第4話 『穏やかな時間』

ある日の昼休み。
纏と尊は2人で昼食を食べていた。
とはいっても他の女子のようにキャアキャアと喋りながら食べるようなマネはしない。
2人とも食べるときは食べる事に集中する性質なのである。2人で食べてるのも仲が比較的良いというのもあるが、
寧ろ静かに食べられるから。と言う意味合いが強かった。
そして今日も2人して黙々と弁当を口に運んでいたのだが、唐突に纏が口を開いた。
纏「・・・最近、お前ら丸くなったのう」
尊「何だ藪から棒に。どういうことだ?」
纏「・・・いや、別府に対する風当たりが弱くなったと思うてな、赴任してきた当初とはエライ違いじゃ」
事実、タカシの授業はとてもスムーズに行われるようになった。(無論タカシの指導能力が向上したと言うわけではない)
タカシの授業に対して文句を言う人間が減ったためである。
また、何か言うにしても、言葉の『トゲ』や『角』がとれてきた。例えば、
泉「まったく。中々進歩せえへんな〜。まあ、ゆっくり頑張りや。先行投資にしとくさかい」
梓「つまんないつまんな〜い!・・・あ、いやタカシの授業がってわけじゃなくて、勉強がつまんないって意味だけど」
尊「まったく・・・相変わらず字が汚いな・・・でもまあ、進歩はしているぞ。これからも精進しろ」
と言う具合である。
纏「まあ、勝子はもともと儂らと馴れ合わぬし、ちなみは何を考えてるかすらわからん。それにかなみは未だにあの調子じゃがな・・・」
尊「・・・タカシもただのダメ教師というわけではないというだけだろう・・・多少は見所があるということではないか?」
尊はそう淡々と言うと、お茶代わりのスポーツドリンクを飲み込む(ちなみに前話で飲んだものと同じもの)
その様子を見た纏がニヤリと意地悪く笑って、こう尋ねた。
纏「惚れたか?」
ぶし!尊はジュースを思い切り吹き出していた。
尊「んなななな・・・何をいきなり・・・ワケのわからぬことを・・・」
纏「・・・・・・わかりやすいのう。お主は・・・」そういうと苦笑交じりのため息を漏らす。
纏「しかし・・・お主が惚れるのだから、どんな益荒男かと思っていたが・・・意外とあんな優男が好みとは・・・以外よのう・・・」
尊「だから・・・それはだな・・・そ、そうだ!お前はどうなのだ!年頃なのだし、浮ついた話の1つや2つはあるだろう」
苦し紛れに尊が質問を返す。
纏「儂か?儂は言動や趣味がこの通りじゃからな。寄り付く男もおらぬよ。それに・・・人の絆を信じることがまだ出来そうにないしの」
尊「・・・まだ治らんのか。お前の人間不信は・・・」
纏「人間不信とは人聞きが悪いの。単に普通の人間よりも周りの人間と距離を置き、容易に人を信頼しないだけじゃ」
尊「・・・それを人間不信を言うのだろうが・・・お前の場合明らかな拒絶ではなくのらりくらりと煙に巻くから性質が悪い」
纏「まあ、そう言うてくれるな。儂とて信頼する人間くらいおる。お前や、儂の家族がそれにあたるしの」
尊「・・・だが、そろそろその幅も広げてみてはどうだ?」
尊「少なくとも、どうしようもないところもあるが、裏切るようなことだけはせんぞ。タカシは」
纏「・・・解せんのう・・・何故にお主らはそこまであの男に加担するのじゃ・・・」
纏「儂はお主等の様に教師と言う人種にことさら敵意や悪意をぶつける気などないが・・・」
纏「かといってあの男が信頼に足る人物とは到底思えん・・・何故じゃ?」
尊「・・・ふ」尊は僅かに唇を笑みの形に曲げると、小さな含み笑いを漏らした。
纏「?」
尊「お前も・・・アイツと付き合ってみればわかる・・・」
尊「あ、いや・・・やましい意味ではなくてだな・・・単に人付き合いという意味でだが」
尊「アイツは確かに、一見間抜けで、教師としての器量も足らんし、顔つきや雰囲気にもしまりが無い。おまけに鈍感だ」
尊「離れたところで見れば、『単なる普通の馬鹿教師』といったところだろうがな・・・」
纏「よくまあそこまで悪し様に言えるの・・・」纏が半目でツッコむ。
尊「だがな・・・アイツは・・・タカシは他の先生とは明らかに異質な『何か』がある」
尊「梓や泉も、それに気がついただけだろう」
纏「『何か』・・・とは何じゃ?」
尊「『熱意』とか『優しさ』という言葉が一番近いのだろうが・・・言葉では説明が付けにくいな」
纏「・・・ワカランのう・・・まあ、しかし、コレばかりは過去のトラウマが原因じゃしな・・・あの男がどうこう出来るとも思えん」
尊「そうか。・・・しかし、さっきから食が進んでないな?どうした?」
纏の弁当は、おかずの数品に少し手が付けられていただけで、ほとんど食べられていなかった。
ゴハンにいたっては、一口食べていただけで、ほとんどが手付かずのままだった。
纏「ここ最近風邪ぎみでな・・・食欲がないのじゃ・・・」
尊「そういうことか・・・確かに、良く見れば顔色も悪いな・・・大丈夫か?」
纏「別に・・・この程度・・・ゴホッ」
纏「あれ・・・ン・・・ゴホンッ!・・・咳止めが切れてきたかの・・・ゲホッ!」
次第に咳のペースが速くなり、目が虚ろになっていった。
尊「おい・・・今日は早退したほうがいいのではないか?」
纏「別に・・・それほどでは・・・ゲホゲホッ!・・・確かに、だるいし・・・保健室で少し休もうかのう・・・」
そういって、立ち上がる。しかし、その刹那、纏は倒れてしまった。
尊「お、おい!纏!しっかりしろ!・・・だめだ、すっかり意識を失っている・・・これは帰らせるしかないか・・・」
纏の息はとても荒くなっており、顔色も赤くなっている。
尊「しかし・・・いったいどうすれば・・・」
ガラッ。
急に教室の戸が開く、そこから入ってきたのはタカシだった。
タ「今日学食臨時休業なんてな・・・ったく。まあ、購買のパンがあったからよかったか・・・」
尊「タカシ・・・良いところに来たな」
タ「?それはいったいどういう・・・うわっ!纏!いったいどうしたんだ!」タカシが床に倒れている纏に気付き、驚愕する。
尊「どうやら風邪らしくてな・・・悪いが、保健室まで連れて行ってはくれないか?」
タ「よし。わかった。午後の授業は遅れるかもしれない。皆にそう伝えておいてくれ」
尊「承知した」

纏は、夢を見ていた。
過去においてきたはずの、思い出の夢。しかしながら何回も見てしまう、お決まりの悪夢。
炎に包まれた空間。悲鳴と怒号飛び交う中、纏は必死に傷ついた両親の腕を引っ張り、連れて行こうとする。
纏の父「・・・ま・・・つり・・・お前だけでもにげ・・・ろ・・・このままでは・・・お前まで・・・」
纏の母「わた・・したちはもうだめ・・・まつり・・・だけ・・・でも・・・にげなさい・・・」
纏「いやぁ!そんなこといわないで!だいじょうぶ、まだだいじょうぶだから!」そう言いながら纏は2人の腕を引っ張る。
だが、幼き彼女の細腕では大人2人を運ぶ事などできず、ピクリとも動かない。
そのときだった。燃えた太い梁が、纏の頭上へと、落ちようとしていた。
それを霞む目で捉えた纏の父は、残る全ての力を振り絞り、纏を突き飛ばした。
その直後、纏と両親の間に、燃えた梁が鈍い音を立てて落ちてきた。
梁は両者をさえぎり、もはやどうする事も叶わぬ状況に陥ってしまった。
纏「いやぁぁぁぁっ!おとうさん!おかあさん!」
母「ごめ・・・ん・・・なさい・・・ね・・・まつ・・・り・・・」
父「生きろ・・・纏・・・俺・・・たち・・・は・・・お前・・・を・・・あいし・・・て・・・」
だが、全てを言い終わるほど運命は情け深くはなかった。2人の上に燃え盛る天井が落下してきたのだ。
2人は、炎と瓦礫にうずもれ、姿はおろか、声すらも聞こえなくなってしまった。
纏「いやだ・・・やだよぅ・・・おと・・・さん・・・おか・・・さん・・・へんじ・・・して・・・」
意識が遠くなる。当時の彼女は知る由もなかったが、煙を吸い込み、軽い一酸化炭素中毒になったのだ。
朦朧とする意識の中、オレンジ色の人影が見える・・・消防隊の人達だ・・・その人たちに抱きかかえられ・・・そして・・・

・・・目を覚ます。寝汗で体がぐっしょりと濡れているのが解る。額に濡れタオルが乗っている。
纏「・・・ここは・・・儂は、いったい・・・」
タ「・・・あ、目が覚めたみたいだね」声がしたほうに顔を向ける。そこには、タカシが居た。
纏「なぜ・・・お主が・・・それに・・・あれから、いったい何があったのじゃ・・・?」
タ「キミは、風邪をこじらせて倒れたのさ。で、最初は保健室に連れて行こうと思ったんだけどね」
タ「なんか風邪が校内で流行してるらしくてさ。一杯だから症状が重い場合は家に帰らせろって、言われてね」
タ「で、保健の先生に保健室に会ったパジャマを借りて着替えさせてもらった」
タ「保護者に連絡を取りたかったところなんだけど、誰も電話に出なかったからさ」
タ「こうして家に連れてきたと言うわけさ」そういわれて纏は周りを見渡す。なるほど、確かにここは自分の部屋だ。
纏「そういうことじゃったか・・・面倒をかけたの・・・」
タ「別に良いよ。倒れた生徒を見捨てるわけにも行かないだろ」
タ「それより、親御さんに連絡を取りたいんだけど、両親の携帯の番号とかわかる?」
纏「・・・両親は、おらぬよ・・・物心つくかつかないかの頃に、死んでしもうたわ」
タ「あ・・・ごめん・・・悪い事きいちゃったな・・・他に連絡できる人はいるかな?
纏「祖父祖母が儂の保護者じゃが・・・今連絡するのは駄目じゃ」
タ「なぜだい?」
纏「2人は今旅行中での。楽しんでいる最中に下らぬ事でそれをぶち壊しにするわけにも行くまい」
タ「なるほどなぁ・・・そういうことなら」タカシはそういうと携帯電話でどこかに電話をかけた。
しばらくタカシは何事か話していたが、話が終わったのか、携帯電話をいそいそとポケットにしまう。
纏「・・・どこに電話しておったのじゃ?」
タ「学校に電話して僕も早退する事にした」
纏「・・・何故じゃ?」
タ「今日はつきっきりでキミを看病してあげようと思って」
纏「・・・はあ?」思わず纏は間の抜けた声を出していた。

纏「・・・なぜそういう結論になる?お主頭大丈夫か?」
タ「いたって大丈夫だけどな。こういうときは誰か看病する人が必要だろ」
纏「なぜお前が儂の看病をする必要がある。とっとと学校へ帰れ」
タ「病気で苦しんでいる生徒をほっといてのうのうとしていられますか」
纏「・・・あくまで乙女の部屋に居座ろうと言うのか・・・厚顔無恥な輩じゃの・・・」
纏「・・・まさか病気でロクに動けないのを良いことに儂に不埒な行いでもするつもりではないだろうな・・・破廉恥な男よの・・・」
タ「だから違うってば!少しは信じてくれよ・・・」
タ「まあまあ、そういわずに。とりあえず・・・」そういうとタカシは顔を近づける。
纏「ななな、何をしておる!やはりお主儂の青い果実を思う様貪る気では・・・くそ・・・このケダモノめ・・・」
纏は目を瞑る。だが、次の瞬間、額に暖かい感触が。
タカシは自分の額を纏の額に当てていたのだ。
タ「・・・まだ少しあるみたいだな・・・」そういうタカシの顔が近い。吐く息が顔に当たる。
もともと熱で顔は少し赤くなっていたが、今では耳まで真っ赤になっていた。
纏「・・・熱を測るならそう言え、このうつけ者が・・・何かと思うたぞ」
タ「ゴメンゴメン。でもコレが一番良くわかるからさ」
纏「まったく・・・確かに尊の言うとおり、お主は『異質』じゃな・・・」
纏はため息と一緒に、吐き出すようにそういった。
タ「まあ、でもそれだけ喋れるし、少しはよくなったみたいだね。おなか空いて来た?弁当ろくに食べてなかったでしょ」
纏「余計なお世話じゃ。それに多少食べなかったくらいで・・・」そのとき、
くぅ〜・・・ 纏のお腹から小さく音がした。だが周りが静かだっただけに、ことさら大きく聞こえた。
タカシ思わず笑ってしまった。
纏「・・・笑うなぁっ!(/////)」
タ「あ、ゴメンゴメン。でも、お腹が空いて来たって言うのは元気になってきた証拠だよ」
タ「ちょっと待ってて。あ、台所借りさせてもらうよ」
纏「おい!お主いったい何を・・・」だが、そういったときには既にタカシは部屋から出て行った後だった。
しばらく時間が経過した後、タカシがお盆にナベと皿とマグカップ、それに蓮華を載せてやってきた。
タ「おまたせ。時間がなかったからこんなのしか作れなかったけど」そういってナベを開ける。
そこには白粥が入っていた。
タ「これなら食べれるだろう?」
纏「以外に器用なのじゃな・・・」そういうと、粥を蓮華で掬い、口元へもって行く。
だが手が震えてうまく食べれず、下にこぼしてしまった。
纏「あ・・・」
タ「しょうがないな。ほら」そういってタカシは蓮華を手に取ると纏の口元へもって行く。
纏「な・・・大きなお世話じゃ・・・その手を・・・除けぬか・・・」
タ「こういう時は素直に食べときゃ良いの。ほら、あーん」
纏「くっ・・・こんな体でなければ、こんな辱めなど受けぬのに・・・(//////)」
そういうと、纏はぱくり、と粥を口にした。
纏「・・・美味しいのう・・・」粥は口の中に入れると、さらりと溶けていった。塩味もほのかでまさに『良い塩梅』だった。
タ「桜・・・あ、妹だけど、昔病弱でね。病人食は作りなれてるのさ」
纏「どんなにどうしようもないヤツでも、1つくらいはとり得があるもんじゃの」
タ「ひどいなぁ・・・」タカシそういって苦笑しつつも、粥がなくなるまで、纏の口へ蓮華を運び続けた。
纏「ふう・・・」
タ「じゃ、次はコレ」そういうとマグカップを渡す。それはポタージュスープのような液体だった。ほのかに湯気が立っている。
纏「なんじゃコレは・・・」
タ「まあ、飲んでみてよ」
言われるがまま、纏は液体を口にする。
纏「甘くて美味しいのう・・・コレは・・・?」
タ「玉子酒さ。風邪にはコレが一番だよ」
纏「ほう・・・うむ。コレだけの腕なら、良い嫁になれるぞ、タカシ」
タ「僕は男だからそういわれても嬉しくないなぁ・・・まあ、喜んでもらって何よりだけど」
纏は玉子酒を飲み終えると、口を開いた。
纏「馳走じゃった・・・しかし、なぜここまでする?生徒と教師を言う間柄とはいえここまでする義理はあるまい?」
タ「何故だい?生徒を心配するのは教師として当然だろう?」
纏「信じられぬな・・・何か企みでもあるのではないか?」
タ「そんなのないよ。・・・キミも中々に疑り深いな。どうしてそうなんだい?尊以外の人とも話そうとしないし」
纏「それはな・・・」纏は、ゆっくりと語り出した。
今の自分を形作る要因となった、昔話を。

纏「・・・両親がすでに亡くなっていると言う話はしたな?」
タ「ああ・・・」
纏「気にしておらぬよ・・・だからそのような辛そうな顔をするな」
纏「儂の両親は、花火工場を経営しておってな・・・結構大きな工場で、それなりに繁盛して負ったのじゃが」
纏「ある日新作の花火を父自らが造っていると聞いてな、母と一緒に見に行くことになったのじゃ」
纏「だが、事故が起こった。新作の花火が突如暴発しての。その火が他の花火に次々に引火しての」
纏「工場内は火に包まれた。両親は瓦礫に埋もれ、死んでしもうたのじゃ」
纏「儂は間一髪消防隊の者によって一命をとりとめた。だが問題はそれからじゃった」
纏「両親が死んだとたん、儂を・・・正確には儂が相続した遺産をめぐって諍いが始まったのじゃ」
纏「いつも笑いながら話していた叔母達。良く儂の遊び相手になってくれた叔父達。」
纏「皆して欲望にまみれた醜い争いを始めた。見覚えの無い親戚を名乗るものたちも大勢現れた」
纏「儂はそんな光景を見るのが嫌で嫌で仕方なかった。だから儂は言ってやった」
纏「『遺産など幾らでもくれてやる!だからこれ以上父と母が愛した場所を汚すな!』とな」
纏「だが、儂が遺産を放棄したとたん、みな手のひらを返すようにして、儂から離れていった」
纏「儂は、祖父と祖母に引き取られた・・・それ以来じゃな」
纏「人が・・・いや、人の絆が信じられなくなったのは」
纏「人と距離をとり、少数の人間にしか心を開かなくなったのは」
纏「ふ・・・やはり風邪のせいでどこかおかしくなっておるのかな・・・いつもならこんな話はせぬのに・・・」
タ「そうか・・・大変だったんだな・・・でもさ、纏」
纏「なんじゃ?」
タ「人を信じることを、止めないでくれないか」
タ「確かに、信頼が崩れるときはとてもあっけない。そしてそのとき深い絶望と悲しみを味わうだろうさ」
タ「でもな、纏。それを恐れていちゃ、何も手に入らないんだよ」
タ「人はな、誰かのために信じるんじゃない」
タ「自分のために、自分がそうしたいから人は、信じるんだ」
タ「そして、信じる心が、互いに結びつきあい、絆が生まれる」
タ「時にはほころび、千切れる事もあるかもしれない。でもその都度よりあわせ、より強くなっていくことが出来るんだ」
タ「今すぐには出来ないかもしれない。でも、努力して欲しいんだ。それが何より、お前の幸せに繋がると思うから」
纏「ふ・・・奇麗事じゃな・・・よく素面でそのような事が言えるものじゃな・・・うつけ者め」
だが、そういう彼女は、微笑んでいた。
纏「じゃが・・・世の中に1人くらい、そのような奇麗事をぬかすものが居ても、よいのかもしれぬな」
タ「はは・・・手厳しいな。それにしても、梓といい泉といい尊といい・・・皆何らかの事情を抱えているんだな」
タ「ほかの子たちも・・・そうなんだろうか?」
纏「ほう?事情とな・・・それは興味深い・・・話してはくれぬか?内緒にするぞ」
タ「・・・駄目、内緒だよ」
纏「何故じゃ?」
タ「話したくなれば、皆から話すさ。僕が言うのは、とても卑劣な行いだと思うから」
纏「ほう・・・感心したぞ。素直に話していたら、その面張り倒していたかも知れぬ」
タ「はは、僕は命拾いしたってことになるかな?」
纏「そうじゃな・・・お前はまあ、割とマシな人間の様じゃ」
タ「ほめ言葉として受け取っておくよ」と苦笑しながらタカシが答える。
纏にとって、心蕩かすような、あたたかい穏やかな時間が、ゆっくりと流れた。
タ「さて・・・そろそろ帰るよ。お大事にな、纏。安静にしてろよ」
纏「それこそ大きなお世話じゃ。お主こそ、暗いから気をつけろ」
タ「了解。明日は学校にこれると良いな。それじゃ」そういうと、タカシは帰っていった。

次の日、纏は風邪を無事完治させ、学校に来ていた。

尊「良くなったようで何よりだな」
纏「ああ。伝染すとよくなるというのはあながち嘘ではないのかも知れぬ」
タカシは纏から風邪をモロに伝染され、家で寝込むこととなった。
尊「・・・どうだ。アイツもあながち見所があるだろう?」
纏「・・・そうじゃな。お主達がタカシを買うのも解った気がするわ」
纏「尊、ちょっと耳を貸せ」
尊「・・・なんだ?」そういいつつも尊は耳を纏のほうへ向ける。
纏は尊に耳打ちした。すると・・・
尊「お、おい!纏!それはいったいどういう・・・!」
纏「どうもこうもそういうことじゃ。覚悟しておくがよい」
尊「まったくあいつというやつは・・・・・・そしてタカシめ・・・アイツに何をした?」尊は憮然として黙り込んだ。
耳打ちの内容とは。
纏「儂もタカシのことが好きになったようじゃ・・・『らいばる宣言』、させてもらうぞ」


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