第6話




リナ『それでは作戦を説明致しますわ』

ここはTD部隊作戦室。あれから艦の修理と補給を済ませ纏指令よりとあるポイントの攻略を命じられた
TD部隊っていうのはこの部隊の正式名称らしい。なんでもTactics Dividerの略語なんだそうだ
どうみても中2辺りのセンスだと思う。ま、俺は別の意味があると踏んでいるがね
おっと話が逸れた。再び部隊を戻そう

ここはブリーフィングルーム。ここにはパイロットの俺とかなみとちなみ、艦長のリナがいる
リ『今回攻略するのはこの砲台施設ですわ』
目の前の画面に地形が浮かび上がる。これは随分と攻めにくい
リ『見ての通り砲台は山の頂上にありますわ。その射程と威力は相当なものですわよ』
タカシ「そんなものどうやって攻めろと?」
リ『話は最後まで聞きなさいタカシ伍長!』
伍長にアクセント置いて怒鳴られた。タカシ悲しい
リ『コホン、で、今回は砲台の射程外からの狙撃を敢行いたします!』
な〜るほど、ヤ○マ作戦で行くってことね。俺の脳内で山の洞窟内を進んで砲台の懐に入るって作戦が浮かんだのは内緒だ
リ『ちなみ曹長』
ちなみ『…はい…』
リ『貴女が狙撃手を担当なさい。いいですね』
ち『…了解です…』
リ『まず狙撃ポイントを確保。その後かなみ、タカシ両機はちなみ機を死守』
リ『砲台破壊後は速やかに撤退すること。いいですわね』
かなみタカシ『「了解!!」』
リ『作戦は以上ですわ。開始は6時間後の1400。解散』

〜艦内廊下〜
タ「しっかし狙撃なんて大丈夫なのか?ちなみ?」
ち『…タカシとは……出来が違う……問題ない…』
さいですか…でも冗談無しにちなみの射撃技術は相当なものだ。俺じゃ相手にならないと思う。かなみは論外
タ「でも陸ジムで狙撃は難しいだろ、スナイパー系でも配備されないかね?」
ち『…MSの性能が…戦力の差じゃないって……誰かがいってた』
タ「ま、頑張ってくれ。狙撃までは俺が守ってやるからな」
プイッ…スタスタ
ち『…………(////////)』
急に顔を逸らして歩き去っていくちなみ。俺なんかしたか?

一人取り残される俺、すると入れ替わるようにかなみが現れた
か『ちょっとタカシ、あんまりちなみにプレッシャー掛けないでくれる』
タ「プレッシャー?」
か『そ、ああ見えてあの子プレッシャーに弱いのよ』
タ「そうなのか?…でも大丈夫だろ」
か『なんでそう楽観的なのよ?』
タ「信じてるからかな…もちろんかなみだって信じてるけどな」
か『(//////)…アンタってよくそんな恥ずかしいことサラッと言えるわね』
タ「そうか?」


物陰で耳をたてる小柄な人物が一人…
?『…信じてる…か……♪』

〜作戦開始〜
か『かなみ機、陸ジム出るわよ!!』
タ「別府タカシ、陸ジム逝きまーす」
ち『…ちなみ機、…スナイパー仕様陸ジム…出ます…』

友『全機出撃完了しました』
リ『そうですか…本艦はこの場で待機しますわ。渡辺さん、索敵を怠らないで』
渡『あれれ〜〜敵がいっぱいです〜』
友リ『『ちょwwwwwwwwww』』


か『ブリッジ、こちら狙撃ポイントに到着。早速敵の部隊が来た模様。作戦通りタカシ機と共に迎撃します』
狙撃ポイントは砲台の射程外に陣取る。ちなみ機は増設の大型ジェネレーターを背負い、それに直結した大型狙撃ビームライフルを携えていた
実質MS戦闘は不可能だ。俺とかなみで守るしかない

戦闘が始まる

敵は今のところちなみ機の存在に気付いていないようだ。こっちにとってはありがたいことこの上ない
砲台に守られていると思っているのだろうか、敵機の数もそれ程多くない。俺とかなみで対処可能だ

〜狙撃ポイント〜
ち『…ターゲット…ロック……』
スコープを覗きこみ、引き金に指を掛ける
(タ「しっかし狙撃なんて大丈夫なのか?ちなみ?」)
ち『…くっ…』

発射

空を翔ける一筋のビームの柱。それは真っ直ぐ敵軍の要の砲台へと伸び………………外れた!?

タ「外した!?!?…マズイ!!敵がちなみに気付きやがった!!」
敵の一部がちなみの元に向かおうとする
タ「行かせるかよ!!かなみ!そっちは頼む!!」
か『了解!!』

タ「どぅおぉりゃーーーーーー!!!!」
とにかくちなみを狙う奴をサーベルでもって切り捨てる。なんとか第二射まで持つか…ん?通信だ?
タ「どうした?こっちは手が一杯だぞ」
か『タカシ!!早く奥のザクを片付けて!!アイツはマゼラトップ砲持ってるわ!!』
なんだって!?←(こっちは緊迫してんだ、例のグループには自重してもらおう)
慌てて見回すと確かにちなみに向かって構える一機のザク。考えるよりも身体が動く
か『バ、バカ!!そこは…』
タ「おりゃーーーーーー!!!!!」
サーベル一閃で切り倒す。だが何故だ?周りの敵が俺から距離を取る
か『ソコは砲台の射程内よアホーーーーー!!!!』
タ「なんだって!!??」←(ry
砲台を見ると砲口がこちらを向いている。アレを喰らったら終わりだ。俺は叫ぶ…
タ「ちなみーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

〜狙撃ポイント〜
砲台がタカシの方を向いていた。第二射のチャージは終わっている…次は外せない
ち『タカシは…私が…守る』
再び引き金に指を掛ける。もう迷いなどない
(タ「信じてるからかな…もちろんかなみだって信じてるけどな」)
ち『タカシ…私も…信じる…』
ち『…すないぱーちなみんです……露骨にエッチ露骨にエッチ……』


発射



〜格納庫〜
タ「ふぅ〜〜今回は危なかったぜ〜」
あれから砲台を破壊された敵は烏合の衆。長居する理由も無いので言われなくてもスタコラサッサで撤退した

ち『…射程内に入るとは……愚かすぎです…さすがタカシ……』
タ「酷いなw、あれはちなみを守るために仕方なくだな」
ち『あれぐらいなら…避けれた……タカシと一緒にするな…』
このガキャ♯ 少しの間言い合っていると友子がニヤニヤしながら近づいてきた
友『ふ〜んwwタカシ君、ちなみ、ココに面白いテープがあるんだけどな〜〜wwww』
ち『!!??…ま、まさか…』
スイッチオン!!
(ち『タカシは…私が…まm』)
俺はここまでしか聞こえなかった。何故なら友子が逃げ、ちなみが物凄い勢いで友子を追っていったから
タ「何なんだ?一体?」



第7話


タ「尊さんちわ〜す。またお願いしますね」
尊『またお前か…全く、医薬品もタダではないのだぞ』
ここは尊軍医の戦場である医務室。今回の来客…いや、今回も来客は我らがタカシ伍長その人ナリ
タ「仕方ないじゃないですか。戦闘にケガは付き物ですから」
尊『それはそうだが…お前はケガが多すぎるぞ。少しは私の仕事を減らす努力をしろ』
タカシ伍長はこの部隊に転属してからというもの生傷が絶えない。というのも彼の戦闘スタイルが変化したこともある
特徴がないのが特徴と言われた彼の評価だが、最近は周りのフォローに追われる日々
突っ込みまくる前衛かなみ、接近されると何も出来ない後衛ちなみ。
前衛の援護をしてると後衛が狙われ援護に戻る。その間に前衛が孤立、以下無限ループ
自然と無理な操縦を繰り返すことになりパイロットにかかる負担とGは増え、無傷で帰還することの方が少なくなっていた
尊『仲間を守るという行為は見上げたものだがな、自分が倒れては意味がないのだぞ』
タ「あれ?ひょっとして心配してくれてるんですか?」
尊『ばばば馬鹿者!!赴任先で死者が出たら私の評判が悪くなるだろう。そそそれだけだ!!!(////)』
タ「そんなことだろうと思いましたよ…治療はお願いしますね…orz」
尊『(馬鹿者…でもケガをしなくなったら私の所にはもう……)』
タ「どうしたんです?深刻そうな顔して?」
尊『なんでもない。さっさとケガした患部を出さんか(嫌な女だな…私は…タカシにケガして欲しいなんて…)』
タ「それじゃ遠慮なく」
脱ぎ脱ぎ
尊『ななな何をしてるか馬鹿者!?そんなイキナリはダメだ!!(私にも心の準備が…(/////////))』
思わず後ずさる尊。その拍子にベッドに躓き仰向けに倒れこむ
タ「だって今日は胸部の打撲なんだから仕方ないでしょ」
尚も脱ぎ続けるタカシ。ブートキャンプで鍛えられた胸板が晒される
尊『(意外と逞しいではないか……守られて…みたいかも…)///////////』
だが、ここでタカシの背後で扉の開く音が。なんだ?また忘れ物か?
リ『尊さん。医薬品の請求の件ですけ…れ…ど……も………』
OK、状況を整理しよう。(患部を出す為に)服を脱ぎ上半身裸な俺、後ずさってベッドにあお向けな尊さん←何故か顔真っ赤
そして乱入のリナ、これも驚愕の表情で顔真っ赤

結論:\(^o^)/

ビィーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
突然の警報!!俺にとってはありがたいことこの上ない
タ「それじゃ!俺機体に乗り込みますんで」ダッシュ!!
リ『逃げましたわね……許しませんわよ…』ゴゴゴゴゴゴゴ

さっさと機体に乗り込み出撃する俺、戦闘が終われば冷静に考えれるだろ…多分
タ「とりあえず蹴散らしますか。」
か『今日はアンタにトップを任せるわ、なんかやな予感がするの…』
タ「そうか、了解だ!こういうときの予感って結構大事だしな」
頼られるのに悪い気はしない。俺は先頭をきって敵陣に突っ込む

〜ブリッジ〜
リ『総員第一種戦闘配備、本艦は援護射撃を行いますわ。砲撃手は渡辺さん、貴女にまかせるわね』
ピシッ…凍りつくブリッジ
渡『分かりました〜行きますよ〜〜』
何故か皆拝んだり十字を切っている。何が起こるというのか?
ドンッ…ドンッ…ドンッ…(砲撃の音)
友『砲撃開始。着弾まで8…7…6…5…4…3…2…1…命中です!!



  タカシ君に』
渡『あれれ〜〜敵に当たりません〜〜〜』
ドンッ…ドンッ…ドンッ…
友『命中。命中。空中コンボ入りました!!


  タカシ君に』
タ「ちょwwwwwなんで俺がwwwww敵も巻き添え食ってるしwwwwしかもこういう時だけジム頑丈wwwww」
結局被害はタカシのみで先頭は終了した。最後に通信で『自業自得ですわ』という声が聞こえた希ガス

〜医務室〜
尊『で、また全身骨折ということか』
タ「サーセン」
またも俺は医務室に逆戻り。また尊さんの神接骨で治(直)してくれるのか?
尊『これも天罰だ、しばらく全身ギブスで過ごすがいい』
タ「工工エエエ(´Д`;)エエエ工工」
尊『情けない声を出すな馬鹿者。その代わり私が世話をしてやるからな(/////////)』
そう言って部屋を出て行く尊さん。十数分程で戻ってくるが、俺の目は戻ってきた尊さんを見てガチで飛び出た
尊『患者の世話をするのは…看護士の仕事だからな…然るべき格好をするべきかと思ってな…(/////////////)』
何 故 に ナ ー ス 服 ?俺は身体が動けば親指を立てているところだろう。しかも胸元が少し開いていてスカート短いし!!多分友子辺りの差し金か
それにしてもこの女医、ノリノリである
尊『それと食事を貰ってきた。それでは食べれないだろう』
いわゆる あーん というやつだ。顔を真っ赤っかに染めながら嬉しそうな顔でやられるとこっちまで顔がニヤける
尊『こら、口の周りに付いてるぞ』
ひょいとソレを掴みそのまま自分の口に運ぶ。ヤバイ、俺まで真っ赤だろう…さっきから破壊力大杉
タ「あ、あの…尊さん…それはちょっと…」
尊『ん、なんだ…食べられたくなかったのか?ならこういうことか?』
同じように口の周りのものを指ですくい、今度は俺の口に押し込む!!柔らかい指の感触。自然と吸い付いてしまう
尊『んっ…(/////)コラ!やめんか(///////)』
でも表情は嫌がっていない
タ「えーと、同じ指でやったら…その…間接キス…」
尊『そ、そうだな…そそそれぐらいのことがどうかしたのかか』
必死に平静を装うとするが表情がさっきよりも格段に紅い。バレバレですよ…

食後もナース服で仕事する尊さん。動いたり屈むたびにスカートがスカートが!!
………白
息子よ…今は立ち上がる時ではない

尊『さて、体温でも測ろう。動くでないぞ』
動けないんですけど…そんな心のツッコミも虚しく体温計を手に近寄る尊さん。体温計を脇に挟ませるために自然と俺に覆いかぶさるようになる
タ「(隊長!!隊長!!谷が、谷が迫ってきます!!)」
ええ、それはもうたわわな亜wせdrftgyふじこlp;@:「」
タ「(か、回避不能ーーーーーーーーーー!!!!!)」

ぽよん

チクショーーーーー!!!(穴子風に)
ギブスが無ければ…ギブスが無ければ…ぽよんぽよんだったのにーーーー
尊『馬鹿者……(////////)何処を見ているスケベが(///////)』
俺の視線に気付き胸を腕で隠しながら此方をみる。あのー尊さん、真っ赤で上目遣いで胸隠すとか一発レッド確定ですよ。なんだか俺も暴走気味だぜ
結局測り終わったあとも嬉し恥かしで体温計を抜き取った

尊『とにかくそのまま安静にしてるがよい…パイロットにも休息は必要だ』
急に顔を真剣にして語りだす尊さん。こちらもシリアスモードになる
尊『ケガだったら幾らでも治してやる。だから思うようにやれ、それがお前だろう』
タ「俺…幸せ者ですね……尊さんみたいな人に守ってもらえて…」
尊『馬鹿者……(私も守られているのだからな…)』


タ「あの…尊さん……」
尊『どうした?なにかあるのか』
タ「え…っと…その…ト、トイレに……」
尊『そ、そうか…少し待っていろ…(/////////////)』
タ「ちょっと!?尊さんソレって尿瓶ですよね…」
尊『さあ……遠慮なくするがいい…(//////////)』
その時、医務室に飾られた花が一輪、ハラリと落ちた

尊『(意外と逞しいではないか……挿(省略されました))/////////////』



第8話


〜戦闘終了後の格納庫〜
パシューー
勢い良く空気の抜けるような音とともに陸ジムのコックピットハッチが開く
タ「プハァーーー、今回も何とかなったな」
勝美『なにが「何とかなった」だこの野郎!お前左腕何処置いてきやがった!!』
開けられたハッチの中に身を乗り出して怒鳴る勝美。
彼女の言う通りタカシのジムには左腕が無い。他にも損傷が激しく大規模な修理が必要のようである
タ「スマン…勝美。今回はしてやられた…すまないが医務室に行かせてくれ…」
機体と共にパイロットも負傷していた。見ただけで何箇所の打撲が確認でき、こめかみからは出血している
彼自身の声も非常に弱弱しく感じられた。だがそんな彼にかけられる言葉は…
勝『早く医務室でも何処にでも行って来い!!整備の邪魔だーーー!!!』
タ「分かった…分かったから、そんなに怒鳴るなって……」

一人格納庫を後にするタカシ。廊下に身体を預けながらズルズルと医務室へと向かう
最近の勝美はやたらと罵声を浴びせてくる。いつもは(ある程度)気さくに話す仲だが帰還後は本当に酷い
タ「くっそ…勝美の奴……幾ら機体を壊したからって、労いの言葉一つくらい言ってくれてもいいじゃないか」
彼の呟きは宙に消える。いつも帰ってきて最初にかけられるのは勝美の罵声。やれ壊しただの、やれ丁寧に扱えだの
最早格納庫での恒例行事となっている。なんだかかなみとちなみは面白くないような顔で見ているようだが…


〜医務室〜
プシュー(扉の音)
タ「み、尊さん…」
尊『ふむ、来たか…っ!?…タ、タカシ!?!?』
尊さんは振り向いて此方を確認すると急いで駆け寄ってくる。
尊『馬鹿者!!さっさと来て其処に横になれ!』
そう言いながら俺を引っ張りベッドに横たえる。直ぐに開始される治療
タ「ごめんなさい…ちょっと疲れちゃいました…寝てもいいですか?」
尊『分かった。ゆっくりと休むがいい…ケガは時間と共に治るだろう』
尊さんの言葉を聞きながら、俺はとてつもない疲労と安心感で意識を失った




〜医務室〜
タ「う、う〜ん」
目を覚ますとそこは赤い夕日が差し込む医務室だった。戦闘が終わったのが午前中だから4、5時間くらい眠っていたのか?
?『や、やっと起きやがったな…(////)』
声のする方向を見ると意外な人物がそこにいた。彼女は俺に横顔を見せるようにベッド脇の丸椅子に腕を組んで座っている
勝『な、なかなか起きてこねぇから…来ちまったじゃねえかよ…(/////)』
目線は固定したままぶっきらぼうに言い捨てる勝美。顔が紅いのは夕日のせいだろうか
タ「勝美、ひょっとして看ていてくれたのか?」
勝『バ、バカヤロウ!!俺はお前の機体整備で徹夜になりそうだから栄養剤を取りに来ただけだ!!』
依然姿勢と目線は固定したままで
勝『そしたらお前が間抜けな寝顔で寝てたもんだからちょっと見てただけだぞ!!』
一通り言い終えると怒るように席を立ち医務室を出て行く勝美
勝『これからまたお前の機体の整備だ。じゃあな!!』
怒りながら部屋を出て行く勝美を見送ってから溜息をひとつ
タ「ヤレヤレだ。取り付く島も無いな…」
何故か唇が少し濡れていたが、気に留めることではないだろう

俺は「自室に戻る」という書置きを残して自室に戻った。出血の傷口も塞がり、打撲の腫れもあまり気にならない
明日はもっと酷くなるだろうがMSの操縦には支障が無いだろう。要するに明日も戦えるということだ

〜夜中〜
タ「眠れねえ……」
それもそのはず。昼間ずっと寝ていたせいか全く眠れない
タ「少し出歩くか」
確か勝美が今夜は徹夜〜みたいな事を言っていたな。とりあえず飲み物と携帯食を持って格納庫に行くことにした
タ「(最近機嫌悪いからな…いろいろ話してもいいだろ)」
格納庫への廊下を歩いていると目的地の方から音が聞こえてきた



格納庫に辿り着くと其処には一人で作業する勝美の姿があった。
タ「お〜い、勝美」
声をかけるとビクッという擬音が聞こえそうなほど体が跳ね、こちらに振り向く
勝『タ、タカシ!?い、いきなり声かけるんじゃねえよ!』
俺はやれやれという言葉を飲み込んで勝美に近寄る
タ「大分直ってる。この短期間でホントにありがとうな…」
俺の陸ジムの左腕は完全に元通りになり、所々の損傷もなくなっている。その代わり予備機の左腕が切り取られていたが
勝『まあな、いくらお前でも貴重な戦力だしな。それに早く戦線復帰させないと稼働率がやばいんだよ』
確かに俺のジムは修理ばっかりしてる。被弾率もトップクラスだ。何せ友軍を庇い続けてるのだから
タ「ゴメンな…俺が無茶な操縦ばっかりしてるからだよな」
勝『当たり前だ。なんで僚機を庇う必要があるんだよ!なにもお前が食らうことないだろ!!』
タ「それもゴメン。でも身体が動いちまうんだよ…これは俺の性分なんだ」
勝『良くねえよ!!そのうち取り返しがつかないことになるぞ!』
タ「いいんだよ……俺だって勝美の整備した機体で死ねれば本望だから…」
だが、その言葉を聞くと勝美は顔を伏せてしまう。前髪で顔が隠れて表情を伺うこともできない
勝『…………っ……ぃ…ぅ……』
タ「え?」







勝『死ぬって言うなぁ!!!!!!!!!』




突然の悲鳴に似た叫び…それは彼女の心の底からの叫びに聞こえた。初めてな気がする。彼女の本心を聞くのは
そして、間を置かずに俺の胸倉を掴んできた。俺の持っていた携帯食とボトルの水が床に落ちて転がる。
勝『バカヤロウ!!何が本望だ!ふざけるな!!!』
俺の顔の間近にて全力で怒鳴る彼女は怒りの表情で涙に濡れている。
そんな彼女を見て俺は…不謹慎にも美しいと思ってしまった
勝『お前…俺の気持ち考えたことあるのか!!!』
彼女の悲鳴は続く
勝『お前はいつも帰ったらボロボロ、コックピットは血まみれ!!俺は機体なんてどうでもいいんだよ!!!!』
勝『お前が無事なら…俺は…それだけで……』
勝『俺は…お前が帰ってこなかったら……俺は……』
溜めていたものを吐き出していく勝美。だんだんと勢いは失われ、最後には俺の胸に額を落としてしまう
ギュウ……
俺はそんな彼女を力の限り抱きしめずにはいられなかった
勝『う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!』
全力で泣き出してしまう勝美。俺はただただ抱きしめることしか出来なかった

タ「落ち着いたか……」
あれからたっぷりと泣かれ俺のシャツは伸びきると同時にびしょ濡れになっていた。もう使い物にならないだろう
勝『ああ…ゴメンな…みっともないとこ見せちまって…』
彼女は今ではすっかり落ち着いている。もう大丈夫だろう、そう思い俺は口を開く
タ「やっぱり俺はこれからも味方を庇い続ける。これは譲れない」
僅かに彼女の身が震えるが俺は話を続ける
タ「それをしなくなったら俺は俺じゃなくなると思うから…」
タ「だからさ、信じて欲しいんだ…俺を」
勝美は顔を上げて俺を見る。
勝『信じる…?』
タ「そう、俺が勝美を信じてるように勝美も俺を信じていてくれないか?」
タ「俺が戦闘で無茶するのも勝美の機体を信じてるからできることなんだ」
勝『そうなのか…少し恥ずかしいな…』
タ「必ず帰ってくるから…無傷は難しいかもしれないけど努力する」
勝『ダメだ…』
タ「へ?」
勝『ケガもダメだ。でなきゃ信じない』
タ「分かった分かった。勝美は俺がそんなに大事なのかw」
勝『バ、バカヤロウ/////////////』





次の戦闘からタカシはあまり無茶しなくなったそうな。

勝『くぉらタカシ!!何だこの戦果は!自重しすぎじゃねえのか?』
タ「だってケガして帰ってきたら勝美が泣いちゃうだろ」
勝『バ、バカヤロウ!!なんならこの場でケガさせてやろうか!?』
でも戦闘後の罵声は相変わらずのようです



第8話 勝美視点



俺はいつからおかしくなったのだろう
最初はヘンなパイロットが入ってきたと思ってた。でもそいつは俺をどんどん支配していって…

タ「別府タカシ、陸ジム行きまーす!!」
…きゅう…
まただ、また胸が苦しくなる。アイツが出撃するたびに俺の胸は悲鳴を上げる
帰って来ないかもしれない…そんな不安という言葉では表せないような何かが俺を押しつぶす


〜ある日〜
その日は激戦だった。
ある意味戦闘の要となっていたタカシが集中攻撃を受け、かなみ機とちなみ機が分断された。
まさに泥試合
タ「ぐあぁぁぁーーー!!」
今日何回目の被弾だろうか、友子の協力を得てコックピットに設置された盗聴器から絶えず聞こえてくる銃声と爆音と悲鳴
タ「ぐはっ!!…くそっ!!左腕がやられた…」
MSのだろうか?それともタカシの…
知らず知らず俺の右手は胸の部分を強く握り締めていた。早く終わって欲しい、早く間抜けな顔を見て安心したい…っ


〜格納庫〜
ようやく戦闘が終わりMSが帰還してくる。これから俺達の戦闘が始まるのだが、まず俺にはやらなくてはいけないことがある
かなみ、ちなみに続いて最後に収容されるタカシ機。見るからにボロボロで左腕が無い。ひとまずの安堵…
真っ先にタカシ機のハッチに駆け寄り少し待つ。間も無くプシューという音を立てて開かれた
タ「プハァーーー、今回も何とかなったな」
勝『なにが「何とかなった」だこの野郎!お前左腕何処置いてきやがった!!』
口から出るのは心とは正反対の言葉。タカシは明らかに負傷してる。正直MSの左腕などどうでもいい
タ「スマン…勝美。今回はしてやられた…すまないが医務室に行かせてくれ…」
分かっている、全て聞いていたのだから。肩を貸しながら医務室に連れて行きたいのだが、俺の口から出る言葉は
勝『早く医務室でも何処にでも行って来い!!整備の邪魔だーーー!!!』
本当に自分が嫌になる
タ「分かった…分かったから、そんなに怒鳴るなって……」
そう言い残して格納庫を後にするタカシ。彼の姿が見えなくなると同時に俺はその場にへたり込んだ
勝『(良かった…生きてる…)』
もう涙を拭うことも忘れていた

修理は大方終了した。左腕は予備機のを移植、残りは装甲板の取替えぐらいだ。意外と装甲を貫かれた攻撃は受けておらず、夜には作業が終わるだろう
日が傾き空が紅く染まる頃には殆ど完了したので、残りは部下に任せ俺は栄養剤を取りに医務室に行くことにした。
何故なら今夜は徹夜。もっと機体の性能を底上げしないとタカシが危険だから…


〜医務室〜
部屋の中に入り、中を見渡す。どうやら主である軍医はいないようだ。その代わりにベッドの中にいる人物を見つけた
タカシだ。そいつは額の部分に包帯を巻きつけてはいるものの、安らかな寝顔を俺に見せる
勝『少しくらいなら…見ててもいいよな…///////』
誘惑に負けてベッド脇の丸椅子に腰掛けてじっくりと見入る
タ「スー、スー」
聞こえるのはタカシの寝息と自分の高まる鼓動のみ、そして俺は吸い寄せられるように彼の少し開いた唇に自分の唇を落としたのだった
互いの粘膜を合わせた瞬間は正に甘美の味だった。全身を電流が走るのを感じる。もっと味わいたかったがソレは叶わなかった…
タ「う、う〜ん」
俺は光速で姿勢を戻す。タイミング悪すぎるだろ、バカヤロウ…
勝『や、やっと起きやがったな…(////)』
身体ごと横を向いて腕を組む。正直顔を直視できない、絶対無理だ
勝『な、なかなか起きてこねぇから…来ちまったじゃねえかよ…(/////)』
夕日のおかげで顔が紅いのは誤魔化せそうかな…
タ「勝美、ひょっとして看ていてくれたのか?」
勝『バ、バカヤロウ!!俺はお前の機体整備で徹夜になりそうだから栄養剤を取りに来ただけだ!!』
半分は本当、半分は嘘。お前の為だなんて口が裂けても言えない
勝『そしたらお前が間抜けな寝顔で寝てたもんだからちょっと見てただけだぞ!!』
もうダメだ、この空間にはいられそうにない。立ち上がって栄養剤のビンを引っつかむ
勝『これからまたお前の機体の整備だ。じゃあな!!』
そして俺は逃げるように、いや、逃げた。
途中で立ち止まり廊下の壁に背を預けて唇に指を当ててみる。いつまでも収まらない鼓動がうるさかった

〜深夜の格納庫〜
俺は一人で黙々と作業を続ける。この機体が少しでも速く動くことが出来れば、少しでも反応速度が上がれば、少しでも耐久があれば
俺の作業はそのままタカシの安全に繋がる。そう思えば仕事は苦ではなかった
タ「お〜い、勝美」
本気で驚いた。今一番会いたくて会いたくない相手
勝『タ、タカシ!?い、いきなり声かけるんじゃねえよ!』
結局悪態をついてしまう
タ「大分直ってる。この短期間でホントにありがとうな…」
勝『まあな、いくらお前でも貴重な戦力だしな。それに早く戦線復帰させないと稼働率がやばいんだよ』
そんなわけ無いだろう。できるならばいつまでも壊れたままでいい
タ「ゴメンな…俺が無茶な操縦ばっかりしてるからだよな」
機体を壊すことはいい。機体は直せるから
勝『当たり前だ。なんで僚機を庇う必要があるんだよ!なにもお前が食らうことないだろ!!』
お前が被弾する度に、ケガする度に、私は苦しむんだ。お願いだから分かってくれ…
タ「それもゴメン。でも身体が動いちまうんだよ…これは俺の性分なんだ」
そんなの…そんなの分かってる!痛いほどに!!
勝『良くねえよ!!そのうち取り返しがつかないことになるぞ!』
思わず怒鳴る。そんなものでいなくなられたら…俺は!!
タ「いいんだよ……俺だって勝美の整備した機体で死ねれば本望だから…」
 
「 死 ぬ 」その言葉を聞いた瞬間。遂に俺の想いを溜めたダムは崩壊した

勝『…………っ……ぃ…ぅ……』
タ「え?」


勝『死ぬって言うな!!!!!!!!!』


そこからはあまり覚えていない。ただ心の底から全てを吐き出したことだけは確かだ


タ「落ち着いたか……」
タカシの声が染み渡る。心配かけてゴメンな
勝『ああ…ゴメンな…みっともないとこ見せちまって…』
おかしいな、なんでだろう?今はとても素直になれる。そんな疑問に考慮する間も無くここでタカシが口を開く
タ「やっぱり俺はこれからも味方を庇い続ける。これは譲れない」
その内容に身体が震える。あの地獄の苦しみを味わい続けるのか…
タ「それをしなくなったら俺は俺じゃなくなると思うから…」
タ「だからさ、信じて欲しいんだ…俺を」
タカシの発言に驚き、思わず俺はタカシの目を見る
勝『信じる…?』
タ「そう、俺が勝美を信じてるように勝美も俺を信じていてくれないか?」
タ「俺が戦闘で無茶するのも勝美の機体を信じてるからできることなんだ」
勝『そうなのか…少し恥ずかしいな…』
本当に恥ずかしい。口には絶対出せないが想いを籠めて整備しているから…
タ「必ず帰ってくるから…無傷は難しいかもしれないけど努力する」
勝『ダメだ…』
タ「へ?」
勝『ケガもダメだ。でなきゃ信じない』
タ「分かった分かった。勝美は俺がそんなに大事なのかw」
勝『バ、バカヤロウ/////////////』



勝『(俺を抱きしめられなくなったらどうすんだよ…/////////)』



第9話

?『………、……シ、…カシ、』
うるさいな、俺は寝てるんだ
か『目覚めてるんでしょ!さっさと起きろーーー!』
ゴキャ
タ「モルスァ」
その辺に吹っ飛んだ俺を見下しているのはかなみ。朝の一コマと思ったヤシは残念。
何故ならここは自室ではなく恐らく洞窟の中。しかも俺とかなみはパイロットスーツを着ている
とりあえず、何故こんな状況になったか説明しなければならないだろう


〜戦闘〜
突然だが戦闘中だったりする。しかも今回は他の部隊も多数参加する大規模攻略戦当然ながらそれだけ敵の勢力も強い

纏『艦砲射撃を止めるでない。前線を鼓舞し続けるのじゃ』
纏指令自らビッグトレーに乗り込んで指示を出す。久しぶりの出番なだけに張り切っているようだ
纏『やかましい。こういう時でもないと出番が無いのじゃ、基地で待ち続けるのは退屈なんじゃ』
あの〜、纏さん。お願いですから地の分に突っ込むという荒業は勘弁してください
纏『更にわらわの出番を減らす気か?(ニッコリ)』
すいませんorz


皆様失礼致しました。とにかく今は大規模攻略作戦中!!!


〜TD部隊〜
最前線に組み込まれたリナ率いるTD部隊は敵勢力への切り込み隊長的役割を担っていた
タ「オラオラオラーー!!」
俺の駆る陸ジムは両手に一丁づつ持ったマシンガンをぶっ放し続ける。もう何度弾装を交換したか分からない
リ『かなみさんは進撃を、タカシは弾幕を張りつつかなみ機を援護、ちなみさんは遠距離から指揮官を狙ってください』
かなみ機が切り込み、俺は攻撃と足止めと牽制を兼ねて弾をばら撒き、ちなみは長射程ビームで敵の急所を突く
優秀な指揮官と機体とパイロットの揃ったTD部隊は正に破竹の勢いだった
恐らく部隊の戦果はダントツのトップだろう。

タ「かなみ、気を付けろよ!そっちは崖があるからな。」
か『え!?そうなの?…キャ!!ウソ!囲まれたわ』
タ「ったく言ってる側から!!」
ぼやきつつもかなみ機の元へ急行する。間も無く崖を背に前方を敵に囲まれたかなみ機が見えた
機体を走らせながら右手に持ったマシンガンを投げ捨ててサーベルに持ち替える
射線上にかなみが居るので射撃は無理だ。走るそのままの勢いで敵の背後から切りかかった
タ『ウチのエースに何すんじゃーーーー!!』
突然の奇襲に混乱する敵軍。その間に攻撃を加え撃破する。救出作戦成功だ
タ「無事か!?かなみ」
か『ちょ、ちょっとバカ!アンタまでこっちに来たら!!』

ゴゴゴゴゴ…

なにやら地割れのような音の後足場が不安定になる。
どうやら俺が加わったことによる重量で崖の根元のほうから折れてしまったようだ
後は当然ながら重力に従い落下するのみ
タ、か「『うわ(きゃ)ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!』」



そして物語の舞台は冒頭に戻る


〜洞窟内〜
タ「で、崖の下は河で俺たちは流されてきたということか」
か『そういうこと、服もびしょ濡れだし陸ジムは完全に沈黙。水も食料も無いし夜は冷えるでホント最悪ね』
タ「確かに状況は最悪だがな、ちょっと待っててくれるか?」
そう言い残しジムのコックピットに入る。そして目的の物を引っ掴んでかなみの元まで戻ってきた
タ「こんなこともあろうかと、テレレレッテレーサバイバルザック〜〜(某青狸風に)」
中身は通信機、水、食料、毛布、ライターと燃料と何故かパンツが一枚だ。俺はいつも機体に忍ばせているのだが、陽の目を見ることになろうとは…
か『へえぇ〜、悔しいけどアンタでも役に立つことがあるのね』
タ「大きな貸し一つだな、かなみw」
か『なに言ってんの、気絶してるアンタを機体から引っ張り出してここまで引き摺ってきたのよ。これでチャラね』
タ「ヒドス……とりあえず服でも乾かそうぜ」脱ぎ脱ぎ



か『ちょ、ちょっとバカ!!////////』
タ「ん?ああスマン、向こう向いててくれるか。」
か『もう、突然脱ぎださないでよね!!』プイッ
かなみが後ろを向いている間に服を全て脱ぎ、新しいパンツを履く。さらに脱いだ衣服を並べて火を起こした
タ「んじゃ、次はかなみの番な」
か『な!?ぬ、脱ぐわけ無いじゃない!!////////』
タ「んなこと言って…、風邪じゃ済まないかもしれんぞ」
か『襲われるよりマシよ……クシュン!!』
タ「ほら言わんこっちゃない。脱いだ後は毛布を被ってなよ」
か『し、仕方無いわね…こっち見たら殺すわよ。/////////』
俺は体ごとかなみに背を向けた。後ろからかなみが衣服を脱ぐ音が聞こえてくる
パイロットスーツでびしょ濡れだから衣摩れの音は聞こえないが、女の子が近くで服を脱いでいるという事実だけで充分だ
………息子自重汁…分かってるな。よし、いい子だ
か『終わったわよ…//////』
その声と共に振り返る。
首から下を毛布で隠して座っているかなみ。恐らく体育座りだろうか、上目使いで此方を見る
かなみと炎の間に並べられた服と下着。…………下着?
か『バカ!恥ずかしいから見ないでよ///////』
タ「ス、スマン…ワザとじゃないんだ」
慌てて目を逸らす。一応上下レモン色でDカップくらいだということを追記しておく
タ「ってことは…今は何も」
か『当たり前でしょ!!わざわざ確認しないでよこのばかぁ////////』
そう言うと紅い顔を更に紅く染めて口元まで毛布で隠す。だから上目は反則だって、多分俺も真っ赤だろう
少し気まずくなったが食料と水を分け合って時間を過ごす。
途中食料であるカ○リーメ○トのチョコ味派の俺とフルーツ派のかなみで一論争あったけどな


〜夜中(かなみ視点でお楽しみ下さい)〜
炎の前で少し距離を開けて眠る私とタカシ。訂正。眠るタカシと眠れない私
だってパイロットスーツはまだまだ乾いていない。二人っきりでこの距離でお互い裸、眠れるわけが無い/////
っていうか何故寝るのだこの男は♯ 一人悶々とする私がバカみたいだ
毛布はかなみが使えって言ってくれたけど、そのおかげでタカシはパンツ一枚で眠ることになってしまった
彼は時折ビクビクと震える。そんな姿を見て申し訳なく思う

タ「んっ……かな…み……」
心臓が跳ね上がる。今迫られたら何の抵抗もできな、いや、しないだろう。強く身構える私を尻目に再び寝息を立てるタカシ
なんだ…寝言か。って何を考えているんだ私は。とりあえず寝言だったのか確認するためにタカシに近づく
タ「スー、スー」
寒そうだけど寝てる。この際だから観察してみよう///////
だが、私は軽い気持ちで観察したことを少し後悔する。タカシの身体は数え切れない傷跡だらけ、しかも新しい傷も多い。
それもそのはず。彼は私達を一身に庇うのだから。言わば多くの傷は私たちの為に背負ったものだ
そして背中に一際大きな物を見つける。これはタカシの部隊初陣の時についた物、私を庇ったもの…
急に愛おしさが込み上げてくる。気付いた時には一枚の毛布は二人を包んでいた。その傷跡をそっと指で撫でる
これは私の物だ…誰の物でもない私だけのために付いた傷跡だ。思わず後ろから彼を抱きしめて目を閉じる、私は今世界一の幸せ者だろう
急にタカシが寝返りを打ち、向き合う格好になる。彼は暖かいものを掴みたいのか私を抱きしめてきた。当然私も抱きしめ返す
最高の幸せに包まれながら、深い眠りに付いた



〜朝(再びタカシ視点)〜
これはどういうことだ?俺はなにをした?なにがあった?
目を覚ますと目の前にかなみの顔がアップで映る。大声を上げることは堪えたが混乱は続く
幸せそうな顔で眠るかなみ。チクショウ、かわいいじゃないか
そして俺の視線は下の方へと下りて行き……全裸だよね、これ…
天使タカシ「ダメだ。同意無しではいけないことなんだ!!」
悪魔タカシ「やっちまえよ、相手は寝てるんだ。バレやしねえよ」
天使タカシ「おk把握」

もみっ

か『…んふっ…スー、スー』
悪魔タカシ「両方揉んじまえよ、どうせ起きねえさ」
天使タカシ「当たり前だ、ここで終わったら漢じゃねえぞ」

もみゅもみゅ

か『…ぁあ…ん…スー、スー』
天使タカシ「オラオラもっとこね回す様に!チ○ビも弄っちまえ」
悪魔タカシ「いや、それはまずいんじゃ…」
天使タカシ「うるせぇ!!ヘタレは引っ込んでろ」

ふにゅむにゅもみゅ…クリクリ
か『あ!ひゃうん!?、タ、タカシィ…/////////』
タ「あ……(オワタ)」
か『えっと//////し、下も…お願い///////』



寸前のところで「WAWAWA忘れ物〜」が来たのはお約束のようです




特別編

ち『…陸ジムちなみんです…。やられ役やられ役…』
タ「ちょwwww今回はわけ分からんwwww」
ち『…危機的状況…なのです…止むを得ない…処置なのです…』
タ「kwsk」

つ これまでのまとめ
  かなみ 少尉 陸ジムパイロット ペッティング済み
  纏   少将 指令       一緒に仲良くお風呂
  リナ  少佐 艦長       キス未遂
  勝美  軍曹 整備長      キス完遂
  尊   無し 軍医       チソチソじっくり見た
  
  ちなみ 曹長 陸ジムパイロット な〜んにも無し



ち『…これで…分かりやがり…ましたか…』
タ「俺の意思は?」
ち『( ´,_ゝ`)……そういうわけで…タカシの…熱いビームサーベルを…受け止めます…』
タ「良く分かんないけど、どうにでもな〜れ」

ズブッ!!

ち『あんっ////ジムは…やられ役…なのです…//////』




第10話

〜ブリーフィングルーム〜
先の攻略作戦から一日。
かなみ、ちなみ、タカシ、そしてリナはブリーフィングルームにて緊迫した空気を発していた
一触即発の雰囲気の中、艦長であるリナが重い口を開く
リ『本日皆さんに集まってもらったのは他でもありません……』
ゴクリ…
三人同時に喉を鳴らす。6つの瞳がリナを見詰め次の言葉を待つ

リ『実は…』
三人『『「実は…」』』

リ『なんと…』
三人『『「なんと…」』』

リ『MSが一機もありませ〜〜ん』
な、な、な、

         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i



と、いうことだ。
かなみ機とタカシ機は「あの日」の朝の時点で河に水没してしまっており、サルベージしたとしても使い物にならないと判断され廃棄。
ちなみ機は戦闘でかなみ、タカシ両機が離脱後に集中砲火を受け大破(パイロットは脱出)。
MS部隊が全滅し、艦が撤退する時間を稼ぐために片腕の予備機は遠隔操作で出撃後に自爆(サンドロックと言えば分かりやすいか)
結局TD部隊が既に突破口を形成していた為に攻略作戦は成功したのだが、部隊自体は大きな犠牲を払ったのだ

リ『ですがワタクシたちは先の作戦の第一功労部隊でしたわ。』
そう、作戦の終盤は後方支援に回っていたが、前述の通り突破口を作り、撃墜数もダントツのトップだったのだ
リ『そこで纏指令が優先的に最新機の補給を回すとのことです。』
タ『イヤッッホォォォオオォオウ!ガタン』
ついにktkr!!新機体ですよ最新機ですよ漢の浪漫ですよーーーーーー!
リ『タカシ伍長!!』
周りを見ると冷ややかな三人分の目線。ちぇっ…女には分からないかな〜〜
リ『コホン。とにかく明日の明朝に補給部隊が到着いたします。パイロット各自は受け取りの手続きを行うこと』
三人『『「了解!」』』
リ『それでは解散です。あと伍長は少し残って下さい…』

タ「で、話はなんだ?リナ」
部屋を出て行く二人のパイロットが疑惑の目で見てから出て行ったが、気のせいだということにして俺は口を開いた
今は二人だけなので呼び捨てで結構だ。むしろそうでないと怒られる
リ『////あ、あの…かなみさんとは…あの夜に…なにも無かったのですか?////////』
恥ずかしそうに、不安そうに切り出してくるリナ。嘘とかボケが許されるような空気じゃないな。
タ「ああ、(夜は)何も無かったぞ」
正直に答える俺。その答えを聞くや否やリナの顔に綻びが広がる
リ『そうでしたの。話はそれだけですわ、ごきげんようタカシ』
一息で言い終えるとフラフラと部屋を出て行く。廊下の方で人が転ぶ音が聞こえてきたが気にしたら負けだ
タ「何なんだ?一体?」



〜翌日〜
俺達の艦はとある荒野に補給部隊と合流するため着陸する。外に出ると空には大型輸送機ミデアが確認できた

ミデアも近辺に着陸を果たし、中から一人の女性が出てきた
『流石時間ピッタリやな、ウチがミデア補給部隊隊長のいずみ中尉いいます。TDの皆以後よろしゅうな』
自分陽気な隊長さんだ。軍服に身を包み、頭にも軍帽を被っている
その隊長さんは俺と目が合うと此方に近寄って…
い『誰がマチ○ダさんやーーーーーーー!!!!!!』
スパーーーーーーン!!
タ「まだ何も言ってないですよ!!誰ですかマ○ルダさんって!?しかもそのハリセン空中から出しましたよね!、ね!?」
俺は突然のいずみ中尉の奇行に思わず突っ込みを入れてしまう
い『ぷっ、ぷははははははははは』
今度は笑い出す。傍から見るとヤバイ人かもしれん
い『イヤ、スマンスマン堪忍な。纏指令から聞いてた通りの反応やったさかい吹き出してもうたわ』
なんだなんだ?この人も俺をおちょくるタイプなのか?
い『ほい艦長さん、コレが補給物資のリストやから目通しとき。パイロット諸君は機体のところに案内したる。』
リナに目録を渡し、俺達を手招きで呼ぶいずみさん。まったくもってマイペースな御方だ

俺達パイロットはいずみさんにMSのところに連れて行かれた。MSと思われる大きな物体にシートが架かって5体並んでいる
ちゃんと順番に行くってことか。なかなか演出が分かっておられる

い『ほな順番に紹介していくで、まずかなみ少尉にはコレや』
一機めのシートをいずみさんが引き下ろし機体が露になる。シートって結構重いんじゃない?とか突っ込んじゃいけない
い『RGM-79FP、ジムストライカーやで』
い『陸ジムをベースに追加装甲を施して機動性を補う為に大推力バックパックと各所にスラスターを設置。
  武装もツインビームスピアにスパイクシールドと近距離特化型、まさにかなみ少尉にピッタリや』
すげえ…これならかなみの能力を最大限に発揮できる
い『すんごくマイナーな機体やから分からん人はググってみいや』
タ「一体誰に言ってるんですか…?」
い『ディスプレイの前のみんなですが何か?』
やめておこう。なんとなく触れてはいけないような気がする

い『ほな気い取り直して次。ちなみ曹長にはこちら!』 隣の機体のシートを取り外す、なんだかどっかのTV番組みたいになってきた
い『RGM-79SP、ジムスナイパーUやで』
い『武装は狙撃用長砲身ビームライフルとサーベル2本やけど曹長はサーベル使わんかな?RX系並のジェネレーター出力
  に高精度センサー、今んとこ連邦最強の量産期やで』
ついにちなみ念願のスナイパー系、しかも最新型モデルと言う事無しだ

い『ほんならお待ちかね、タカシ伍長の機体はコレや!!』
待 っ て ま し た 。ガンダムSSを語っているのにガンダムどころか「ガン」という単語すらでてこない。ここいらで一つ…
シートが外される。どっかで見たことあるよコレ
タ「  陸  ジ  ム  じゃねえかゴルァァァァァァァーーーーーーーーーー!!!!!(血涙)」
どぅおー見ても陸ジムです。ほんっとーにあっりがとうございましたーーーー!!
い『纏指令曰く【タカシにはこれで充分じゃ】って言ってたで、指令もわかっとるわぁ』
ガチでorzになってる俺。補給物資の搬入がすべて完了しても、俺は何も無い外でorzの体勢を続けていた…

〜格納庫〜
ようやく立ち直った俺は格納庫を歩く。整備員達が新しい機体をチェックしたり早速カスタム化を行っていた
搬入された機体は全部で5機、その内3機は俺達のもの、1機は予備機の陸ジム。残りの一機は何だろう?
勝『よおタカシ、そいつが気になるのか?』
いつの間にか傍に来ていた勝美が声をかけてくる。作業中だったのか鼻の頭に油が付いている
勝『こいつはRGM-79L、ジムライトアーマーのカスタム機みたいだ。なんでも新しく入ってくる補充兵のらしいぞ』
タ「補充兵?」
勝『ああ、本当は機体と一緒に来るはずだったんだが、何処かで乗る飛行機を間違えたとかで到着が遅れてるらしいんだ』
タ「そっか、いったいどんな奴なんだろうな…」
勝『ソレは俺も気になるな、こんなじゃじゃ馬見たことないからよ』
タ「そうなのか?まあ、色々軽量化してるみたいだけどさ」
勝『それだけじゃねえ、スラスターとジェネレーターの出力がアホみたいにデカイんだよ』
タ「へえ〜軽い機体なのにさらに機動性を上げるのか、確かに誰が乗るのか興味あるな」
勝『それよりお前は自分の機体を調整しろよ。パイロットの仕事だぞ』
タ「どうせ陸ジムだろ、正直もう飽きたさ…orz」
勝『いずみさんから伝言だ【本当に陸ジムかどうかは自分で確かめろ】だってよ』
なんだそれ?どうでもいいが仕事はやらなくては
タ「了解。とりあえずコックピット周りを弄ってみるよ」
そう言い残して勝美の鼻についている油を指で掬う。俺の予想外の行動にうろたえる勝美
勝『にゃ!?にゃにをするこのバカヤロウ!!///////』
鼻を押さえて抗議の声を上げる勝美を尻目に俺は機体の元へと向かった

〜コックピット内〜
俺はコックピットに滑り込んで少しの違和感を覚えた。今までと同じ陸ジムなのに操縦系が少しだけ違う
まあ後期生産型とかでモデルチェンジでもしてるのかな?
とりあえず機体のスペックとかをインターフェースを起動して確認してみる。

驚愕

これは陸ジムじゃない。あらゆるスペックがそれを凌駕している。陸戦ガンダムより上なのは確実だ
そこまで確認すると、とある音声テープから声が聞こえてきた
纏『(タカシよ、久しぶりじゃな。これを聞いていると言うことはお主は驚いてる最中かの?間抜けな顔が浮かぶようじゃわい
   察しているじゃろうがコイツは陸ジムではない、これは次期生産型MSの雛形じゃ。様々な試験型のシステムを積んでおる
   くれぐれも壊すでないぞ。仕方なかろう、パイロットの安全性が一番高いのはこれなんじゃから///)』
mjk?外見が陸ジムなのは敵へのカモフラージュか、軍上層部へのカモフラージュか。分からない
まあいい、一つだけ分かるのは纏さんが最高の機体をくれたってことだ。うん、それだけで充分だ
外見は俺に厳しいが、中身は俺に優しい。まるでツンデレってやつに似てるな、と俺は思ったりする。


また明日から戦いが始まる


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