第11話

〜格納庫〜
あれから俺は自分の機体である陸ジムのコックピットに入り浸り状態である。なにせ機体が特殊なので調整が難しいのだから
先程陸ジムと言ったが、そう呼んで良いのかも分からない。でも外見は陸ジムなので今後はその呼び名で通させてもらう
タ「くっそ…参ったなこりゃ…」
コックピットのコンソールを弄りながら不満の声を漏らす俺、さっきから戦闘をシュミレートしているのだが上手く扱えない
これなら今までの機体の方がやりやすいかもしれない。何故なら性能が良すぎるのだ
ちょっと動こうとしただけなのに速すぎて動きすぎたり飛びすぎたり、結局姿勢が制御できずに転倒。
これでは機体に乗るのではなく乗られているようなものだ。小回りの効く小型車からF1に乗り換えた感じに近い
勝『お〜い、そろそろメシだぞ〜〜!!』
整備長の声が聞こえる。朝から始めてもうそんな時間か、今日も昼飯はカ○リーメ○トと尊さん特性栄養剤。
尊さんに頼み込んで作って貰った物だ、疲れも取れて最高の一品だ。ただ一つの欠点は夜元気になっちゃうこと、
尊さん…貴女なに混ぜました?結局一人でしょr…って何言ってんだ俺は

そんな俺の昼飯は直ぐに終わる。作業再開しようと思ったところでコックピットに入ってくる小柄な少女
ち『まだ…調整…終わらないの?……』
タ「まあね、コイツは難儀だからな、」
ち『のろま…流石伍長…最下層…』
相変わらずな毒舌ぶりで…、それだけを言いに来たのか?
タ「で、何をしに来たんだ?曹長閣下?」
ち『今日は…補充兵が来る日…1400にブリーフィングルーム…』
そういえばそうだった、機体にかかりっきりで忘れてたよ…
ち『そ、それと…////』
急にモジモジしだす曹長閣下ことちなみ、なんだか後ろ手に何か持っているようだが?
ち『こ、これ!!…た、食べて…!!//////』
勢い良く差し出される銀紙で覆われた包み、まさかこれって…
ち『勘違い…しないで…部下への施しは…義務だし……早く調整終わってくれないと…足手まといだから/////////』
斜め下を見ながら恥ずかしそうに表情を紅く染めやがって、頭撫でたくなるじゃないか!!
ナデナデ…
ち『みゅ…////////』
タ「ありがとな、これでまた頑張れそうだよ。」
ナデナデ…
ち『こら……気安く…撫でるな…/////////』
頬が緩んでますよ、ちなみ曹長閣下


〜時刻1400〜
結局機体調整が不十分なままこの時を迎えた
ブリーフィングルームにいるのはパイロットの三人、まるで転校生の紹介みたいだ。
俺の時はこんなん無かったのに……(泣)
プシュー(扉の音)
時間キッカリに入ってくる艦長ことリナ、そしてその後ろを歩く少女
あれ?どっかで見たことがあるような?
リ『それでは紹介いたしますわ、彼女が新しいパイロットの梓伍長です』
梓伍長と目が合う。互いに目が見開かれ
梓『あああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!』
俺を指差しながら大声で叫ぶ梓さん、止めてお願いだから
梓『なんでバカシがここにいるんだよ!!』
それはこっちのセリフだ。何故コイツがこんなところにいるかなあ?俺は額に手を当ててかぶりを振る
かなみ『な、なんなの!?知り合いなの!?!?』
驚愕の瞳が6個程俺を貫く、説明の義務が生まれたようだな…
タ「あ〜、俺とそこの梓は実家が隣同士なんだ、要するに幼馴染ってやつ。」
正直に答える俺、でも驚愕の瞳は疑惑の瞳となり俺を貫いたまま。やめて空気が痛いよぉ
梓『つまりそんなとこ、ボクはこれからMSのパイロットだからみんなヨロシクね。』
梓の一言で俺の疑惑は晴れる。何故俺は信用が無いn(ry
かなみ『うん、ヨロシク。私はかなみよ』
かなみと握手を交わす梓、俺を華麗にスルーしてちなみの元へ…ってオイ!!

ちなみ『ヨロシク…』
見詰め合ったまま動かない二人、一瞬で緊迫した雰囲気を形成してしまう
一触即発の雰囲気の中、梓が先に声を発した
梓『ツル』
ち『ぺた』
梓ち『『チビッ娘!!』』
「山、川」みたいな暗号か何かか?
ガッシリと両手で握手を交わす二人、恐ろしいまでの強固な結束を見た気がする


ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
響き渡る警報、タイミングがいいんだか悪いんだか…気付いた頃には格納庫への道を走っていた

ほぼ同時に機体に乗り込む俺達3人、少し遅れて梓も乗り込む
リ『かなみ機、ちなみ機、タカシ機は発進して下さい。梓機は出撃待機ですわ』
通信機を介して聞こえてくる指示
梓『えーーーー、ボクだって戦えるよーー!』
リ『演習も無しにいきなり部隊で実戦は危険ですわよ。貴女はもう少し連携を高めてから出撃なさるように』
妥当な判断だろう、俺の時は何にも言ってくれなかったのに…(泣)
か『かなみ機、ジムストライカー行くわよ!』
ち『ちなみ機…ジムスナイパーU…出ます…』
タ「タカシ機、陸ジム逝きまーす」

〜戦場〜
か『タカシ、調整不十分らしいけど大丈夫なの?』
タ「現時点で50%って所か。実戦で慣れていくしかないな」
か『半分じゃない!これだったら梓ちゃんの方が役に立ったかもね。』
タ「言ったな…見てろよ、こいつの性能を…」
会話をしているうちに敵を肉眼で発見、敵もザクは少なくなりグフやドムばかりになってきた。ま、俺達も新型だけどな

か『でぇぇぇぇぇーーーーーい!!!』
気合一閃。かなみ機のツインビームスピアが舞う度に敵機が落とされていく。今の彼女に格闘戦を挑むのは強者か愚者か
カスタム化により出力を高めているそれはシールドごと両断することも可能のようだ。彼女が敵でなくて本当に良かった
俺も負けてはいられない
タ「いっっっくぜーーーーー!!」
アクセルを踏みバーニアを点火し機体を加速させる。するとコイツは想定外な殺人的加速で敵機との間合いは一瞬で縮まった
タ「ちょ!?なんだこれ!?シュミレーターよりスゲエぞ!」
あまりの勢いに制御できず、そのまま敵機に体当たりをかます格好となる。その際突き出していたシールドが幸いして俺の機体にダメージは無かった
シールドは敵機と共に吹き飛び爆散した。だが予想外の動作と衝撃の為に敵軍の真ん中で転倒してしまう。ピンチかも
タ「え!?マジ!?」
しかし、俺に対する止めが刺されることは無かった。突然の高出力ビームが俺の周囲の敵を次々と貫いていく
タ「サンキュー!ちなみ。」
遥か遠くに機影が確認できるけど遠すぎだろ常識的に考えて。どんな命中精度と射程だよ…
その隙に俺は起き上がり戦線に参加する。これまでと違い無茶はせずに慎重な動作で撃破していく
一機一機がエースな俺達に恐れをなしたのか敵が一斉に退いていく
タ「よし、このまま行くぞ!!追撃戦だ」
異論は無い。なにしろ戦争の歴史にて証明されているように一番被害を与えられるのは追撃戦なのだから



〜ブリッジ〜
リ『友子さん、戦況はどうですの?』
友『問題なし、被害も無く追撃戦に移行してます』
ブリッジ内にも緊迫した雰囲気も無く楽勝ムードが漂う
リ『(でも、なにか違和感が………)』
……………!?!?!?!?
リ『友子さん!!今すぐタカシ達を呼び戻して!!渡辺さん!全速でタカシ達の向かった方向へ!!』
慌てて指示を飛ばすリナ。何に気付いたというのか
友『通信妨害!?ダメです!MS隊と連絡取れません!!』
渡『あれれ〜3時と6時と9時の方向から敵機確認です〜』
歯を食いしばるリナ、これは罠。タカシ達が撃退しているのは囮。本命は艦の撃墜だった…
敵は対要塞戦仕様のような装備だ。バズーカにグレネードといった高火力中心、集中砲火を喰らったらひとたまりも無い

友『リナ艦長!格納庫より通信です!』
リ『こんな時に!!いいわ!!つないで頂戴』
ブリッジのモニターにアップで表示されたのは今の状況とは正反対な表情の少女であった。
梓『艦長〜。ボクが迎撃にでるよ』
梓の出撃…それはリナの持ちうる最後のカードだった。彼女を盾にすればタカシ達との合流も可能だろう
だが、彼女は部下を犠牲にして自分達は生き残るという選択肢は持ち合わせていない
梓『気にしないで。あいつらの装備だったらボクは大丈夫だから』
自身たっぷりの梓。リナは彼女に賭けた
リ『分かりましたわ……ハッチ開いて!梓機、発進して下さい!!』
開かれるハッチ、カタパルトに軽装備のジムライトアーマーが乗る
梓『ジムライトアーマー、梓機行っくよ〜〜!』
艦から射出される梓機。すぐさま軽やかに反転し敵の群れに突っ込む


梓のたった一人の激闘が今、始まる



梓『梓機よりブリッジへ。敵軍多数確認!これより殲滅に移りまーす!!』
敵軍はミサイルやらバズーカやらを携えた重武装。それが20機程いる。一人で何とかなる量ではない
敵も梓のジムを確認すると一斉に砲撃を加えてきた
梓『来た来た。でも当たらないよ!!』
飛んできたバズーカをジャンプで避ける。そのままバーニアを点火させて距離を詰めながら空中でミサイルをかわして行く。
正に神業。正面から飛んでくる攻撃を高出力スラスターを操作して回避し続ける。なんという機体の運動性能とパイロットの回避能力だろう
そのまま距離は詰まり空中で近距離用の90mmマシンガンをフルオートでぶっ放す。
マシンガンの弾が発射直後のミサイルやグレネードに当たり誘爆。数機仕留めた!
ここに来てようやく最初のジャンプから着地。既にクロスレンジの間合いだ。
敵のドムがあわててヒートサーベルを取り出そうとするも一瞬にして頭部にヒートダガーが打ち込まれた
再びジャンプで間合いを取る。マシンガンで真上から攻撃を加えていき、着地と同時に格闘武器が振るわれる。彼女は歩いたり走ったりはしない、移動手段は空中移動のみ
敵は照準を合わせる事も出来ずに梓のトリッキーすぎる一連の動きと攻撃に翻弄されるしかなかった。
梓『弾幕でも張らないとボクには当てられないよ!!』
彼等の武装は対艦用の高火力のものばかりでマシンガンやバルカンのような物は持ち合わせていなかった
射撃、ジャンプ、回避、ダガー、回避、ジャンプ、射撃、ジャンプ、ダガー、射撃、回避
そして、最後の一機に二本のダガーが打ち込まれ爆散する。残っているのは無傷のジムライトアーマーが一機

友『すごい…たった一機で全滅なんて』
呆気にとられるブリッジ内。あまりにも非常識な戦闘と戦法に唖然とするばかりだ
艦は異常に気付いて戻ってきたタカシ達と合流を果たし、戦闘は終息へと向かっていった
タ「あ〜、ちょっといいか」
タカシ機からの通信。ブリッジ内モニターに彼の姿が移る
タ「驚いただろ。アイツは三次元戦闘の天才なんだよ、まさかここまで腕を上げてるとは思わなかったけどな」
三次元戦闘…それは前後左右だけでなく上下運動をも加えて回避を行うこと
タ「一説ではニュータイプかもしれないらしいぞ。尤も、本人も俺も気にしてないけどな」





〜戦闘後の格納庫〜
タ「梓!!」
梓『ようバカシ!見てくれたか〜ボクの華麗な戦闘をさ!』
タ「ああ、たいしたもんだ。」
グリグリ…
梓『コラ〜、頭グリグリするな〜////』
タ「おっとスマン、つい昔の癖でな。」
グリグリ…
梓『う〜〜、今回はボクのおかげなんだからグリグリじゃなくて何かご褒美くれよ!』
タ「それもそうだな、じゃあなにがいいんだ?」
梓『えっ〜〜と……優しく…撫でてよ//////』
タ「クスッ、肝心なところで甘えん坊なのは相変わらずだなww」
梓『(甘えるのはタカシだけだよ////)』
ヒョイ…
梓『そんな!?抱きかかえてなんて』
ナデナデ…
梓『あふっ……///////////』
タ「気分はどうですか?ボクッ娘」
梓『ボ、ボクッ娘いうなぁ…////////』
言葉では反抗しつつも必死に俺の胸にしがみ付く梓でしたとさ




かなみ『ライバルね』
ちなみ『…ライバル…』
リナ『ライバルですわ』
勝美『ライバルだ』
尊『ライバルだな』




第12話

〜格納庫〜
新型の初陣より数日後。俺の機体は謎のまま、命を預ける機体が得体の知れない物だなんて耐えられない
このままでは予備機での出撃も考えているという書面とともに、俺は纏さんに新型機の詳細を要求することにした
そして帰ってきた返答が
纏『すまんの、そこまで問題のある物だとはわらわも予想していなかったのじゃ。関係者に調べさせたところそいつには
  「えぐざむしすてむ」とかいう物が積まれているらしいのじゃ。とある実験機で得られたデータを元に安全性と実用性
  を高めた試験機がソレじゃ。他にもプロトタイプの機体構造じゃから扱いには十分気をつけての』
ということだ
要約するとプロトタイプのスペックは激高、これは確認済みだ。よって調整は困難を極める、これも身をもって確認済みだ
そして問題のシステム、あの殺人的ダッシュはコイツのせいだと見ていいだろう。その後リミッターがかかって解除された模様
こんなところか。システムのスイッチが入りっぱなしだったというのが一番有力な説だろう。
マニュアルも纏さんに送ってもらったのでスイッチの場所も把握している。今後は自由に使えることだろう

〜ブリッジ〜
リ『友子さん、状況は?』
友「ありませーん、周囲に異常は認められませんです。」
リ『そう、この様子なら今日は何もなさそうですわね』
友「じゃあ艦長も休憩を取ったらどうです?何かあったら呼びますんで」
リ『そうね、ならお暇を戴こうかしら』
艦長席を立つリナ、ここのところ寝食以外は働き尽くめだ

友『そうそう、タカシ君なら格納庫で仕事中だと思いますよw』
リ『と、友子さん!!///』
友『はーい、すいませーん』

〜ブリッジ〜
タ「ふう、これでほぼ調整終了かな。」
俺はコックピット内で身体を伸ばす。やっとこの機体を自分の手足にすることができた。先の実戦でデータが手に入ったのが大きい
不謹慎だが次の戦闘が楽しみだ
リ『やっと調整が終わりましたの?』
いきなり声がかかりうろたえる俺、しかも予想外な声色。リナが格納庫にくることは珍しい
タ「あ、ああリナか。こんな所に来るのは珍しいな」
リ『来てはいけないんですの?貴方の機体の調整具合を確認しておかないと作戦も立て辛いですのよ』
タ「そういうことか、それなら問題ないぞ。たった今終わったところだ。食事の時間を削って仕事した甲斐があったぜ」
リ『食事を削るのは感心しませんわね、コックピット内も散らかし放題ですし…』
リナはコックピット内を見渡す。そこらじゅうに携帯食の包みや空のボトルが転がっている
リ『自己の健康管理もパイロットの仕事の一つですわよ。これから私の部屋に来なさい。これは艦長命令ですわ』
へ?……部屋に男を招くってことはつまりそれはなにかなコレっておちけつ俺
リ『何を勘違いなさっているか解りませんが、栄養をつけて貰うだけですわ!!他のことは許しません!!!!//////』
なんだ、そういうことか…
タ「リナの手料理か……士官学校以来だな、こういうの」


〜仕官学校時代〜
ここはとある士官学校、未来の指揮官達が生活する寮内に今日も罵声が響き渡る
リ『また貴方は初歩的なミスを犯して!!仕官候補としての自覚はあるのですか!?』
俺を叱り付けるこの女性は神野リナ。代々に渡って将校を輩出する名門一族の娘だ
ではなんでこんな状況なのか…それはこの学校では演習を行う際には二人一組で行う伝統がある。
その組み合わせは主席とビリ、次席とビリ2位といった具合に両端から組むようになっているのだ。
主席なリナと落ちこぼれな俺、先の演習での反省会中というわけだ
リ『指揮官自らが前線にでるとはどういう頭ですか!それだから散々な評価ではありませんか!!』
先の演習ではバーチャルシュミレーターで自軍を指揮して敵軍を殲滅するもの。結構リアルな作りなので自分の参加も可能だ
タ「いいじゃないかよ。結果では一番被害も少なく殲滅できたんだからさ、後方でのリナの指揮も効いていたんだし」
リ『それでもです!!教官からお叱りを戴いても未だ足りないようですわね。それだから落ちこぼれなのですわよ!』

その後も反省会という名の説教タイムは続く。一体何処まで追求するんだ?
リ『ハァハァ…今回はこんなところですわね……』
タ「サーセン(やっと終わった…)」
リ『何か言いましてギロリ』
タ「いえなんでもありませんマドモアゼル」
リ『まあいいでしょう。すっかりお腹が空きましたわ。食堂も閉まってしまいましたし自炊しましょうか』
そう言ってキッチンに立つリナ、なかなか手馴れているようで様になっている
タ「なあ、せっかくだから俺の分も作ってくれないか?」
リ『ま、まあいいでしょう。2人分作るのも変わりませんし反省会に付き合わせてしまったようですから』
あれ?以外だな。ダメ元で言ってみたんだがな
リ『勘違いしないで下さい!タカシにも偶には施しを与えないと機能しませんから』
タ「orz」

そんなこんなで食事が出来上がる。メニューはご飯、味噌汁、焼き魚に漬物と和食のテンプレみたいなもんだ
タ「へぇ〜、料理上手いんだな。成績優秀で家事も得意か…俺じゃ何一つ勝てないかもな、」
リ『無駄口を叩いていないでさっさと食べてください。片づけが遅れますわ』
タ「なあ、リナってなんで仕官学校に入ったんだ?」
お互い食事も終わって休憩中に素朴な疑問を投げかけてみる
リ『決まってますわ!士官学校を出て功績を上げて将校になる為ですわ。お父様の期待も一身に受けていますし』
タ「他には?」
リ『ありませんわ!貴方はどうなのです?あの纏大佐(当時)の甥との自覚はありますの?』
纏さんの名を出してくるリナ、なんでも女性として憧れの人らしい。その甥がこんなんじゃ怒りもするかな
タ「俺は指揮官じゃなくてMSパイロットとかになりたかったんだ…」
リ『では何故いつも前線に出たがるのです?それでは指揮官失格ですわよ』
そう、俺は指揮官でありながら演習では例外なく前線にでることで減点を喰らう。なので実力的には成績ビリではない
タ「後ろで仲間が戦っているのを見ていることなんてできないんだ。俺も戦いたいからさ…」
リ『なら仕官ではなくパイロットになればいいことでしょう?』
タ「それもダメだ。突撃しろって命令を出すやつに限って安全な場所にいる。おかしいと思わないか?」
リ『そ、それは…』
タ「そんな奴らより指揮官自らが前線に立って皆と一緒に勝利の喜びを分かち合った方がいいと思うんだ」
リ『…………』
リナの表情が変わっても俺は語り続けた。ジオンの指揮官兼エースを例にとって今の軍隊を変えたいという俺の考えを…

リ『なるほど…貴方の考えは良く分かりましたわ、貴方の考えも一理あります。い、一応見直しましたわ////』
タ「そっか、やっぱ人に話すとスッキリするな。これからも成績ビリが続くだろうから頼むな、相棒w」
リ『な、何を言っているのですか!?此方としてはめ、迷惑ですわ!///////』
何故かさっきからリナの言葉の歯切れが悪い。トイレか?
リ『そ、それより、もう夜も遅いですわ…こ、このままでは周りにご、誤解されてしまいます//////』
タ「それもそうだな、それじゃリナ、また明日。」
片手で挨拶して自室に戻る俺
リ『(別府タカシ…不思議な方ですわね)』

次の日から毎日のようにご馳走になるタカシがいたそうだ。それに満更ではないリナも…






〜現在〜
タ「やっぱりリナの料理は旨いな。あの頃よりも腕上がってるんじゃないか?」
リ『当然です。誰かと違って栄養管理はキチンとしていますわ』
タ「本当に懐かしいな…といってもやってることは変わらないけどなw俺が前線でリナが後方」
リ『本当に変わりませんわね、事実は小説より奇なりとはよく言ったものですわ』
タ「どうせならずっとこのままで居てもいいかもな、リナの料理は旨いし」
リ『え!?(ま、まさか…プロポーズ!?!?)////////////』
タ「でも無理かな…リナはどんどん偉くなるだろうし結婚だってするだろうし」
リ『あ、あの…///////////私とけkk』

ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
響き渡る警報
タ「うおっ!それじゃリナ。また後で!」
ダッシュで駆けていくタカシ。自分もブリッジに急がなければいけないのだがそんな気分になれない


リ『ばか………』
その声は誰に投げかけられたものか…答えは誰も知らぬまま宙へと消えた




13話

〜艦内廊下〜
最近は出撃回数も減ってきたTD部隊。何でも宇宙では星一号作戦とやらが成功したらしく戦争の舞台は宇宙へと移った。
そんなわけで地球でも残党の駆逐に移行している。
数は少なくなったものの、生き残っている歴戦の戦士ばかりになり油断は出来ない状況だ

タ「暇だな〜」
出撃も無し、演習も無し、操縦系の整備も無し、怪我も無しだ。このままでは自室警備しかやることが無い
だが俺に平穏など訪れるはずも無く…
タ「ん?落し物か…?」
廊下の真ん中に落ちている物がある。俺はソレに近寄り拾い上げる

つ くまさんぱんちゅ

タ「ナンテコッタイ/(^o^)\」
さて、拾ってしまったものは届けなければ。でも一体誰のだ?
尊さんやリナは無いな…、梓か?意外と勝美だったら萌eって何を言うか!!
タ「とりあえず情報が少なすぎるな…」
そう思い、俺は物体Aの検証を開始する。
ふむふむ…木綿製で手触りは良好、サイズは小さめと。染みは無しで匂iって変態か!!……一人ツッコミは悲しいからやめよう
タ「ん?」
細部まで調べると腰のゴムの辺りに黒のマジックで文字らしきものが書かれていた。そこには…

ち な み

と書いてあるではありませんかorz
毒を喰らわば皿まで…届けようではありませんか…



〜ちなみ室前〜
タ「とは言っても流石にな〜」
あの毒舌娘に何を言われるか分かったものではない。しかしこのまま所持しているのを見つかった日にはオワタになること確実
コンコン
扉をノックすると部屋の中からパタパタと聞こえてくる。そしてしばらくしてから
ち『…はい…』
タ「俺だ、タカシだ。ちょっと落し物を拾ったもんでな、返しに来た」
ち『…なるほど…タカシは適当な口実を元に…部屋に押し入り…白昼堂々と…///////』
タ「コラコラ。人聞きの悪いことを言うんじゃありません。開けるぞ」
パシュー
ち『あっ…誰が…入っていいって言った…この外道…』
タ「スマン。でも出来れば人に見られない方がいいというか」
ち『つまり…見られてはイケナイことを…されるのですね…この変態…』
タ「ああもう…とりあえず返すぞ」

つ くまさんぱんちゅ

ち『…っ〜〜//////////////』
物体Aを見せた瞬間にちなみは茹でダコ化してしまう。顔から首から耳まで真っ赤である。
タ「そ、それじゃ俺はこれで…」
逃げるように反転して帰ろうとしたが
ち『…ま、待て…』
俺の服の裾を必死に掴む小さな手…さらに彼女は下を向いている。この上目使いに匹敵する威力に言うこと聞くしかない訳でして
ち『…お礼に…お茶でも…出す…』

ニア1.お茶くらいなら
 2.…ゴメン!
 3.お茶ではなく君を戴こうか!!

俺の中の天使が「3だ!!3しかねえだろゴルァ!!」とか言ってたような気がするが鋼鉄の意志で踏みとどまった
タ「お茶くらいなら」





〜ちなみ部屋〜
ちゃぶ台のようなテーブルの上に差し出されたのは普通の紅茶と普通のクッキー
ちなみは俺の対面で黙々と飲んでいる。正直言って空気が重苦しい
俺は部屋を見回したが特に変わったものは無い。(部屋の片隅に多数のきぐるみらしき物が確認できたが全力でスルー)

ち『タカシは…』
ようやっとちなみが重い口を開く
ち『タカシは…何故…私を守るの…?』
突然の質問。戦闘の時にいつも身体を張って敵から守った時のことを言っているのだろう
だが、俺にとっては当たり前なことなので思わず考え込んでしまった
ち『こんな…ひどいことばかり言って…背も小さいし…お喋りも…まともにできない…』
そこまで言って顔を伏せてしまうちなみ、普段は見ることの出来ない落胆の様子…
タ「守るって…当たり前のことだろ。俺達は仲間なんだぜ」
ち『でも…私…守ってない…』
タ「そんなことない!!」
思わず急に大きな声を出してしまった…ちなみが驚いてこっちを見ている。
タ「充分ちなみは俺達を守ってくれてるよ、ちなみがいるから、ちなみの援護があるから最前線で暴れられるんだ」
ちなみは驚愕の表情で黙ったまま。俺は言葉を続ける
タ「何度も何度もちなみには助けられてるさ。俺はもう、ちなみ無し(の戦闘)は考えられない」
ボンッ
再び一瞬にして染まる表情。なんか言ったか俺?
ち『…わ、私も……タ…カシ無しは……////////////////』
ありがたい。これが戦場で芽生える信頼関係ってやつかな




タ「でも意外だよな〜ちなみがあんなカワイイぱんつ履いてるだなんてw」
ち『…かわいい?…』
タ「ああ、ああいうのも中々いいなって」
するとちなみは意を決したように立ち上がり…
ち『…見たい?…///////////』
そのままスカートをたくし上げていく!
天使タカシ「イヤッッホォォォオオォオウ!ガタン( ゚∀゚)o彡゜ぱんつ!ぱんつ!」
悪魔タカシ「待て待て待てまだ昼だって、しかもロリは最近うるさいし!」
天使タカシ「うるせえな!!最近お前天使っぽい態度じゃねえか。あぁん!!」
悪魔タカシ「あ、いや、その…それは天使さんのほうが……でもぱんつ見たい」
 全 会 一 致 ! !

ち『…どう?…////////////////』
スカートを完全にたくし上げて顔を紅く染めて目線は斜め下45°何処で学んだ!?
キ○ィちゃんがプリントされた木綿製のぱんつが映る。息子自重!!
息子「いや、それは無理な話だZE親父!!」
俺が何も言えないでいるとちなみは悲しそうな顔になり…
ち『…これじゃ…ないんだ…』
と嘆きぱんつの両端に手を掛けてスルスルッっと脚から抜き取り捨てる。…ちょっとだけ見えた
そのままタンスの中からぱんつをたくさん抱えて戻ってくるちなみ
ち『…どれがいい?…タカシが…履かせて…』
きりんさん、いちごさん、さくらんぼさん、そしてくまさん。と色々なぱんちゅが並ぶ


(血涙で中略!!)


結局全種類履かせて脱がしましたよ



第14話

〜宇宙〜
突然だが俺たちは今宇宙にいる。これも纏指令の一言が原因だ

纏『宇宙行け』
リ『おk』

説明にして二行、俺たちの行き先は決まった。
途中打ち上げ基地を敵が襲撃とかいうスパ○ボにて定番のイベントもなく事は順調に運んでいる
タ「とは言っても無重力は慣れないもんだな」
移動に四苦八苦する俺、一番最初は平泳ぎで移動してたからな、某怪盗3世気分を味わえたから良しとするか
梓『よっ、タカシ!全然進んでないぞ』
俺の隣をボクッ娘が軽やかに追い越して振り返る。コイツは感覚がいいのか直ぐに慣れてしまった。
流石天才様は違いますな…
タ「梓か、ちょうどいいな、俺を格納庫まで連れて行ってくれ」
悔しいがこのままではいつまで経っても着きやしない。恥を忍んでボクッ娘に頼ろう
梓『え〜、どうしよっかな〜〜ニヤニヤ』
このガキャ調子に乗りやがって……こうなったら!!

ムギュ…

梓『ちょ、ちょっと何いきなり抱きついてくるんだよ!ボクにも心の準備ってものが///////////』
ええい暴れるな、もっと強くしがみ付くしかないだろう

ムギュウ…

梓『あふぅ…///////』
あれ?動かなくなっちゃった。それより急がなくては
タ「オラ、早く格納庫まで行けよ。俺はお前に掴まっていくから」
梓『ちぇっ…なんだよ…それじゃ行くから、しっかり掴まっててよ/////////』

ずいぶん遠回りされたが格納庫には辿り着きましたとさ



〜格納庫〜
周りでは無重力状態で整備員達が忙しなく働いている。俺達の機体を宇宙仕様に換装中だ
といっても殆ど地上で終わらせてきたので今は最終チェックと機密性の確認だ
俺は再び四苦八苦しながらコックピットに滑り込む
タ「さてと、こっちも最終チェックといきますか」
キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定…
チッ!なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結
ニュートラルリンケージ・ネットワーク、再構築、メタ運動野パラメータ更新
フィードフォワード制御再起動、伝達関数、コリオリ偏差修正、運動ルーチン接続
システム、オンライン、ブートストラップ起動
勝『なにやってんだ?手は殆ど動いてないぞ。』
なにやら呆れた表情の整備長こと勝美。せっかく気分だけでも味わってたのに
勝『お前にソレは似合わねえよ、どっちかって言うと勇者王の方だな』
何を言っているのかさっぱり分からないが、そんな気もする。勇者王ってだれだ?08?
タ「で、何を言いに来たんだ?」
勝『え〜と、その〜、(///)そうそう。この機体整備性劣悪だから壊すなよ!…それだけだ///////』
なんか無理矢理取ってつけた理由な気もする。まさか俺と話したかったから?……自惚れるのはやめよう

ドゴォーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!

突然の爆音のような特大な音と強い振動。異常事態が起こったのは確実だ!!
勝『きゃ!』
揺れの反動で勝美が此方に雪崩れ込んでくる。

ビィーーーーーーーーーー!!!!

直後に警報。俺は勝美のことも忘れて反射的に機体のハッチを閉めてカタパルトに乗っていた
リ『(緊急事態です!敵の奇襲を受けました。MSは順次緊急発進をお願いします!!)』
勝『痛てて…コラ!!俺がまだ乗ってるだろうが!!』
タ「うおっスマン!つい条件反射で。」
俺はコックピットを開けようと思ったが既に艦のエアーロックが開けられていて無理だ。
友『タカシ機、発進w』
タ勝『「ちょwwwwwwww」』
無情にもカタパルトが動き出して勝美を乗せたまま陸ジムは宇宙空間の戦場へ……


〜戦場〜
出撃して間も無く敵弾の雨が降り注ぐ。確かに出撃は一刻を争っていたかもしれない、友子の判断もあながち間違いではない
タ「チクショウ、勝美!何かに掴まってろ!!」
俺は機体を右に左に動かして敵弾を回避しながら両手のマシンガンで応戦する
勝『コラ!もっとゆっくり動かしやがれ!!』
横で勝美が必死に耐えている。これ以上動かすと勝美が危ない
タ「んなこと言っても!!チッ、まだ敵が増えやがる」
敵艦から出撃してくるリックドム群。EXAMを起動すればなんとかなるが、それじゃ勝美が…

か『タカシ!無事!?』
かなみ、ちなみ、梓と出撃してくる。こっちも援軍か、こりゃ力強い
タ「ちょっとアクシデントがあったけど何とか無事だ」
ちょうどいい。今なら余裕があるだろう
タ「勝美!ちょっとこっち来い!!」
勝『な!?なにすんだよ!?』
シートのベルトを外して勝美の手を引っ張り無理矢理俺の膝に座らせる。その後ベルトを伸ばして勝美と俺をシートに固定させた
タ「これで少しは激しく動けるってもんだ」
勝『バ、バカ!!こんな密着状態なんて…モゴモゴ///////////////』
タ「良し!みんな蹴散らすぞ!!」

あれれ〜味方から殺気を感じるよ〜。なんで〜?
これは後から解ったことだが友子の仕業で全機とブリッジに俺のコックピット内映像がリアルタイムで配信されてたらしい…
タ「ちょ!?かなみ、俺のとこに敵を飛ばすな」
かなみの格闘戦で蹴りを喰らった敵機が此方に飛んできた。これで3機目…絶対ワザとだ
タ「ちょ!?梓、カメラの前を飛び回るな」
梓が俺の機体のメインカメラ映像内を重点的に飛び回ってかく乱する……俺を
タ「ちょ!?ちなみ、今かすった!絶対かすった!!」
後方から殺気のビームが迫る。ジュッという機体を掠る音が偶に聞こえる
リ『渡辺さん…砲手をお願い致しますわ…』
タ「それだけはらめえぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!!」
あの悲劇は思い出したくない。一方勝美は…
勝『モジモジ////////////////』
密着してるから勝美の心拍数が高いのを感じる。恐らく初めての戦場だから無理はないか




奇襲から体勢を立て直した俺達は初の宇宙戦だというのに相手を圧倒した
かなみは元々宇宙の出身らしく無重力空間での格闘戦も難なくこなし
ちなみは宇宙に出て射撃の遮蔽物が無くなり実力を余すことなく発揮し
梓は重力から解き放たれたことにより3次元戦闘に磨きがかかった
俺は今回は勝美がいるのでEXAMは封印したが次第点以上の働きをしたつもりだ
俺達が3分で12機のリックドムを落とし、リナの艦砲射撃が敵艦を捉えて撃沈。戦闘は終了する


〜格納庫〜
タ「お〜い、勝美?大丈夫か?」
俺の膝の上で座ったままの勝美に声をかける。
勝『ううぅ…//////////////』
内股でモジモジとして耳の裏まで真っ赤だ。結構初心(うぶ)なんだな、いつもの言動とのギャップがタマランぜ
俺はベルトを外そうと前に手を回そうとしてあることに気付いた…
その前に状況を整理しておこうか諸君。
まず俺は機体のシートに座り勝美は俺の膝の上に座って密着。そしてベルトは胸の前で交差するタイプの物
つまりは勝美の極上OPPAIを強調してやがるのですよ!!なんてけしからん!!
お馴染みの脳内会議を行いますか…
天使タカシ「( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!」
悪魔タカシ「( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!」
  タカシ「( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!」


 今 世 界 が 一 つ に


早速後ろから手を回して…

もみゅもみゅもみゅもみゅもみゅもみゅ…

勝『ひゃ!…にゃにを!…んぅう!…!…!?』

ぽみゅむにゅむみゅぽみゅもみゅり…

勝『ちょ…!…こらぁ…!…あ!…やめ…ひゃうん!!』

むにむにコリコリぽむぽむクリクリ

勝『そこは…ダメ……あぁん!!』
もう一心不乱に弄り続ける。俺も勝美の息もどんどん荒くなっていく…
だが空気読めないヤシは何処にでもいるもの。勢いよく目の前のハッチが開かれる!!
全員『覚悟はいいか……』
そういえばココの映像は全機体に配信ずm


俺の記憶はここで途切れている



第15話


我らがTD部隊が宇宙に出てから暫く経つ。連邦の部隊はア・バオア・クー攻略作戦で大忙しだ
そんな中TDに与えられた任務はゲリラ戦を試みるジオンの駆逐だ。相手戦力はそれほどではないが頻度が多すぎる

〜医務室〜
別に怪我をしたわけではない、ちょっとした定期的な健康診断だ。
尊『異常無しだ。つまらないな…』
タ「何言ってるんですか、いいことでしょう」
尊『む、それもそうだな…』
いつものことだが、念入りに聴診器を当てられたり触診されてるけどそこまでやる必要あるのか?
尊『と、ところでお前は戦争が終わったらどうするのだ…?』
確かに次のア・バオア・クーの決戦が終われば事実上戦争は終結する。俺のような軍人達も少しは身の振り方を考えなければならない。
タ「そうですね…軍人を続けるのか、辞めるのか、終わってから考えますよ」
尊『そうか…だが将来を少しは考えておくものだぞ』
タ「そうかな…でも一つだけ決めてることはあるんですよ」
尊『ほう…それは?』
タ「えっと…その…軍人を続けるにしても辞めるにしても、いずれ結婚したら退役しようと思うんです」
尊『けっ結婚!?//////』
タ「そうじゃないと嫁さんを愛せないし…って聞いてないですよね…スンマセン」
尊『あ、愛し…プシュー/////////』
タ「あれ?尊さん?…まあいい、行こう…」

医務室を後にする俺、扉を閉めた直後に中からバタンという人が倒れたような音がしたが、医務室なので心配ないだろう



〜艦内廊下〜
もう無重力下での移動も慣れた、これでボクッ娘を移動手段にしなくて済む。何故か梓はつまらなそうな顔をしていたが…
リ『タカシ!?此処にいたのですか、探しましたわ。』
バッタリとリナと会う。探してたって?
リ『あと少しで艦内放送で呼び出すところでしたわ、いつも肝心な時にいないのですから』
タ「ゴメンゴメン、でも急ぎの用って程でもないみたいだけど…」
それもその筈。急を要する用件なら真っ先に艦内放送だもんな
リ『ええ…実はタカシの今日付けでの昇格が決まりましたの』
タ「え!?マジ!?これで伍長とはオサラバだ〜」
リ『で・す・が!非戦闘員よりも階級が低いのは他に示しがつかない為の処置です。そこの所勘違いなさらないで』
タ「そっか…そうだよね(´・ω・`)」
リ『い、一応…おめでとうと言わせていただきますわ/////////////』
タ「ありがとう、リナ。それじゃあな」
壁を蹴ってリナに背中を向けて飛んでいくタカシ。どんどん開いていく距離

リ『あ………』
唯それだけのことなのに…開く距離が二人の距離に感じられた
リ『行ってしまいましたわ…』

ビィーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!

途端に鳴り響く警報。リナはタカシと反対の方向に駆ける……胸にモヤモヤを抱えながら



〜出撃前格納庫〜
タ「勝美!俺の機体は行けるか!!」
機体の元に文字通り飛んで行き、コックピット近くにいる勝美に声を掛けた
勝『もちろんだ!誰が整備してると思ってやがる!!』
コックピットに乗り込む際に背中をバチーーンと叩かれる。なんだか気合が入るぜ
タ「よし、それじゃ行ってくるぜ勝美」
親指を立てて合図を送る。だが勝美の表情は浮かばない
勝『あのさ…帰ってきてくれるよな……』
タ「当たり前だ!誰が操縦してると思ってやがる!!」
セリフをそのまま返して返事を聞かずにハッチを閉めて出撃準備に取り掛かる


タ「別府タカシ、陸ジム行きまーす!!」


勝『そうだよな……ハハ、俺らしくも無い…』
空っぽになったタカシ機のハンガーを眺めながら勝美は呟く…





〜戦場〜
タ「リナ、状況はどうなってる!」
リ『現在は挟み撃ちを受けている状況です。MS隊は二手に分かれて迎撃をお願いしますわ』
正面に結構な大部隊、背後にも一部隊。状況は芳しくないようだ、だが俺達ならやれる!!
タ「かなみ、ちなみ、梓。俺が背後の部隊をやる!!皆はこのまま正面を頼む!!」
か『ちょっと!?一人でやるつもり?確かに後ろの方が手薄だけど…』
タ「大丈夫、俺はお前達と違ってバランス形だ。それに正面を2機で当たるのは無理だろ?」
確かにこの状況では一番の人選だろう。この部隊は個性派ぞろいで一機での戦闘は向いていない
ち『…なら…さっさと…行け…』
梓『こっちはバカシが居ない方がやりやすいもんね』
タ「言ってろ、んじゃ行ってくるぞ!!」
タカシ機のみ反転してブースターを噴かす、この加速にも慣れて随分経つ。あっという間にかなみ達の視界から消えてしまった

〜かなみの分隊〜
か『このっ!!墜ちなさいよ!!』
ビームスピアが振るわれるも闇雲に大振りなソレはなかなか当たってくれない。アイツがいれば心強いのに…
か『なんでっ、アイツのことなんか!!』
モヤモヤを振り払うように再びスピアを振るう。が、横からの敵弾によりそれは叶わなかった
か『ぐうっ…こんのぉ!!』
なんだろう…今日は調子が悪い

ち『…っ!…外した…』
今日は著しく命中精度が低い。アイツがいないだけなのに…
ち『…関係…ない…』
再びトリガーを引くがビームはチャージ中。仕方なく実弾ライフルに持ち替える
ち『…当たれ…』
何故だろう…今日は調子が悪い

梓『きゃぁ!、あ、危なかったー!』
ヒヤリとするシーンが多い、この機体はまともに貰えば唯ではすまない。アイツがいたら庇ってくれるのに…
梓『バカシがいなくても!!』
銃弾を浴びせるが火力が弱い。弾幕が張られてダガーも使えない
梓『ああ!!イライラする!!』
どうしてだろう…今日は調子が悪い

だがしかし、腐ってもエース部隊。リナの艦主砲が敵艦を沈め、MSも着々と数を減らして勝利も間近だ。
リ『こちらは終わりそうですわね。タカシはどうなったのかしら?』




〜タカシ機〜
タカシは一人で敵軍に迫って行く。正面に青い地球をバックにした敵部隊が見える。そしてあっという間に互いの攻撃範囲が重なった
一斉に飛んでくる敵弾!
タ「最初から飛ばしていくぜ!EXAM起動!!!」
機体の目の光が赤色に変わる。機体の間接部から気体を噴射。もしここが地上なら蒸気が吹き出ていただろう
ゆらりと上げられた目線は獲物である群を捉え、武器を構え、姿勢を整える。目が光った気がした…

―――狩りが始まる

敵弾の隙間を縫うように殺人的ダッシュ!その際にも両手の銃口は二機の獲物を同時に狩る。
途中で右手のマシンガンを腰のマウントに設置、サーベルに持ち換え。獲物に迫りすれ違いざまに一閃――3機目
そのままダッシュの勢いを殺さず旋回、左手の銃口は火を噴き続ける。爆散……4機目
バズーカ弾が飛んできた、頭部バルカンで迎撃、その爆風をブラインドに突っ込む。5機目
右からヒートホーク!!機体を回転させてギリギリで回避。その回転で蹴りを放つ!吹っ飛ぶ獲物、鉛玉で追い討ち。6機目
弾切れを起こす!手近な獲物に投擲。命中、獲物が怯む。その隙に腰部からもう一丁の銃を取り蜂の巣に……7機目
獲物が撤退を始める。逃がすものか!!背後からダッシュで膾切りに……8機目
敵は…獲物は何処だ…なんだ、もういないのか

ここでEXAMのタイムアップ。怒涛のように押し寄せる疲労の波に流されそうになるが踏みとどまる
投擲した銃を回収し弾装も交換しておく、こっちは一段落かな?



目の前に何かが見える。まさかな…
タ「おいおい……マジかよ…」






〜再びブリッジ〜
リ『こちらは終わりそうですわね。タカシはどうなったかしら?』
前方の部隊は撃破も時間の問題だ。後方の部隊はタカシが一人で対応しているが規模が少ないのでそろそろ終わる頃か
友『艦長!!タカシ軍曹から緊急通信です!!』
嫌な電流が背筋を走る
リ『す、直ぐにつ、繋いで頂戴!!』
声が震える。何故こんなに不安なの?背筋の電流は既に全身に回っている

タ「こちらタカシ機、敵の援軍を確認。規模はザンバジル級が3隻だ…」
―――絶望
対応できるわけが無い。このままでは前方の部隊を叩いている間に後ろから突かれる。
前方を速攻で撃破して逃走?…ダメだ、間に合わない
何か…何かがザンバジル級を足止めしてくれれば――――

タ「俺が奴らを足止めする」

何を言っているのだろう…いくら新型でもたった一機でできるわけが無い。
リ『タカシ!!!アナタ、自分が何を言っているか分かっているのですか!!!!!!!』
艦長のプライドとか面子とか関係ない。艦長からパイロットではなく、神野リナから別府タカシへの叫び
タ「分かってる…お前達はこのまま前方を突破して友軍と合流するんだ」
リ『許可出来ません…許可いたしません!!』
タ「 黙 れ ! ! ! ! ! ! 」
リ『ひっ!?』
初めて聞いた。タカシの怒りの声…それは今、自分に向けられている
タ「このままじゃ全滅だ…俺は一人でも多く生き残る道を選ぶ。それにな……俺なら大丈夫だぜ♪」
虚勢なのは分かっている。タカシも状況を理解していないわけではない。リナは一生で最強の覚悟を今決めた
リ『全部隊に告ぐ…これより本艦は前方を全速で突破!!タカシ機は…タカシ機は後方の足止めを命じます!!!!』
涙が溢れる…突破するべき前方が歪んで見えない。だが彼女は拭わない、拭ってはならない!!






〜タカシ機〜
タ「行ったか…」
前方に大部隊。戦艦3隻、MS40?50?
タ「多すぎだ…とりあえず短い付き合いだったがな…最後まで付き合ってもらうぜ、相棒!!」
彼は自分の愛機に声をかけ、切り札のEXAMを起動させ、ブースターを点火する
タ「いっくぜぇーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
なんという生き生きとした表情だろう…何が彼をここまで動かすのか?
タ「俺は…お前らを…守り通す!!!!!!!!!」
たった一機の死闘が始まった
タ「そう簡単にはやられねぇぞぉーーーーーー!!」

〜ブリッジ〜
一時間後
友『………タカシ機、信号…ロストしました…』
静まり返る艦内、誰もが解っていた結末。なのにこんなにも辛い…
部隊の皆はポッカリと埋まることの無い大きな大きな穴を開けることとなった
〜タカシ機〜
あれからタカシ機は正に修羅の如き戦果を残した
戦艦1隻、MSは数えていなかったが20機は超えていただろう。それをたった一機で、集中砲火を浴びながらだ
タ「ハハ、俺…頑張れたかな……」
答えは返ってこない。そこに存在するのは両腕、両脚をもがれたスクラップMS
コックピット内は火花が散り続けてメインカメラが辛うじて生きているだけで残りは全滅だ
タ「ホント、地球って青いんだな」
随分と流されたのだろう。カメラの映像はアップになった地球しか映っていない。
そして、機体は地球の重力に引かれ墜ちていく
タ「最期は流れ星か……悪くない…」


この日、タカシ伍長は一日にして3階級特進を果たす。




前へ  / トップへ  / 次へ
inserted by FC2 system