第10話『稲葉の白兎』

どきどきどきどきどきどき―
心臓が早鐘を打つ。まるで全身が心臓になってしまったかのようだ。
雨宮耕平は大いに緊張していた。
足元の感覚も曖昧でまるで宙に浮いているようで、
(ああ、だから『浮ついてる』って言うのか?)
なんて、耕平は稲穂と夜の小鳥遊町を歩きながら、そんな事を考えた。
2人は、稲穂の家へと向かっていた。現在、両親は出かけていて居ないらしい。
そんな家に、恋人をこんな夜遅くに招くということ。
それが意味することが何かなんて、今日日小学生でも分かるわけで。
ちら、と稲穂の顔を覗き込む。
稲穂は僅かに頬を赤くし、俯いて歩いていた。その顔はやや強張っていた。
(ああ、コイツも緊張してるのか…そりゃ、そうだよな)
(緊張してるのは俺だけじゃないんだよな)安心した耕平の顔に笑みが浮かぶ。
「…なにニヤニヤしてるのよ、気持ち悪いわね」と、耕平の視線に気づいた稲穂が口を開いた。
「あ、悪ぃ」耕平は反射的に謝っていた。
「べ、別に謝る必要はないわよ」
「男って、その…女の人より大概【そういうの】が好きだって言うのは知ってるし…」言いながら稲穂の顔の朱が濃くなっていった。
「いや待て、今のは違う!」誤解されていることに気づいた耕平は慌てて弁解する。
「確かに俺も男だし【そういうこと】には多少なりというか結構というかああハイ正直に言いますかなり興味がありますよっていうかもう 興味津々というやつですよええそれに付き合い始めて割と経ったししそろそろいいかなーとか誕生日だしもしかしたら、もしかしたらそういう展開もあるかなーとか淡い期待を持ってたりはしたけども!」
「…スケベ(//////)」赤い顔のまま、上目遣いで、稲穂。
「ちーがーうーんーだー!」必死に否定する耕平。
無論、説得力は皆無だった。

住宅街の一角。とある家の前に止まった稲穂は、
「着いたわよ。ここが私の家」と言った。
「ここか…………」
「なによ、しんみりした顔しちゃって。耕平らしくもない」
「いや…お前とは中学からの付き合いだったのにさ、家の場所すら知らなかったんだなぁって思ってよ」
「そりゃそうよ。アンタはいつも桐生達と一緒だったもの」
「学校では顔あわせてはケンカばっかだったしな」
「そうね」苦笑する稲穂。
「今考えりゃ勿体無いぜ。ずっとこんないい女が傍に居ながら、家の場所すら聞かなかったんだから」
「い、いきなり何言ってるのよぅ…(//////)」
「『いい女』だなんて…私なんて地味だし、洒落っ気も無いし」
「あのなぁ。俺はこと女について嘘は言わねえし妥協とかお世辞とかそんなのも一切しねぇーの」
「タカシにとっての料理みたいな感じかな」
「だから、自信持てよ。お前はいい女だよ」耕平の眼は、どこまでも真剣だった。
「いつもは女の子扱いしないくせに…この卑怯者(//////)」
「そりゃそうさ、だって俺は『ダメ人間』だからな」耕平はニヤリ、と笑った。
「…バカ。さっさと入るわよ」稲穂の顔は、まだ赤いままだった。

ドアを開けるため、稲穂が鍵を鍵穴に入れる。
だが、怪訝そうな顔をすると鍵を抜きドアノブに手をかけた。すると、
ガチャリ。あっさりとドアが開いた。
「…あれ?開いてる」
「鍵かけ忘れたのかよ、意外とうっかりしてんだな」
「アンタにそう言われると物凄い屈辱的…にしても、おかしいわね。確かに鍵をかけた筈なのに」
「まあいいじゃねえか。さっさと家ん中入ってくれよ。俺が入れないだろ」
「何か偉そうなのよねー…ここはアンタの家じゃないのよ」
「へいへい」そんなやり取りをしつつ、2人は玄関に足を踏み入れた。
家の中は、当然の如く明かりがついておらず暗いままだった。
稲穂が電気をつけようとスイッチに手を伸ばしたその時、
いきなり家中の電気が点灯した。
2人が目を眩ませていると、
「「お帰り〜♪」」と、いいながら2人の中年の男女が玄関に家の奥から現れた。
(…誰?)突然の事に呆然としながらも耕平は心の中で一人ごちた。
「父さん!それに母さんも!?帰ってくるの明日じゃなかったの!?」
「実は旅行は今日で帰る予定だったんだ」稲穂の父らしい中年男性が柔和な笑みを浮かべつつそう言った。
「だからって普通に帰ったらつまらないでしょう?だから明日帰るって嘘ついて、稲穂をビックリさせようと思ったの。うふふ」
稲穂の母らしき中年女性はおっとりとした口調でそう言った。

「もう…相変わらず無茶苦茶なんだから…」はあ、と小さい溜息をつく稲穂。
「ははは、大成功な様で何よりだ。…それで、横の少年は誰なんだい?稲穂」
「えっと、父さん…この人はね…」慌てて説明しようとする稲穂を耕平は、
「いや稲穂。俺が話すべきだろ」と、言いつつ遮った。
「お2人とも初めまして。稲穂…さんとお付き合いさせていただいている雨宮耕平です」そういって耕平はペコリと頭を下げた。
「驚き…アンタ敬語使えたのね…」
「茶化すなよ。こういう時位俺だって真面目にもなるさ」
「御丁寧な挨拶をどうも。私は稲穂の父で、豊(ゆたか)という」
「わたしは稲穂の母の実(みのり)よ〜ヨロシクね耕平ちゃん〜」
「さて耕平君…挨拶したばかりでなんだが…言っておかなければいけないことがある」
「コレでも稲穂は可愛い娘でな…君のような奴に娘はやらんぞッ!」
「ちょっとお父さん!?」という稲穂の言葉を、
「稲穂、お前は黙っててくれ」またも耕平は遮って止めた。
「豊さん、やるだのやらないだの…娘にその言い方はないでしょう!?」毅然と言う耕平。
「こ、耕平…(//////)」その姿に胸をキュン、とさせる稲穂。
「稲穂が俺のモノになるんじゃない!寧ろ俺が稲穂のモノにグハァ!?」
耕平が最後まで言い終わる前に稲穂は耕平を張り倒した。
「何アホなこと言ってるのよ!あ〜もう一瞬でも見直した私が馬鹿だった…」
「うむ、な ら ば 良 し」豊が重々しく頷いた。
「いいのっ!?」
「それはともかく、君が耕平君か…いろいろ稲穂から話は聞いているよ」
「話…?」

「うむ。学校での生活態度についての愚痴だとかいつもこんな馬鹿な事をやらかしてるだとか君のこんな所がダメだとか、そういう話だ」
「稲穂〜お前なぁ…」半目で稲穂を見る耕平。
「な、何よ…ホントの事じゃないのよぅ…」といいつつもきまり悪げに目を逸らす稲穂。
「うふふ。でもね〜アナタの話をする時はね」と、それまで黙っていた実が、
「話の最後に必ず『悪い奴ではないんだけどね』とか『あれでも結構いい所もあるのよ』とか必ずフォローの言葉が入るのよ〜」
「なんだかんだ言って愛されてるわね〜耕平ちゃん。私たちいつも聞いててニヤニヤしちゃうわ」と楽しそうに語った。
「ちょ、ちょっとお母さん(//////)」
「あ〜いや、なんて言ったらいいのか…」耕平は照れくさそうに頭をポリポリと掻いた。
「それに、だ。何より君の話をしている時の稲穂の顔は…とても楽しそうで、幸せそうな顔をしている。妬けてしまうくらいにね」
「その時の顔を君にも見せてやりたいよ。そんな顔をさせる人間が、稲穂にとって悪い人間なわけがない」
「だから、さっき言った冗談は忘れてくれ。私達は2人の交際について何も口出しする気はない」
「もっとも、君の事は娘を通じて君が思っているよりも、遥かに知りえているわけだがね」豊は微苦笑した。
「それにしても、私達が居ない時に彼氏を連れてくるなんて、うふふ、これはやっぱりあれなのかしら」
「お母さん赤飯炊いた方がいいかしらね?」
「お母さん、余計な事はしないで!」
「こうして少女は大人への階段をまた1歩踏み出すのだな…寂しいやら切ないやら」
「そうだ耕平君、コレを」といって何かを懐から出す豊。それを耕平に手渡した。
それは、袋に入ったコンドームの束だった。

「おおおお父さん!一体何を渡してるのよぅ!?」
「何とは…避妊具だが?」
「そーゆーことじゃなくてっ!親がそういうものを渡す?普通!?」
「何を言うかと思えば…妊娠したら困るだろう?あ、無論中絶はダメだ。それだけは絶対にイカン」
「いやだからお父さん!」
「それじゃ邪魔者は退散するわね〜稲穂ちゃん頑張ってね〜」
「耕平ちゃん〜最初なんだから優しくしなきゃだめよ〜女の子は繊細なんだから」
「お母さんまでドサクサ紛れに何言ってるの!?って言うか2人とも話を聞いてよ!?」
「それじゃお母さん、そろそろ行こうか。久しぶりに今日は寝かせないよ」
「うふふ、楽しみだわぁ〜♪」
などと言いながら2人は家を出て行った。
「いやぁ、面白い両親だな」
「あれを面白いの一言で済ます普通!?…はあ、もういいわ」
「とりあえず先部屋に行って待ってて。階段を上がってすぐの部屋だから」
「あ、あれ?一緒に来ないのか?」
「…シャワーくらい浴びさせなさいよ、バカ。アンタはもう自分の家で済ませてるみたいだけど、私はまだなの」
「わ、悪い…んじゃ、部屋に行って待ってるわ」そう言うと、耕平は階段を上って言った。
(シャワー浴びたら…その、ス、スルのよね…ああもうまた緊張してきたぁっ)しばらく稲穂は真っ赤な顔で懊悩していたが、
(…よ、よし、オッケー大丈夫。…稲葉稲穂、女になります)
と、妙な決意を固め、稲穂は浴室へと消えていった。



耕平が階段を上り終えると、すぐ近くにドアがあった。
ドアにはそっけないネームプレートがかけられており、それには【稲穂】の文字。
聞いたとおり、どうやらここでいいらしい。耕平は部屋のドアを開けた。
部屋の中に入り、とりあえず学習机の椅子を引っ張り出し座る。
ベッドの上で待とう、とも思った耕平だったが、あからさま過ぎて引かれるかも知れないと思い、止めた。
(やっぱ、ビビッってんなぁ…俺)耕平は心の中で自嘲めいた独り言を漏らす。
なんとなく、手持ち無沙汰になり周囲を見渡す。
細々とした調度品や家具のデザイン、ベッドカバーやカーテンのチョイスなどを見て、
(ホントに、女の子の部屋に居るんだなぁ…)と妙に感慨深くなる耕平だった。
また、それらの物は全て綺麗に整理されており、部屋の主の几帳面さが伺える。
(稲穂らしいなぁ)耕平は苦笑する。散らかし放題の梨亜やアバウトな隆ではこうは行くまい。
ガチャリ。ドアの開く音。振り向くと、稲穂がそこに居た。
微かに湯気が立ち上る彼女の体が、火照り微かに赤くなっているのはシャワーを浴びたばかりである所為か、それとも別の理由か。
「…待った?」節目がちに聞いてくる稲穂。
本人も意識してないのだろうが、その仕草が妙に艶っぽく、耕平の心拍数が軽く跳ね上がる。
「あ、いや別に?そんな事ないって」内心の動揺を悟られないよう、極めて平静を装って答えたつもりだったが―
「あはは…声、裏返ってるわよ。こういう所までヘタレなのね」と、自分も緊張で固くなっていた事を棚に上げ、意地悪げに笑う稲穂。
「う、うっせぇ。しょうがねえだろ…女の部屋に行くのも、コレからスル事も初めてなんだよ」
「あ、開き直るんだ、サイテー」と言いながらもその顔には屈託のない笑みが浮かんでいた。
詰まる所、こんないつものような軽口のやり取りが、2人にとって最高のコミュニケーション方法だった。
その証拠に、2人の緊張は完全にほぐれていたのだから。

「ん…ふぁ…」
2人は共にベッドに座り、軽く唇を重ねる。キスが終わると、稲穂は耕平に問いかけた。
「ねえ…耕平って確か、一人暮らししてるのよね?」
「ああ、そうだけど、それがどうかしたか?」こんな時にどうしたんだろう?と、耕平は怪訝な顔で聞き返す。
「いや…こういう日くらい、家に戻って親に誕生日祝ってもらわないのかな?って思って」
「はは…まあ、普通はそうなのかも知れねえけどな」
「でもな、この前も行ったけど…俺に家族なんていねえんだよ」
「え…?でも…」
「ああ、紛らわしい言い方だったか。確かに戸籍上親に位置づけられてる人間なら居る。だけど…『家族』じゃないんだよ」
「理由…聞いてもいい?」
「つまらねえ話だけど、それでもいいんならな」その言葉に稲穂は静かに頷いた。
「俺のお袋は俺を産んですぐに死んだ。数年後、親父は他の女性と再婚した」
「そして、小学生の時に親父が死んで、その数年後、義理の母親…継母って奴か。その人は他の男性と再婚した」
「あ、一応言っとくけどな?酷い扱い受けたとか、そんなのはないんだよ」
「寧ろ、あの2人は俺と一緒に暮らしていこうと出来るだけ友好的に接してくれた。俺もそれに答えようとした」
「だけどな?そうしたからこそ、分かっちまったんだよ。俺たちは『家族』にはなれないってな」
「どんなに仲良くなっても、その関係は家族のそれじゃなかった。ボタンを掛け違えた様な、『ズレ』をいつも感じてた」
「『家族』になるための一線を越えることが出来なかったんだ…だから俺は家を出た」
「俺には家族なんていねぇ。でも…強いて家族って呼べる存在を上げるなら、それは隆とカナリアだ」
「俺はあの2人の為なら何でもしてやれる。あいつ等に何かロクでもないことをしようとする奴がいたら、絶対に許さねぇ」
「そんな事があったんだ…ねえ、耕平?私も…その『家族』の中に入れた?」
「当たり前だろ」
耕平は自分の想いを表すかのごとく、稲穂を強く強く抱きしめた。

そのまま再び唇を重ねる。
(舌、入れてみようかな?)耕平がゆっくりと舌を稲穂の口へと滑り込ませる。
思わぬ感触にビックリしたように一瞬目を見開く稲穂だったが、そのまま自分の舌と絡ませる。
「ん…ちゅ…ちゅっ…っれろ…」
互いの舌の感触を楽しみあうようにしばらくその行為を続けていた2人だったが、やがてゆっくりと唇を離した。
唇が離れる瞬間唾液が銀色の糸となって2人の唇の間をつぅ、と伝う。
「服…脱がすぞ?」耕平の言葉に、
「……………ん」キスの余韻に浸っているのか、ぽおっとした顔のまま小さな声で同意しコクリ、と頷いた。
とりあえず上着から脱がしていく耕平。ボタンを外す音が妙に大きく聞こえる。
上着を完全に脱がすと、可愛らしくかつ子供っぽくない凝ったデザインのブラが顔を見せる。
ブラには彼女の平均を大きく上回るサイズの乳房が、窮屈そうに収まっていた。たわわに実る、とはこのことだ。
(うわ…以外と胸でっけえんだな…着やせするタイプだったのかコイツっ…!)ゴクリ、と生唾を飲み込む耕平。
恐る恐るブラに手をかける耕平。だがその時、フロントホックのブラが外れ、
たゆん。
そんな音が聞こえてきそうな瑞々しい動きで、彼女の乳房がまろびでた。
(…………………………………………!)
次の瞬間、耕平の頭の中が真っ白になった。

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡

しばらくお待ち下さい。




「あ…あっ…あん…や、やぁ…」
(…………………………………………はっ!?)そんな稲穂の嬌声で耕平は我に帰った。
気づいたらいつの間にか稲穂の胸を執拗に揉みしだいていた。
「い…稲穂…そ、その…」
「も、もう…胸ばっかり揉まないでよぅ…(//////)」恥らう稲穂。
だが言葉とは裏腹に胸の突起はツン、と硬く尖っていた。そこを指摘する程耕平はデリカシーがないわけでもSでもなかったが。
「す…スマン…コレは男の性(さが)ってやつで…その…なんだ…」
「好きだ」
「胸を見ながら言うなぁっ!」
「はぁ…初めての『好き』がこれだなんて…ムードも何もないじゃない…」
「え?そうだっけか?」
「そーよ。はっきりと『好きだ』って言ってもらえてなくて、ずっとやきもきしてたんだから」
「で、でもさ。口に出してなかったとしても伝わってたろ?」
「例えそうでも、そういう言葉は口に出して言ってもらいたいものなの。それくらいわかりなさいよ…わかってよ」
「スマン…ならはっきりと言うわ」
「稲穂…愛してる。…これも、初めてだったよな?」
「何よ…とってつけたみたいな言い方して…最悪」
「でも…すごく嬉しくなった自分はもっと最悪よ…」その言葉に耕平は暖かな微苦笑を漏らす。
「稲穂…好きだ。大好きだ」耕平は稲穂を押し倒した。
「ばか…ばかぁ…でも、大好き…」押し倒されながら、稲穂はか細い声でそう言った。

耕平は稲穂の体に浮かぶ玉のような汗を舐め取るように耳から首筋、鎖骨にかけての幾度も口付けをしていく。
「ん…ふぅ…あぁっ…」稲穂はくすぐったさと快感の入り混じった感触に、悩ましげな吐息を漏らし身をよじらせる。
(胸も…可愛がってやらなくちゃな)先程執拗に揉みしだいた稲穂の胸に耕平は下を這わせる。
胸の突起に吸い付き軽く甘噛みすると、
「んあっ…!」感極まったような嬌声が稲穂の口から飛び出した。
「下も…脱がせるからな…」耕平はそう言うと稲穂のスカートに手をかける。
スカートを脱がすとブラと同じデザインと色のショーツが顔を見せた。
(勝負下着って奴か…)ゴクリ。再び生唾を嚥下する耕平。
優しくショーツに手をかけ、ゆっくりと脱がしていく。
ショーツに愛液による楕円形の染みが出来ているのを見つけた耕平は、
(感じてくれてるんだな…)と無性に嬉しくなる。
「じ、ジロジロ見ないでよぅ…(//////)」羞恥に稲穂の顔が真っ赤に染まる。
「はは、悪い。あんまりお前の躰が綺麗でエッチだからつい見とれた」
「もう…バカ」
耕平の手が稲穂の秘部に触れる。一瞬稲穂はビクリ、と体を強張らせた。
ゆっくりと優しく秘裂を撫で上げる。愛液の量が増えクチュクチュと淫らな音を立てる。
「あっあっあっ…そ、そんな…ああっ…音…立てないでよぅ…」
「無茶言うなよ」耕平は秘裂の間に指を滑らせる。愛液によって十分に濡れたそこは耕平の2本の指をアッサリと呑み込んだ。
「やっ、やん…そ、そこ…らめぇ…」粘着質な淫らな音の大きさがさらに増す。
それにあわせ稲穂の口の呂律が快感によって回らなくなっていく。
「稲穂…そろそろ…挿れるぞ?」
「…ふぇ?あ…う、うん。いいよ」快感に陶然とした顔をしていた稲穂だったが、耕平の言葉に小さく頷いた。

ヌチュ。耕平が固くなった自分のモノの先端を稲穂の秘所に押し当てる。
少しずつ耕平の剛直が稲穂の中へ飲み込まれていく。
「んっ…ああっ…んあああぁっ!」稲穂は自分の躰を襲う異物感と痛みに苦しげな声を上げる。
「痛むか!?」
「うん…結構ね…でも…中途半端なのがっ…一番痛いらしいから…もっと奥まで挿れてっ…」眼の端に僅かに涙を浮かべながら、稲穂。
その言葉に耕平はゆっくりと腰を進めていく。途中小さな抵抗感があったが、すぐに無くなった。
それと同時に繋がっている部分からじわり、僅かに赤いものが染み出してきた。
そして耕平の剛直が完全に呑み込まれた。
しばらくそうしていたが、稲穂の荒い息が徐々に収まると同時に膣道の締め付けが少しづつ緩くなっていく。
「稲穂…もう、動いて良いか?」問いかけるのはコレで何度目だろうか、と小さな疑問を頭に浮かべつつ耕平が問いかける。
「うん…そろそろ、大丈夫。動いていいわ」
その言葉に、耕平が腰を前後に振りはじめる。最初はゆっくりだったが、抑えられなくなったのか、次第にそのスピードを増していく。
「ああっ…あっ…はっ…はううううっ!なんか、痛くなくなってきたけど…なんだろ…」
「なんか…んぁっ…フワフワしたような…ああん…変な感じ…」
「そりゃさ…感じはじめてるって証拠だろ…俺ってテクニシャン?」
「自惚れないでよ…バカ…はああン」
「あっ…あああぅ…やっ…やぁぁっ…なんか…変、変なのぉっ…なんか白く…真っ白になっちゃうぅっ!」
「くっ…俺も…そろそろっ…」
「あっ…あっあっああっ…耕平、耕平っ!…飛んじゃう、飛んじゃうぅぅぅ!」
「稲穂ぉぉぉっ!」次の瞬間、耕平は自分の精を稲穂の膣内にぶちまけた。
「ひぁっ!?ああっ…ああああああああああぁぁぁーっ!」
体をグン!と弓の様にしならせ、稲穂は絶頂に達した。
(あ…やべ…コンドーム付け忘れた)今更になって、耕平はその事実に気づいた。

行為を終え、稲穂と耕平は音楽を聴きながら寄り添いベッドに寝転ぶ。
「稲葉稲穂さん、初めての感想はどうよ?」
「なによ、アンタだって初めてじゃないのよっ」
「まあ…その…よかったかな…ってナニ言わせんのよぅ。アンタはどうなのよ」
「最高ですとしか言い様がねえな。俺は幸せものです」
「はあ、男っていいわよね…私なんかまだ中に何か入ってるような変な感じがするのに」
「私の躰がアナタを忘れられなくなっちゃったのーってか?」
「ばぁか」稲穂は苦笑した。
「張り切りすぎたかな…眠くなってきやがった」
「私も…耕平、あのさ…」
「ん?」
「多分、恥ずかしくて今しか言えないと思うから言うわね」
「おう」
「耕平…愛してる」
「さっきも言ったけど…俺も愛してるぜ、稲穂」
「うん…」
2人は折り重なるようにして眠りについた。
やわらかな月の光が、2人を見守るように優しく照らしていた。


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