・俺っ娘が頑張ってメイドに挑戦(その4)

「いや……その…………【やべえ……頭ん中が真っ白だ…… 何も言葉が出てこねえ……】」
『言え。何でお前がこんな写真を持っている? まさか……お前が、撮ったのか?』
「ちょっと待て。それは――」
『…………見損なったぞ』
「玲緒……?」
『お前はバカでおっちょこちょいでスケベでおしゃべりでいい加減なヤツだとは思っていたがな。卑劣なヤツだとは思っていなかった。まさか、オレのことをこっそり盗撮しているとはな……』
「いや、それは違うって!!」
『なら、正直に言え。何でお前が……その……オ、オレの写真を持っているんだ。言えないのなら、オレの言っている事が正しいと見なすぞ』
「わかったよ。実は……その……買ったんだよ」
『買った? 誰からだ!! 言え!!』
「その……し……新聞部から…………」
『…………その……お前……こ、こういう趣味があったのか……? 女子生徒の盗撮写真を集めるような……』
「違う!! それは違う。俺が買ったのは玲緒のだけ――」
『!!!!!(/////////////)』
「いやっ、その……てゆーかよ。あー……(//////////)」
『かっ……変わった奴……だな……お前は……』
「は?」
『オ、オレの顔など……その……毎日、見飽きるほど見ているというのに……わざわざ、金を出してまで買う神経が分からん……(////////////)』
「だっ……だからさ、その……これは別に見ることが目的で買った訳じゃなくてよ……」
『い……意味が分からん……見るためじゃないなら……何の為だ? ま、まさかその……見るだけじゃなく……』
「違う違う!! 変な事を想像するな!!」

『ならば教えろ!! お前の言い分は矛盾している。言えないとか……そういうのは無しだぞ……』
「う……まあその、よ……自分が見るためっつーかさ、どっちかったら、人に見せないためっつーか……」
『見せない? その……見せないとは、どういう意味だ?』
「いや。だからさ。その……新聞部の部長が、玲緒の写真を五枚セット300円で売りに出そうとしてたから…… 正直、そんな風に玲緒が商品みたく扱われるのがイヤだったから……」
『……………………(/////////)』
「べ、別に独占欲とかそんなんじゃなくて……けどまあ、俺が勝手にそう思っただけでさ。もし、不快に思ったとかだったら、その……ゴメン……」
『……その……何枚買ったんだ?』
「え?」
『新聞部から買った写真だ!! そういう理由なら……その……この一枚だけではないのだろう?』
「まあ……その……け、けどよ。何枚かはわかんねーよ。在庫全部、買い占めちまったから……」
『…………ちょっと、見せてみろ』
「え?」
『あるんだろう? その……写真……全部………』
「いや、その…………わ、分かった。ちょっと待て。えーと……この箱だな」
 カパン……
『……ず、随分とあるな。それに同じ写真も……』
「焼き増しして売ろうとしてたからな。だから、まあ……量はあるけど、種類はそんなには……30枚くらいかな……」
『こ、これは何だ? その……カードみたいなものは……』
「ああ。デジカメの、その……メモリーカードだ。本体に残ってるデータは消去させたから、もう新聞部の方には残ってないはずだ」
『幾ら……掛かった?』
「は?」
『金の事だ!! 全部買い占めたのなら、その……結構高かったのでは無いか?』

「あ、ああ。その……まあな。見込みの売上と、損失補てんだとかいろいろ言われて……3万取られた」
『ハア……全く。呆れたものだな。こ、このような物に3万も出して……その、ほ、他に幾らでも有益な使い道があるだろうに……』
「俺にとっては重要な事だから。って……あ……(/////////) いや、その……そういうことだから……」
『…………ほら。返すぞ』
「……え? い、いいのか……? てっきり没収されるかと……」
『お前が買った物だろう? だ、だから……その……オレにどうこう出来る権利などないから、その……す、好きにしろ!!(/////////)』
「わ、分かった。これはさ、その……キチンと保管しておくから……」
『別に捨ててもらっても構わん。大体、その……な、何で同じ写真まで取っておく必要があるんだ? い、いらないだろう。そんなものは……』
「だって、そのよ……捨てるのも、何か気が引けて……【玲緒の写真だぜ。捨てられる訳ねーじゃんかよ……】」
『べ、別にそんな事気にする必要もない。お前の勝手にすればいい』
「あ、ああ。まあ、その……取り敢えず、取っておくから……」
『ところで、その……一つ、聞いていいか?』
「何だ?」
『いや、その……最初に見つけた一枚だけ、何で、その……マンガの間に挟まっていたんだ?』
「うっ…… そ、それは……」
『それに……あの、空の写真立ては……いや、いい!! やっぱり、その……何も言うな!!(//////////)』
「玲緒?」
『今の質問は無しだ!! その……へ、変な事を聞いて済まなかった。気にするな。忘れろ』
「……ああ。分かった……【バレただろーな、やっぱ……俺が玲緒の写真を飾ってる事……ハア……軽蔑されたかな? 何にしても俺、オワタ……】」
『そ、それとだな。その……一応、助かったとは言っておこう……』

「へ? な……何で?」
『まあその……俺も、自分を商売の道具にされるのも……男子の人気の的になるのもゴメンだからな。それを防いでくれた事は、礼を言っておく……』
「あ、ああ……」
『い、言っておくけどな!! お前が写真を持っていること自体は迷惑なんだぞ!! ただ、まあその……別府ならば、実害はほとんど無いからな。どうせお前は放っておいてもまとわりついてくるし。だから、まあ……つまり、そういうことだ!!(////////////)』
「わ、分かったよ。まあ、その……変な事には使わないから、安心しててくれ」
『当たり前だっ!!(////////) ほ、ほら。片付けを続けるぞ。オレがやるから、別府……あ、そういえば、その……ご主人様と呼ばなければならないんだったな。忘れていた。済まない……と、とにかく、ご主人様が指示を出して下さい!!』
「あ、ああ……」

『【危なかった……もし、別府の口から……オレの写真を机に飾っていたなどと言われてしまったら……オレはもう……どうにかなっていたかもしれないな…… けど……まだ、怖いんだ……踏み込むのが…… 済まない……(/////////)】』


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