「むー」
「むぅ……」

今、俺の両隣には二人の女の子が居る。
全然似ていない彼女たちは、紛れも無く姉妹。
片方は金髪にツインテール、西洋人形然とした整った顔立ち。
片方は黒髪のロングヘア。対比して例えるなら、日本人形。
二人とも、無茶無茶可愛い、とだけは言っておこう。
両手に花、と妬む輩は妬めばいい。
俺は、そいつにこう言うだろう。

―――お願いします俺と代わって下さい

間違いなく、そう言う。
ましてや「代わってください」などと申し込まれたなら
俺は花のような笑顔で「よろこんで!」と握手を求めるだろう。
まぁ、その後の俺の命は保証されていないのだが。

姉妹に左右から組まれた両腕が、そろそろ痺れてきた。
道行く人々の視線が痛い。
怨嗟と興味本位が半々の比率で渦巻く帰り道。
空は目の醒めるような青色と、ぎらぎらの太陽。
ああ……汗が止まらない。
茹だる様な熱気を招いているのは、太陽じゃなくて。

「なによ」
「……なんですか」

助けろ。
助けろってば。

清々しいまでの青空と、目の前の姉妹に、俺は戦う前から敗北宣言。
虚しい苦笑いだけが顔に貼り付く、完全なる敗退だった。
そんな開戦の日。

そんな、開戦日和の日曜日。


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