・MONSTER HUNTER TD 第2話

今現在俺はフラヒヤ山脈狩猟地帯、簡単に言えば雪山のベースキャンプにいる。
何故こんなとこにいるのかというと、幼馴染のハンターであるカナミに上を目指す心構えを
作ってやろうと挑発まがいにクエストに誘ったのが原因だ。
さて、今回の獲物はフルフルである。
竜盤目・獣脚亜目・希白竜上科・フルフル科に属する中型の飛竜で、風変わりな外観を持つ
変わったモンスターだ。
その幼体であるフルフルベビーはたびたび夜のオカズに使用されているのだ。
「ねえ・・・」
「ん?どうした?」
「さっきから思ってたんだけどアンタもしかして私にバカにしてんの・・・?」
「失敬な・・・いつどこで俺がお前を馬鹿にしたんだ?」
「その格好でどこが喧嘩売ってないのよ!!!!」
そう、何を隠そう俺は今武器を除いて何も装備品をつけてない。俗に言う全裸だ。
ただ、本当に全裸になったらギルドのお偉いさん方に目をつけられるので肌着は着ている。
「いやさぁ、昨日なかなか寝付けなかったから夜街を散歩してたわけだ。
そしたら掲示板に『ちょっとフルフル狩って来る、全裸で 』って書いてあったんだよ。
それ見てたら対抗意識燃やしちゃってさwww」
「あんたって筋金入りのバカね・・・」
「お褒めに預かり光栄です、お嬢様」
「褒めてない!!!」
顔面にカナミの拳がめり込んだ。

さて、ここは雪山にある通称エリア6と呼ばれる部分だ。
雪山の中でも極寒地帯と呼ばれる場所で、とてつもない勢いで雪が舞っている。
「寒いいいいぃぃぃぃぃ!!!」
「まぁそう叫ぶなカナミよ・・・」
あまりの寒さに叫ぶカナミを尻目に俺は悠々とホットドリンク飲む。
「ちょっとアンタ!何一人で勝手に飲んでんのよ!!」
「あぁ?別にいいだろ。それに、寒いんだったら自分の飲めよ」
「嫌よもったいない・・・そうだ、アンタのよこしなさい!」
「ハァ!?ちょっとまっ・・・」
カナミは俺の飲んでいたホットドリンクをふんだくり、そして飲み始めた。
・・・もう我慢ならんぞ・・・そうだ!
「なぁカナミ・・・」
「ん?」
「これって間接キスだよな(ニヤニヤ)」
「ブフゥッ!!!」
作戦成功!やはり単純な奴だ。
「ゴホッゴホッ・・・アンタねぇ!!(////////////)」
カナミに殴られる前にさっさと高台の上に登る。此処なら大体のモンスターの攻撃は届かないのだ。
「(さてと・・・一暴れしますかな・・・)」
今回持ってきた武器はアルバレストと言うへビィボウガンで、攻撃系弾から補助弾まで使用できる
優れものであるが威力が低いという欠点を持っている。まぁ普通のアルバレストならの話だが・・・

普段カナミに付き合わされるせいでロクに攻撃させてくれないが、今回はその心配もないだろう。
なぜならフルフルは初めて対峙した時には結構な苦戦を強いられるモンスターだ。
初めてで仲間の援護なしに楽に勝てるというころはあまり無いだろう。
ましてや特攻主義のカナミならなぁ・・・
そんなことを考えボウガンに弾を込めているとカナミが常軌を逸した言葉を放った。
「ねぇ、折角だから私一人で戦わせてよ」
「・・・それはひょっとしてギャグで言っているのか?」
「別にアンタがいなくたって私一人で何とかなるわよ・・・
それにそんな弱いボウガンで支援されても意味なさそうだし」
貴様・・・俺のボウガンを侮辱したな・・・
「いいぜ。そのかわりマジで助けてやんねーぞ」
「別にいいですよーだ!」
カナミは舌を出して挑発している。後悔しても知らんぞ?マジで。
―――――バサァ
翼の羽ばたく音が白銀の世界に響いた。
その音は段々と近づいてくる・・・
「来たみたいだな・・・ってなんだありゃ!!?」
そこに現れたのはフルフルで間違いなかった。ただ、大きすぎる。
到底一人では勝てるわけがない。むしろ戦闘経験のない人間なら尚更だ。
「カナミ!今すぐそこから離れろ!!」
「何!?今更怖気づいたなんていっても聞かないわよ!」
俺の制止の声もむなしくカナミは敵との距離を縮めていく。

「だあああああああああああああ!!!!!!」
カナミの振り上げたクックジョーが敵の体に直撃するも、柔軟な皮膚がそれを受け流し手ごたえが感じられない。
「何なのよコイツ!!全然効かないじゃない!」
攻撃が効かない苛立ちからカナミは次々と攻撃を加えていくが、
突然フルフルの体が青白く光ったと同時にカナミの体は宙に吹き飛ばされた。
「きゃああああああああああ!!!!!!」
「カナミ!!!」
俺は咄嗟に投げ出されたカナミの体を支える。
「一人じゃ無茶だ!一時退却して出直すぞ!」
「バカにしないでよねっ!タカシは引っ込んでて!!」
カナミは俺を振り払うと先程と同様に槌を構え獲物へと直進していく。
「クソッ、前言撤回だ!」
俺は体勢を立て直し、ボウガンを構え援護射撃の姿勢をとるがそれも意味を成さなかった。
『ギャアアアアアアァァァァァァァ!!!!!!』
「「・・・・・・!!!!」」
天を裂くほどの咆哮が雪山に響き渡り、耳を剣で突き刺されるような感覚に襲われた。
咄嗟の行動に対処しきれなった俺とカナミは慌てて耳を両手でふさぐ。
次の瞬間フルフルの口から電気の球が放出され、真っ直ぐカナミに襲い掛かった。
「避けろカナミ!!!」
「へ・・・?」
無常にも電撃はカナミに直撃し彼女はその場に力なく倒れる。
俺はカナミを抱え、高台の上へと逃れた。
「カナミ!カナミ!!」

返事がない・・・意識はあるが体は痙攣を起こし、ろくに喋る事もできない。
おそらく自分の力では回復薬を飲むこともできないだろう。
「カナミ、嫌かもしれないが我慢してくれ!」
「・・・・・・?〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!???(///////////)」
俺は回復薬を口に含むとそのままカナミの口に流し込んだ。スマンな・・・
「プハァ!とりあえずこれで大丈b・・・カナミ?」
そこには顔をシモフリトマトのごとく真っ赤にしたカナミがいた。
目が虚ろになり意識がない・・・気絶してる。
「そんなに嫌でしたか・・・そうですか・・・orz」
『ギャアアアアアアアァァァァ!!!!!』
またもや咆哮が響き渡る。
そうだ、今は落ち込んでいる暇などない。
頬を勢いよく叩き、ボウガンの銃口を獲物へと向ける。
「ショウタイムだ」
一回言ってみたかった。ウン。

何故だかカナミに頬をたたかれている・・・
「何してんだカナミ?」
「何って・・・起こしてあげたのよ」
俺は雪の上に寝そべっていた。近くには大きく寝息を立てるフルフルがいる。
そうだ、結局弾が足りず捕獲をしたんだった・・・麻酔弾を持ってきておいて正解だったな。
「イテッ!!何だ・・・?」
体に大きな打撲の後がある。どうやらこれが原因で気絶してしまったようだ。

「全裸で来るんじゃなかったな・・・」
「あたりまえじゃないの。まったく油断しすぎよ・・・」
「お前だって何も考えず突っ込んでただろ」
「全裸で来る人よりはましだと思うけど?」
「ハイハイ・・・わかりましたよ」
口喧嘩じゃ勝てんな・・・コイツには。
「そういえばさ・・・」
「ん?」
「あの・・・タカシ・・・私に口移し・・・したよね(/////)」
「ああ、あれか・・・不可抗力だったとはいえ悪かった。無理やりだったんだし・・・」
「そ、そうよ!責任取りなさいよね!責任!!(///////)」
「わかったよ・・・で、何をすればいいんだ?」
「(ピトッ)寒いんだから・・・暖めなさい(//////////)」
カナミさん・・・それはただ単にくっつきたいだけじゃないのですか?
「バ・・・バカ!そんな訳ないでしょ!仕方なくなんだからね!!!(//////////)」
心を読むなと言っただろ・・・まぁ、いいか。
「そういえばタカシ・・・」
「ん?どうした?」
「私今日初めてフルフル狩りに来たのに何でタカシはアルビノエキス持ってたの?」
「あ・・・それは・・・」
「説明してくれるわよね・・・(ニコッ)」
満面の笑みを浮かべるカナミさん・・・けどその笑顔には殺気がこもっている。
「ちょwwwまwwwアッーーーーー!!!!」
結局俺はフルフルにやられた時以上の怪我を負ってドンドルマに帰還しました。


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