・MONSTER HUNTER TD 第10話


さあやって参りましたラティオ活火山。
本日の俺たちの獲物はバサルモス。ハイ、リオレイアより弱いです。
何故コイツを狩るかというとカナミの装備を整えるために必要なわけだ。
流石にずっとクックシリーズで通すのは無理があるとカナミも判断したらしく
纏さんの進めもあって狩りにきたわけだ。
・・・正直火山苦手なんだよね、俺。
「何死んだような顔してんの?」
「俺そんな顔してた?」
「してるわよ。一応たった一人の男手なんだからシャキっとしなさいよね」
「なんだ、心配してくれんのか?」
「な!そんな訳ないでしょ!馬鹿!!(///)」
相変わらずのごとくカナミに蔑まされる。正直これが無いと狩りが始まらないのだ。
別に俺はマゾヒストといった訳ではないが日課だから仕方がない。
「なあタカシよ・・・」
「んあ・・・どうしたの?纏さん」
「顔色が優れぬようじゃが大丈夫なのか?」
「俺火山苦手だからさ・・・心配してくれてありがと」
「べ、別に心配したわけではないぞ!自惚れるでない!!(///)」
お前もかい!!!

ヤバイ・・・なんだか体が重い・・・・・
さっきから援護に回っているものの上手く照準が定まらない。
「ちょっとタカシ!早く追っかけるわよ!!」
気がついたら獲物は他のエリアに移動していたそうだ。
しかし頭がボーっとして今一現状が把握できない・・・
なんとか次のエリアに移動できたが、そこは火山の内部で尋常じゃないほどに暑い。
「スマン、ちょっと休憩させてくれ・・・」
「何言ってんのよ。後もうちょっとなんだから」
鬼のカナミめ・・・今度回復薬にトウガラシ混ぜてやる。
しっかし本当に暑いな・・・クーラードリンク効いてるはずなのに。
「タカシ!あそこ」
どうやらカナミがバサルモスを見つけたようだ。
ここで拡散弾でも撃ち込めば結構なダメージが狙えるはずだ。
ボウガンに弾を込めて撃・・・あれ?なんだか目眩が・・・・
「ちょっとタカシ!・・・タ・・・大じ・・・・」
カナミが何やら叫んでいるが徐々に聞こえなくなっていく・・・
どんどん・・・目の前が・・・・真っ暗に・・・・・・

俺の部屋だ。目を開けた先にあったのは紛れも無い俺の部屋の天井だ。
「起きたようじゃな、タカシ」
「全く、眠りすぎだニャ」
纏さんとメイはテーブルの上で何やら作っている。
「纏さん・・・俺一体・・・」
「狩りの最中で熱を出して倒れたんじゃ。全く世話のかかる奴じゃ」
「よく言うニャ。この部屋に来たとき一番慌ててたのは纏さんだったニャ」
「そ、それを言うでない!(/////)」
熱を出して倒れたのか・・・道理で体調が優れなかったわけだ。
ふと横を見るとカナミはベッドに蹲り、すやすやと寝息を立てている。
「カナミには感謝するんじゃぞ?一晩中寝ずにお主が起きるのを待ってたんじゃからの」
「そうだったのか・・・」
そういえば、カナミの親父さんも高熱を出して倒れたんだよな・・・
結局何週間も寝込んで最後には喋れなくなるくらいに衰弱しきっていた。
隣で寝息を立てるカナミの頬には涙の跡がうっすらと残っていて、あの時の
事を思い出させてしまったのではないかと思うと悪いことをしてしまった・・・
「ほれ、薬じゃ。熱は下がったようじゃがまだ無理をするでないぞ?」
「ああ、ありがとう」
どうやら作っていたのは薬らしい。味のほうはかなりキツイが『良薬は口に苦し』だ。
我慢だ、我慢・・・
「ん・・・んん・・・」
どうやらカナミが起きたようで、まだ眠たげな顔を持ち上げてこちらを見つめている。
「はれ?・・・タカシ?・・・」
「ああ、カナミ。あの・・・ありが(ドゴッ!!)モルスア!!」
いきなりカナミの鉄拳が顔面にめり込み、鼻から鮮血が飛び出した。
「イタタ・・・何すんだ!・・・てカナミ?」
「・・・ヒグ・・バカ・・・心配したんだから・・・・グス・・・・・」
カナミの目尻には涙が浮かび今にも零れそうだ。
俺はカナミがどれほど脆いかを改めて実感させられた瞬間だった。
「ゴメンなカナミ。心配させて・・・」
「う・・うぅ・・・うわあああああああああああん」
目から大粒の涙を流すカナミを俺はそっと抱きしめた。
カナミから伝わってくる感情の波は言葉では言い表せないほど大きかった。
「・・・すぅ・・・すぅ・・・・・」
どうやら泣き疲れて寝てしまったようだ。無理も無いだろう。
しかし次の瞬間背中に何か冷たいものが走ったかと思うと、殺気を含んだ四つの眼球がこちらを見つめていた。
「纏さん・・・メイ・・・なんか怖いよ?」
「んん〜?儂は別に普通じゃが。のう?」
「そうだニャ。別に羨ましいだとか恨めしいなんて全然思ってないニャ」
二人とも顔は笑顔だが放っているオーラがどす黒い。
例えるならディアブロスの怒った時の吐息ぐらいどす黒い。
正直この空気には耐えられない。さっさとカナミに起きてもらって・・・
「ふにゅ・・・タカシィ・・・・」
ごめん、無理。
俺は二人の突き刺さる視線と、カナミの体温を感じながら夜を過ごした。


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