと俺を連れて行くんだよね・・・」
リ『・・・』
長『そのとおりじゃ』
リ『えっ!?』
こ『ちょ、長老様!?』
タ「この人が・・・長老様?・・・おじいさんを想像してたのに、若い女性じゃないか・・・」
長『失礼なことを申すな!人間とは歳の取り方が違うのじゃ・・・リナやこのみよりずっと齢は重ねておるわ』
タ「そっか、じゃあおばあさんなのか・・・」
長『おばあさんなどと呼ぶでない!・・・気持ちは若いのじゃ(///)』
タ「好きな歌手は?」
長『東海林太郎』
タ「好きな映画は?」
長『東京物語』
タ「やっぱりおばあちゃんだよ・・・」
長『やかましいわ!(///)』
リ『あの・・・どうして長老様直々に・・・?』
長『お主がゲートの定期点検などに引っかかるからしびれを切らしたのじゃ』
リ『・・・申し訳ございません・・・』
長『まあよい・・・ほれ、帰るぞ、このみ』
こ『う・・・』
タ「ちょ、ちょっと待った!」
こ『2度目のちょっと待ったコール!?』
長『なんじゃ?』
タ「前から気になってたんだけど・・・そもそもどうしてこのみは人間界に来たの?」
こ『そ、それは・・・』
長『ある調査を頼んでおったのじゃ』
リ『調査?・・・初耳ですわ・・・』
長『極秘であったからの・・・』
タ「一体なんの調査を?」
長『・・・人間の世界がフェアリーランドと国交を結ぶのにふさわしいかどうか、の調査じゃ』
タ「国交!?」
リ『そのような大事な任務を、なぜこのみに!?』
こ『そんなの、ボクが信頼されてるからに決まってるじゃん。えっへん!』
長『いや、たまたま一番暇そうにしておったのでな』
こ『(´・ω・`)』
タ「なんといい加減な・・・」
長『しかし、期限になっても帰って来ぬから調べてみれば・・・人間界の争いに巻き込まれておったのか』
タ「争い?」
こ『うん・・・60年ぐらい前、空から火が降ってきて・・・』
リ『火が?・・・人間界にもドラゴンが住んでいますの?』
タ「60年ぐらい前?1940年代半ば・・・そうか!太平洋戦争終結間際の空襲か・・・」
長『そのような危険な世界と国交を結ぶわけにはゆかぬ』
タ「でも、その戦争はもう終わってて・・・」
長『今はもう無い、と申すか?』
タ「うっ・・・」
長『万が一フェアリーランドに対して野心を抱くようなことがあってからでは遅いのでな』
こ『で、でも!・・・人間は・・・優しいんですよ?』
こ『60年前、ボクを火から守るためにビンに入れて海に逃がしてくれた人も・・・』
こ『ここにいる、タカシも・・・』
タ「え・・・?」
こ『だから・・・だから・・・ぐすっ・・・』
リ『・・・・長老様、ワタクシからもご報告致しますわ』
長『む?』
リ『確かに、人間はこのタカシのようにバカでエッチで鈍感で、どうしようもないかもしれませんけれど・・・』
タ「(´・ω・`)」
リ『でも・・・暖かくて、寂しかったら慰めてくれて、嬉しい時は一緒に喜んでくれて・・・ですから・・・』
タ「リナ・・・」
長『・・・わかった、お主らがそこまで言うのでは仕方あるまい』
こ『え?』
リ『では・・・』
長『しかし、簡単に認めるわけにはゆかぬ。わしにもフェアリーランドを治める責任がある』
こ&リ『・・・』
長『任務延長じゃ・・・このみ、引き続き人間界の調査を命ずる』
こ『へ?』
長『このみだけでは荷が重かろう、リナもこのみとともに人間界を調査するのじゃ』
リ『よ、よろしいのですか!?』
長『ただし、報告は怠らぬようにな・・・では、そういうことで二人を頼んだぞ、タカシとやら』
タ「そりゃもう喜んで!・・・ところで、確か俺も連れて行くという話だったんでは・・・?」
長『その必要は無くなった・・・会ってみてわかったのでな』
タ「わかった?何を・・・」
長『お主に魔法が効かぬわけを、じゃ』
こ『そうだ、忘れてた・・・なんでタカシには効かないんですか?』
長『このみ、お主を空襲から救ってくれた人間の名はなんと申した?』
こ『"別府ヒロシ"って名前でしたけど・・・』
タ「えぇ!?それ、俺の死んだじーちゃん・・・会ったことはないけど・・・」
リ『本当ですの!?・・・そのような偶然が・・・』
長『あながち偶然ではないのかもしれぬ・・・』
タ「どういうこと?」
長『・・・元々、わしとヒロシは知り合いであった』
タ「えぇっ!?」
長『知り合い、とは控えめすぎるかの・・・憎からず思っておった・・・』
リ『人間界に来られたことがございましたの・・・?』
長『うむ、わし自身が最初は調査しておったのでな・・・そして、偶然ヒロシと知り合い・・・』
長『じゃが、長老としての仕事が忙しくなり、戻らねばならんかった・・・』
長『フェアリーランドを放っておくことはできんかった・・・』
タ「・・・」
長『またいつか会えるよう、わしの力を分け与えた・・・人間の寿命がわしらよりずっと短いのはわかっておったからの・・・』
長『そして、わしの代わりにこのみを送り込んだ・・・しかし、結局人間の作った兵器があやつの命を奪ってしまいおった・・・』
こ『・・・』
長『タカシに魔法が効かぬのは、その時の力が増幅して受け継がれておるからじゃ』
長『・・・人間と妖精の力が合わさると、未知の力が生まれるのかもしれぬ』
長『このみがタカシに引き寄せられたのも、それが原因かもしれぬな・・・』
タ「そんな・・・俺の中にそんな力が・・・?」
長『ヒロシの面影を感じるのぉ・・・とにかく、二人を頼んだぞ・・・ではわしは戻らねばならぬのでは・・・さらばじゃ』
フッ

タ「そうか、そういうわけだったのか・・・」
タ「ま、そのおかげで二人に出会えたんだから感謝しないとね・・・これからもよろしくwww」
こ『に、任務なんだからね!あくまでも仕事で一緒にいるんだからね!?(///)』
リ『そうですわ!長老様のご命令で仕方なく調査するのですわよ!?別にタカシのこと知りたくなど・・・(///)』
タ「わかったわかったw・・・じゃあ、買い物にでも行こうか。好きなお菓子買っていいよ」
こ『ホント!?・・・に、任務のためなら仕方ないなぁ(///)』
リ『人間の嗜好を知るためですから、た、たくさんの種類を買うのは仕方ありませんわよねっ・・・(///)』

・・・夜・・・

タ「じゃあ、おやすみ」
こ『おやすみ!』
リ『おやすみなさい』
タ「・・・あの・・・なんでそんなに二人ともくっつくの?」
こ『に、任務のためだよ!(///)』
リ『より人間のことを知るために、す、少し距離を縮めただけですわ!(///)』
タ「はいはいwww・・・じゃ、おやすみ」
こ『おやすみ・・・』
リ『おやすみなさい・・・』
こ『(タカシ、これからももっと人間のこと・・・///)』
リ『(いっぱいいっぱい教えて下さいね・・・///)』
ギュッ

Fin.


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