後日談

は『沈み行く夕日を背に、二人は永遠とも思える長い長いキスをしました、っと』
コンコン ガチャ
母『遥、タカシ君が来たわよ』
は『うん、入ってもらって』
タ「お邪魔します」
母『それじゃ、ゆっくりしてってね』
タ「はい」
は『随分と遅かったですね。約束の時間はとっくに過ぎてますけど?』
タ「打ち合わせが長引いちゃってさ」
は『言い訳なんて聞きたくないです。時間を守ることなんて社会人の初歩も初歩ですよ?』
タ「どうせ俺は斜めに壊れてる人と書いて、斜壊人ですよ」
は『自分で言ってれば世話ないです』
タ「んで、先生、原稿の進み具合はどうですか?」
は『む・・・』
ぺちっ
タ「いって・・・な、何だよ?」
は『もう・・・二人きりの時は、その呼び方しちゃダメって言ったじゃないですか?』
タ「あ・・・そうか、ゴメン」
は『まったく、進歩が無いですね』
タ「んで、どう?遥」
は『もうラストまで書けましたよ。はい、これ』
タ「どれどれ。しかし、驚きだよなぁ・・・俺と遥の話が映画になるなんて」
は『そうですね・・・わ、私は恥ずかしいから嫌だったんですよ?それなのに・・・』

と『高校の時さ、宿題1週間ちょっとでやったじゃない?アレを本にしてよ。映画にするから』
は『べ、別に面白い事なんて何にも無かったですよ?』
と『お守り返してもらったでしょ?実はアレに小型のヴォイスレコーダーを仕込んでて』
は『へ・・・?』
と『初日から随分と・・・ねぇ。聴いてるこっちが赤面だったわよ?』
は『と、友ちゃん!!!!(/////』
と『んで、書く気になった?それとも特ダネとして午後のワイドショーに出してみる?』
は『うぅ・・・分かりました。書きますよ・・・はぅぅ・・・』

タ「で、契約書にハンコ押しちゃったと」
は『結局、ヴォイスレコーダーっていうのは嘘だったみたいですが』
タ「さすがやり手。見事にしてやられたって感じだな」
は『関心してる場合じゃないです!』
タ「ん〜・・・確かに、二人だけの秘密じゃなくなっちゃう・・・か」
は『はぁ・・・』
タ「友ちゃん、テレビ局のディレクターだしね。で、開局何十年かの記念映画になるんだっけ?」
は『そんな一大イベント使わなくてもいいのに・・・』
タ「でもさ、これで小説家・音無遥の知名度は上がるんじゃない?」
は『そ、そんな事で上げたくないです!あくまでも、作品を評価してもらってですね』
タ「はいはい。ま、友ちゃんなりに遥の事を考えてくれてるんだと思うよ」
は『むしろ、秘密のままにさせて欲しかったですよ・・・』
タ「しかし、友ちゃんは新聞記者にでもなると思ったのにな。驚きだよ」
は『私に言わせれば、タカシさんの方が驚きですよ』
タ「何で?」
は『あんなに活字が嫌いって言ってたのに、編集者になっちゃうんだもん』
タ「だって、遥がいずれ作家になる事は分かってたし。少しでも一緒に居るならこの仕事だなって」
は『はぁ・・・就職する理由が不純すぎて呆れます』
タ「理由はどうあれ、いまやヒット作家を何人も受け持つ敏腕編集者だぜ?」
は『自分で敏腕とか・・・どこまで自信過剰なんですか?』
タ「これっくらい自信もってやらないと、一癖も二癖もある先生達の相手はできませんぜ?」
は『その一癖も二癖もある先生達に、私も入ってるんですか?』
タ「いや、入ってないよ」
は『ですよね?私なんて、普通−』
タ「遥は二癖どころか七癖とかそれ以上だな」
は『むぅ〜・・・聞き捨てならないですよ?』
タ「だって・・・ずっと一緒に居たんだぜ?そりゃ良い所も悪い所も全部知ってるから」
は『ふ〜んだ・・・そんな事言うなら仕事しませんよ〜だ』
タ「今日は仕事お終い?」
は『タカシさんが機嫌を損ねたので、当分仕事しませんって編集長に言いつけてあげます』
タ「それなら、担当としてはご機嫌取りをしないとな」
は『簡単には機嫌直りませんから・・・んん!?』
ちゅ・・・ くちゅくちゅ・・・
タ「ふぅ・・・」
は『んぁ・・・はふっ・・・』
タ「これでも?」
は『こ、これは・・・ズルいです(////』
タ「まだダメか。これは本格的に悦ばせないとダメかな?」
は『い、今・・・違う意味で言いませんでしたか?』
タ「正解。さて、お義母さんに突撃されないようにカギ掛けて・・・っと」
は『そ、そういう所は学習してるんですね』
タ「さて、息抜きしましょうね?」
は『・・・はい(///』

おしまい


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