・俺っ娘が頑張ってメイドに挑戦(その5)

『やれやれ……ようやく終わったか』
「ああ。その……お疲れ様……」
『では、ご主人様。次は……その……何をすればいい?』
「え? まだ続けるのか?」
『まだ、その……時間はあるだろう? 今日しかこんな事をする時間はないんだ。なら……時間は有効に使って然るべきじゃないか?』
「ま、まあ、確かにそうだけど……」
「【あんなこともあったし……てっきり、もう帰るかと思ったのに。てか、掃除を続けただけでも凄いってのに。もしかして……俺が思ってたより、気にしてないとか? 俺、何とも思われてない?】」
『そうだけど、何だ? その……な、何かあるのか……?』
「い、いや、別に、何でもない。っても、もう料理も掃除もして貰ったし……もうこれといってやる事は……」
『別に……その、あれだ。家事に限った事ではなくても……い……いいぞ……』
「へ?」
『あああ、その……別に変な意味で言った訳じゃないぞ。ほら、あれだ。メイドと言うのは主人の身の回りの世話をするものだから……た、例えばだ。その……肩や腰をマッサージするとか……』
「魅力的な提案だけど、残念ながら肩も腰も凝ってないしなあ……」
『今のは一例だ!! まあ、その……ご主人様の要望には、出来る限り答えようとは思っ ているが、オレには何をすればいいのか分からないから……だから、その、聞いているのだ』
「じゃあ、本当に俺が玲緒にして貰いたいことでいいのか?」
『ジッと見つめるな!!(//////) まあ、その……変な事で無ければな……』
「変な事って何だ?」
『それはその……イヤらしいこととか……って、オレに言わせるな!!(///////) と、とにかくだ。そういう品性下劣なお願いでなければ、何でもしてやろうというのだ。こんな機会はだな、い……今でなければ二度とないからな!! そう思えよ。いいな!!』
「分かった。そうとなれば、俺のお願いは決まっている」

『それならば話は早いな。何だ? 言ってみろ』
「膝枕してくれ」
『へっ!?』
「いや。だから膝枕」
『なっ……ななななな…… 何でオレがそんな事をしなければならない!! というか、それはメイドの世話のうちではないだろう!!』
「十分、ご主人様の為になっていると思うんだが。午後のけだるい時間にだな。お仕えのメイドの膝に頭を乗せて目を瞑っていれば、それだけで幸せなんだよ!! ましてや、そのメイドが玲緒なら尚更だ!!」
『なっ……!? バ、バカ!!(//////////) そんな事を力説するな!!』
「言っておくが、今日の俺に怖いものはもう無いぜ。最大の秘密まで玲緒に見られちまったからな。失うものはもう何もないぜ……ハハハ……」
『そ……その話はもうよせ…… まあ、確かにその……ご主人様のクローゼットの中を勝 手に開けて整理しようとした事自体は……俺の過失だ。そのお詫びということもある。が…… やはり、その……膝枕というのはだな。お世話をするというのとはちっ……違う気がするのだが……』
「ダメかあ? 俺的には最高なんだけどなあ……」
『い、いや。それでだ。オレが、その……ごっ……ご主人様の……耳掃除をして差し上げるというのは……どっ……どうだ……?(//////////)』
「へ……?」
『ダッ……ダメか? ダメなのなら……』
「ああ、いや。いい。つーかむしろオプション付です。最高です」
『そ……そうか。なら、早速だな。道具を用意しなければ……』
「ああ。耳掻きも綿棒も俺の部屋にあるから、取って来る」
『待て。それならいっそ、お前の部屋でやろう。どのみち横になるのなら、そ、その方がいいかも知れんからな』
「そうだな。じゃあ……そうするか」
『【別府を膝枕して……耳掻き……か…… ダメだ……胸の高鳴りが……抑え切れない……(////////)どうしよう……アイツにバレたら……って、太ももで心音が聞こえる訳も無いはずだが……ああ、もう!! こんなに落ち着かない気分になったのは……生まれて初めてだ……うう……(//////////)】』

「ほい。じゃあ、お願いするぞ」
『あ、ああ。オレの方も準備は出来ているから、い……いつでも、いいぞ……』
「準備? 準備ったって座って待ってるだけじゃないか?」
『う、うるさい!! いろいろとあるんだ!! いちいち詮索するな。ほら、乗せるなら早くしろ。こんなこと、どうせやるのならさっさと終わらせたいからな』
「俺はじっくりと堪能したいけどなあ」
『冗談じゃない。じっくりとなど出来るか』
「まあいいか。玲緒にこうやって耳掃除して貰えるだけで幸せだしな」
『く、くだらない事ばかり言っていると、やはり無かった事にするぞ? それでもいいのか?』
「分かった分かった。じゃあ、頭を乗せるぞ」
『ちょ、ちょっと待て』
「何だ?」
『その……そっと、優しくしてくれ。焦って勢いを付けられると痛いかもしれないから……』
「了解。にしても、何か今の言葉ってちょっとイヤらしくないか?」
『イヤらしい? 何を馬鹿な事を言っているんだ。そんな事、あるはずない』
「いや、だってさ。その“優しくして”とか“痛いかも”とかって、何か初エッチの時に言いそうな響きじゃん」
 バコンッ!!
「あいたっ!! クッションで殴るなよな」
『お前……いや。ご主人様がふざけた事を言うからだ!! そんな事を考える事自体、頭の中がピンク色の妄想に染まっていることが想像できるではないか』
「男ってのはそもそもそういうもので……ああ、いや。分かったからクッションを構えるな。そっと乗せればいいんだろ?」
『そうだ。分かっているならさっさとしろ』
「では、お言葉に甘えて……」
 トスン
『【別府の頭が……オレの太ももの上に……(/////////) 待て、落ち着け。変に動揺したまま耳掃除をして、傷つけたりしたらあいつに申し開きが立たないからな。それにしても、さっきから、この心臓め…… あまり激しく打つな!! オレが動揺していることがアイツに知られたらどうするつもりだ。ハア……】』

「【やべえ……これ、気持ち良過ぎだ…… ちょうど、ニーソとスカートの間の、剥き出しの太もも部分に乗っかってて……玲緒の肌がモロに感じられて……情動を抑えるのに一苦労だぜ……】」
『そ、それじゃあ始めるぞ。いいか?』
「ああ。いつでもいいぜ」
『どれ……何か、結構汚いな。キチンと掃除していたのか?』
「いや。実を言うとあまりしてなかったり」
『そうだろう。大きな耳垢が二つもあるし、それに随分とベタベタしているな。これは、耳掻きだけではどうにもならん。綿棒でキレイにするしかないな』
「一応言っておくが、ベタベタなのは体質だから、別に不潔なのとは関係ないぞ。でも、まあその……任せるわ」
『うむ。それじゃ、行くぞ』
 カサコソ……カサコソ……
『どうだ? 痛くないか?』
「いや。超気持ち良い。最高だ」
『ならばこのくらいの強さでいいな?』
「ああ。あ、そこら辺、ちょうど痒かったところだ。フウ……」
『…………よし、取れた…… 全く、普段からもう少しキレイにしておけ。これでは、い、いくらなんでもみっともないぞ』
「ふぁ……汚くしてれば……玲緒に……耳掻きしてもらえるんだったら……俺……もう耳掻きは一生しないぜ」
『バ、バカ!!(////////) い、言っておくが、今日は特別だからな!! こんなこと、もう二度としてやらないぞ!!』
「そりゃ惜しいな。めちゃくちゃ気持ち良いぞ……これ……」
『全く……自分一人でいい思いをして……ほら。こっちは終わったぞ。反対側も掃除するから向きを変えろ』
「んん…………スー……スー……」
『寝るなっ!!』
 ペシッ!!

「あたっ!!」
『バカ!! 何を勝手に人の膝の上で寝ている』
「あ……ああ…… 悪い。気持ち良過ぎてつい……」
『全く……人が一生懸命お前の耳をキレイにしてやっているというのに、失礼にも程があるぞ』
「昨夜はあまり寝てないからな……ふぁああ……」
『フン。どうせゲームのし過ぎとかだろう。人が来る前夜くらい自重しろ』
「あ……いや」
『何だ? 他にちゃんとした理由でもあるというのか?』
「……玲緒が来るって言うから……緊張して寝れなかった」
『なっ!!!!!(/////////) バカを言うな!! そうやって適当な事を言って人をからかうにも程にしろ!!』
「いや。マジで。実際、家に女の子上げるのなんて、ガキの頃を除けば初めてだしな」
『たかが女一人を家に呼ぶくらいで緊張していたらだな。将来、万が一彼女でも出来たらどうする? うたた寝して振られたなど、笑い話にもならんぞ』
「最初は誰だってそんなもんだと思うけどな。むしろそんな状況でグッスリ寝れたら、却って凄い精神力だよな、って思うけど。玲緒は昨夜は眠れたのか?」
『……べ、別にその……オレは普通に寝たぞ?(///////)』
「ホントかよ。何かその態度、怪しいぞ?」
『何が怪しい。お、おかしな事を言うな!!』
「普段まっすぐに人の目を見て話す玲緒が、なーんか目を逸らしてんだよな。言葉もどもりがちだし。心にやましい事でもあるんじゃね?」
『バッ……バカを言うな!! オレはお前とは違う。その……そんな事で緊張など……もういい!! ほら、とっととこっち側を向け!!(//////////)』
「あ、ごまかした」
『ごまかした訳じゃない!! ただ、こんなくだらない事で言い争っていても仕方がないと思っただけだ!! 全く……オレを信用しないなら、勝手にそう思っていればいいだろう……』
「分かった。信じる事にするよ。つーか、そう言われちゃ信じるしかないじゃん。きたねーよな」
『汚いとは何事だ。オレは何も変な事は言っていないぞ。お前の好きなように考えろ、とそう言っただけだ』
「いや、だからそれが……ってもわかんねーか。よっ、と」

 ゴロン
『む。そっちこそズルイぞ。いかにも自分だけ納得したよう顔をしてごまかすなんて』
「いやあ。まあ、その……例え何があっても、俺が玲緒の言う事を信じないなんてことは有り得ないってこと。あとは自分で考えてくれ」
『(/////////)【うう……さ、さらっとカッコつけるな。全く……ドキドキ……するじゃないか……】』
 カサカサ……カサ……
「ふぁあ…… にしても、暖かいな、この部屋は。すげー気持ちいい……」
『寝るなよ。寝たらそのまま膝から床に頭を落とすからな』
「うん……気を付ける……」
『【それにしても……本当に、気持ちの良い暖かさだな…… うっかりすると、オレも眠ってしまいそうだ。気をつけないと……】』
『よし、取れた。後は綿棒で綺麗にして、と……』
「……………………」
『終わったぞ。ご主人様。おい』
「…………スー……スー……」
『やれやれ……寝るなと言っただろう? 本当に頭を床に落とすぞ? おい!!』
 ペシペシ!!
「スー…………スー…………」
『ああ、もう!! 本気で寝るな、バカ!!』
 ゴチッ!!
「フニャ……にゅう……スー……スー……」
『全くもう……仕方ないな……特別サービスだ。しばらくだけ、このままにしておいてやる』
「スー……スー……」
『それにしても……よく寝てる。本当に、オレが来るくらいで緊張して寝れなかったのか……(///////)ああ、いや。どうせあれは女の子一般のコトに決まっている。別に俺でなくても、きっと 同じだろう……』
『しかし、こうして見ると、寝顔は可愛いものだな。フフ……まるで、子供みたいだな……』
 ツンツン、プニプニ……
「ううん……ん……」

『クスクス……嫌がってる嫌がってる……』
 ムニュッ……
「うう…………」
『ここまでやっても起きないんだな。全く……ふぁああ……い、いかん。オレが寝ては……』
『【……こんな時間が……いつまでも……続けばいいのにな……】』
 ガクッ……コクッ……コクッ……
『スゥ…… スゥ……』


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