さて、誰も聞いていないが説明しよう。
ここは県立VIP高校、学力から言えばまぁそこそこ・・・それはおいといて、
この学校は非常に楽しげな校風が売りであるが、一つクリティカルな欠点がある。

―男女別クラス。

・・・だが、ピンチはチャンスとか、バカと天才は紙一重とか(?)よく言うように、
地獄は時として天国へとその姿を変えることがある。
いや・・・この場合天国っていうかその・・・・それはそれで・・・ゲフンゲフン。
前置きが長くなった。本日は皆様お疲れのところ申し訳ないが、
ひとつその実例でお耳を汚し、場つなぎとすることにしよう。

先に何が起きたのか単刀直入に言おう。
女子クラスで調理実習でクッキー作ってて、男子クラスへ持ってきて大騒ぎ。以上。

女1「そろそろ焼けたかな〜」
女2「何あんた、ハート型なんか作っちゃって〜」キャッキャッ

か「・・・・はぁぁ・・・」

友「ねぇちなみ、あんたと同じ顔した人がさっきからこの世の人じゃないんだけど」
ち「・・・・本当です」

か「(・・・・なんでこんなの作っちゃったんだろ・・・・ハートばっかり・・・)」

友「ちなみ、あれ何とかしなさいよ。この世に呼び戻して」
ち「・・・・・どうすればいいのでしょうか」
友「あんた姉でしょ、以心伝心でどうしたらいいかわかるんじゃないの?」

か「(・・・・しかも・・・うう・・・何よ、あたし・・・かわいい袋まで買っちゃって・・・)」

ち「うーむ・・・・・・ぬ、脱ぐとか」
友「却下」

ち「あ、思いつきました」
友「え?何々?ふむふむ・・・・・・・うはwwwwwwwwおkwwwwwwwwwww」

か「(べべべっ、別に、あいつにクッキーあげるためじゃ・・・あいつのためじゃな・・・うう・・・)」

ち「あ、別府タカシ」
か『えひゅぉくっ!!?!!?!?!』
友「・・・・何それ、新しい呪文?」
ち「青魔導師ちなみんです。ラーニングラーニング」
か「・・・あれ?え、そのあたし、いった・・・」
友「どうせ愛しのタカシ君のことでも考えてたんでしょ」
か「っととととと友子ぉっ!!何よその愛しn・・・そそ、そんなんじゃないわよっ!!」
友「ふーん、考えてたのは否定しないのね」
か「なっ・・・・あ、あう・・・・・(ぱくぱく)」
ち「・・・・・どうせクッキーを渡すことでも妄想してたんでしょう」
か「べべべべつにそ、そんなことっ」
友「図星ね」
か「ななななななんでそうなるのよっ」
ち「鞄の中のかわいい袋は何ですか」
か「!!!!ちなみあんたなんでそれ知って」
友「へー、そんなの持ってきてたんだ〜、愛情ねぇ」
ち「カマかけてみました」
か「ぐぅっ・・・・_| ̄|○  べっ、別にっ、ちなみ、あんたこそ山田君に渡すんでしょ、どうなのよっ」
ち「・・・・?渡しますが何か?」
か「Σ(・ω・ノ)ノ 」
ち「・・・・・彼氏にクッキー渡すのがなにか不思議ですか?」
友「でもねぇちなみ、その・・・・ゴニョゴニョ(陰毛を入れようとするのはやりすぎだと思うわよ)」
か「あああああんたいったい何考えてんのよっ」
ち「契約を結ぼうかと」
友「だから、やめなさいって・・・止めるの大変だったわ」
か「はぁ・・・と、とにかくっ、その、別にタカシに渡すんじゃ」
友「はいはい、もうわかったわよ^^かわいいわね〜かなみは(なでなで)」
か「だから違うってばー!!」
友「どうせそんなこと言いながら渡すんでしょ、もぉう、友子さまがキューピッドしてあげるっ。ね、ちなみ」
ち「・・・ふつつかな妹ですがどうか・・・」
か「なんであたしを嫁がせるような挨拶してんのよっ!べ、別にキューピッドいらないわよっ」
友「え?」
か「そんなのぐらい自分でできますっ!!」

・・・・・チーン・・・
狙いすましたように、キッチンタイマーがかなみ特製ラブラブクッキーの完成を告げた。

ち「・・・・・・了解しました。では秘密兵器を」
きゃあちょっとちなみなに鞄から出してr友子それなんで持ってk和実それ早く了解ですえうわ千佳なにすr

・・・家庭科の授業を第一宇宙速度で置き去りにしつつ、乙女達の嬌声は響くシーンは
まことに申し訳ないがスペースの都合により省略させていただく。


授業が終わり、昼休み。
男子教室の前に女生徒が大挙して・・・と書くと男子からすればウハウハなのであるが今日は事情が違う。
女子のうち、数人は手にクッキーを持って押しかけていることを総員目視にて確認している。

<男子の思考回路>
あーなるほど、女子が調理実習だったのか・・・

もらえたらいいなぁ・・・・もらえなかったら惨めだよな

とりあえずもらえたやつ袋叩きな

サー!イエス、サー!!!
<思考回路ここまで>

・・・まことに単純な生き物である。

この後、各女生徒が男子生徒に渡す段階でなんかそれなりに駆け引きがあったり
中には女生徒どうしで(そういう意味で)交換してるところもあったりとか一部の男子生徒によって
幸せ者が袋叩きにあったりとかするのだが、原油価格高騰の影響で割愛させていただく。

・・・で、本日のメインディッシュ。
友「ほらかなみ、あんた早く行きなさいよ」
ち「かなちゃん、おねーちゃんがついてってあげますよ」
か「だっだからこの格好はちょっとはずかしっ無理だって無理っ」
友「なに言ってんのよ今さらっ、ほら行きなさいっ」
か「わわっ」

・・・とりあえず、窓際で寝てた別府君の席までやってきたかなみ&ちなみ(付き添い)
か「・・・・た、タカシっ」
た「・・・んあ?かなみか、どうし・・・・ ゚д゚ 」
別府タカシ、絶句の図。幼馴染のかなみが

フリフリメイド服着て小動物みたいにプルプル震えてたら

そりゃまぁ普段は罵詈雑言のオンパレードで休日はあてもなく連れ回すしデートだとは絶対認めないし
朝は一緒に登校しないとコークスクリュー飛んでくるようなツンツン女でもこここここれは反則ううううううううううううう
お前らもそう思うよな!な!!!11!!!

か「・・・・ええっと・・・その・・・これ・・・」
た「・・・・・・あ、す、すまん、これ、もらっていいのか?」
か「えっ・・・せ、せっかく作ったんだからっ、食べてよっ・・・その・・・」
た「わ、わかった食べますっ!!!」がさがさぱくぱく「・・・・・おっ」
か「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(じー)」
た「・・・・・おいしいです、はい」
か「・・・・・・よ、よかった・・・」
た「え・・・?」
か「その・・・まずいって言われたら・・・どうしようって・・・・」
た「いや、普通にうまいし。おいしいよ。サンキュな、かなみ。」

ち「・・・・・お取り込み中すみませんが」
た・か『ひゃいっ!!』
ち「・・・・・(無言で指差す)」

男子生徒s ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚゚д゚ ゚д゚ ゚д゚
女子生徒s ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚(*ノノ) ゚д゚ ゚д゚ ゚д゚(*ノノ) ゚д゚(・∀・)゚д゚ ゚д゚ ゚д゚

か「・・・・・っ、き、きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
どげしっ!ぼこっ!!ドスッ!!!
別府タカシに強烈なコンボを与え、フリフリメイドさんは風のように走り去っていきました。

ああ、これって天国かな。地獄かな。
この世のものとは思えない怒号と嬌声を上げつつ、迫り来る漢の群を眺めながら、
別府タカシはそんなことを考えていたそうな。


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