ピアノのおけいこ その1

キーンコーンカーンコーン
タ「よーし、今日も授業終わった。音楽室行こっと」
スタスタスタ
タ「あれ?」
ポローン♪
タ「ピアノの音?一体誰が・・・?」
ガチャリ
リ『はっ!』
タ「リナ!?なにしてんだ?」
リ『タ、タカシこそなぜ・・・』
タ「ここで静かに漫画読むのが好きなんだよ」
タ「ほら、うちってブラバン無いし奥まった所にあるから、放課後の音楽室なんか誰も来ないだろ?」
リ『そうでしたの・・・ふぅん、誰もいない所でローゼンメイデンを・・・』
タ「いや、こ、これは山田に借りたのであって、俺の趣味では・・・」
リ『まあいいですわ。お邪魔なようですから私は失礼しますわね』
タ「ま、待て待て・・・漫画なんかいつでも読める。リナは何をしてるんだ?」
リ『私は・・・今度コンクールがあるので、ピアノの練習をしようと・・・』
タ「ピアノの練習ねぇ・・・でもなんでこんなとこで?」
リ『先生がインフルエンザで倒れてしまわれたので、自習しなくてはならなくなりましたの』
リ『家にもピアノはありますけれど、お父様の近くで練習するのは緊張して・・・』
タ「緊張?なんで?」
リ『それは・・・あの・・・』
タ「言いたくないことならいいけど・・・とりあえずBGM代わりになんか弾いててくれよ」
リ『BGM代わり!?・・・私を蓄音機か何かと勘違いしていませんこと!?』
タ「ちょwwwiPod時代にそれ古すぎwww」
リ『まあ、邪魔をしないと約束するならそこにいることを許可してもいいですわ』
タ「許可ってヒドス(´・ω・`)・・・ま、約束するよ。邪魔しない」
リ『本来ならタカシなどが気安く聴けるものではありませんのよ?感謝しなさい』
タ「はいはい感謝感謝」

ポローン♪ポロロン♪
タ「・・・」
ポロポロン♪ポポロン♪
タ「・・・」
ポロリロリン♪ポローーーン・・・
タ「パチパチパチ」
リ『え?・・・あ、ありがとうですわ・・・(///)』
タ「いやぁ、あり得ないぐらいヘタなのを期待したんだけど・・・普通にうまくて驚いた」
リ『失礼な!(///)・・・でも、こんなレベルではまだまだ・・・』
タ「そうなのか?まあ頑張れよ」
リ『ええ、ありがとうですわ・・・さあ、そろそろ帰らないと』
タ「おっ、もうこんな時間か。暗いから送ろうか?」
リ『えっ・・・あ、いえ、セバスチャンが迎えに来ますから・・・結構ですわ(///)』
タ「そっか。じゃあな。また明日」

・・・リナ宅・・・

リ『ただいまですわ』
父「おお、おかえり、リナ。練習は順調かね?」
リ『え、ええ・・・。』
父「そうか、それは良かった。頼むぞ、荒巻家の小娘なんぞに負けんでくれよ」
リ『もちろんですわ・・・』
父「荒巻家とうちとは、クマソだった奴らをご先祖様が討伐に行って以来のライバルなのだ」
父「しかも、事業においても競合している。負けるわけにはいかんのだ」
リ『わかっておりますわ・・・必ず勝ってみせます』
父「うむ、頑張ってくれ」

・・・翌日・・・

キーンコーンカーンコーン
タ「よぉ、リナ。今日も練習していくのか?」
リ『ええ。そろそろ本番の曲の練習に入らないといけませんし』
タ「また聴いててもいいかな?」
リ『え?・・・い、いいですわ』
タ「マジ?いいの?」
リ『観客の前で演奏する練習のためですわよ?別に聴いて欲しいわけでは・・・(///)』

・・・音楽室・・・

タ「ところで、本番の曲って何やるんだ?」
リ『お、乙女の願い・・・(///)』
タ「乙女ぇ?おまwww言ってて恥ずかしくないか?www」
リ『私が名づけたわけではありませんわ!(///)』
リ『ショパン作曲の歌曲をリストがピアノ曲に編曲したもので・・・』
リ『べ、別に、好きな人の側にいたいという歌の内容を自分に重ねたわけでは・・・ゴニョゴニョ』
タ「ん?すまん、後半よく聞こえなかった」
リ『(///)とにかく!演奏の邪魔だけはしないで下さいねっ!!』
タ「おk」
ポロローン♪ポロポロローン♪
ポロポロン♪ポローン・・・
リ『ふぅ・・・ど、どうかしら・・・?』
タ「うーん・・・素人意見で悪いけど・・・なんか岩みたい」
タ「いや、もちろん俺からしたら十分うまいんだけどさ」
リ『い、岩!?・・・硬いということかしら・・・では、もう一度弾いてみますわ』

ポロローン♪ポロポロローン♪
ポロポロン♪ポローン・・・
タ「うん、やっぱり硬い。あと重い。なんかこう、響きが」
リ『そうですの・・・ふぅ・・・』
タ「そんな落ち込まないでくれよ・・・俺の意見なんか素人なんだから気にすんなって」
リ『ええ・・・ま、まだ練習始めたばかりですから・・・これからですわ』
タ「おぅ、その意気だ!」

・・・数日後・・・

ポロローン♪ポロポロローン♪
ポロポロン♪ポローン・・・
リ『どうかしら・・・?』
タ「だいぶ良くなったと思うぜ・・・どうしてもまだ岩のような感じがあるけど」
リ『そ、そう・・・』
リ『(負けるわけにはいかない・・・もっと頑張らなくては・・・)』

・・・また数日後・・・

リ『さあ、今日も練習頑張らなくては』
ポロ・・・ポ・・・ポロ・・・ン♪
リ『あら?一体誰がピアノを・・・?』
ガチャリ
タ「おっ、リナ。来たのか」
リ『え?・・・なぜタカシがピアノを・・・?』
タ「いや、その・・・ピアノってどれぐらい大変で、どれぐらい楽しいのか・・って」
タ「俺頭悪いからさ、想像力乏しくて・・・自分でやってみないとわかんねーんだよ」
タ「わかんないと、意見言ったり励ましたりできないからさ」
リ『タカシ・・・』

タ「いやぁ、でも難しいなぁ。リナってあんなに弾けてスゴイよな」
リ『そ、そんなこと・・・(///)』
リ『大体、初めてなのにユーモレスクなんていきなり弾こうとするから難しいのですわ(///)』
リ『それに、もっと手は卵を包むように・・・』
タ「こう?」
リ『違いますわ、もっと、こう・・・』
ピトッ
リ『(はっ!・・・ついタカシの手に触れてしまいましたわ・・・/////)』
タ「どったの?顔赤いけど・・・」
リ『な、ななななんでもありませんわ!(///)』
タ「熱でもあるのか?今日はもう切り上げて休んだ方がいいんじゃね?」
リ『だ、大丈夫ですわ(///)』
タ「そうか?無理すんなよ?」
リ『フンッ!タカシに心配されるほど落ちぶれてはいませんわ!(プイッ)』
タ「ほら、それが岩みたいだっていうんだよ」
リ『・・・え?』
タ「なんかさ、肩肘はってんじゃね?気持ち的に」
リ『そんなこと・・・ただ、負けたくないだけですわ』
タ「それだよ。なんでそこまで勝負にこだわるんだ?」
リ『タカシになどわかりませんわ・・・荒巻家には負けるわけにいきませんの』
タ「荒巻家って、リナの親父さんの会社のライバルの?」
リ『ええ。長年争ってきた仲ですわ。そこの娘もコンクールに出場しますの』
タ「まあお家のことじゃ俺なんか確かに何も言えないわけだが・・・」
リ『詳しくはわかりませんけれど・・・最近事業で荒巻家に追い上げられているらしくて・・・』
リ『ここで私が負けては、ますます勢いに差がついてしまいます』
リ『だから・・・私は負けられない・・・決して・・・』
タ「・・・リナ・・・」
リ『でも、練習は楽しいですわよ?・・・タカシがいてくれますから(///)・・・ゴニョゴニョゴニョ』
タ「え?ごめん、また後半よく聞こえなかった・・・」
リ『なんでもございませんわ!(///)・・・練習の続きは明日にします!!』


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