その13

〜〜冬休み六日目 二人でお料理は楽しいのですよ?〜〜

−冬休み六日目−

母『遥〜、大変よ』
は『ふぁ・・・おはよ、お母さん』
母『おはよじゃないわよ、これ見て!』
は『ふぇ・・・?こ、これって・・・!?』
母『ついに来ちゃったわね・・・どうしよう?』
は『去年みたいに?』
母『う〜ん、それもそれで・・・あ、そうだわ』
は『名案でも?』
母『我ながらナイスアイデア。うふふ・・・』
は『・・・?』

母『タカシ君、ゴメンね?バイトの後で疲れてるのに』
タ「いえいえ、大丈夫ですよ。それより、どうしたんですか?」
母『これ見てどう思う?』
タ「すごく・・・大きいです・・・」
は『はいはい、バカな事やってないで、ちゃんと説明してあげてよ』
母『あはは、一度やってみたくてね。てへ』
タ「これ、どうしたの?」
は『叔母さんがね、九州の方にいるんです。それで、毎年お正月前に魚を送ってくるんですけど』
母『これがねぇ、毎回でっかいの1匹丸々送ってくるんだけど』
タ「へぇ〜、いいね。うちは親戚が近くにしかいないから、羨ましい」
母『でしょ?タカシ君がうちの婿になれば、毎年食べれるわよ?』
タ「マジっすか?遥は俺の嫁ですけど、婿になるのもいいかもな」
は『ちょーっとちょっと!勝手な事ばっかり言わないで下さい(////』
タ「で・・・何で俺が呼ばれたんですか?」
母『えっとね・・・ねぇ、遥?』
は『お、お母さんから言ってよ・・・私は関係ないし』
タ「ん・・・?何?」
母『あのね、タカシ君。実は・・・』
タ「はい」
母『遥は頭の付いた魚が捌けないの・・・困ったものよね?』
タ「は?」
は『お母さん!自分だってできないのに、私だけ出来ないみたいな事言わないでよ』
母『お母さんは、先祖代々の言い伝えでやっちゃダメってなってるの。出来ないわけじゃないの』
は『じゃぁ、私だって同じだもん』
母『あれ?遥には伝えてないわよ?この忌まわしき習慣・・・私の代で止めなきゃ』
タ「お義母さん・・・何かカッコイイっす」
母『遥には・・・幸せになって欲しいから』
は『もう!タカシさんまで・・・本当にバカなんですね』
タ「あはは、冗談だって。で、本当にダメなの?」
は『そ、その・・・で、出来なくはないですよ?ただ・・・その・・・』
母『お母さん、お魚さんがこっち見てるの。ふぇぇぇん・・・って泣いてたわね』
は『い、いつの話よ(///』
タ「遥の意外な一面だな」
は『わ、私だって、苦手な事の一つや二つあります・・・いけませんか?』
タ「そっちの方がいいよ。全部完璧にこなされてもね・・・つまらないっつーかさ」
は『ふ〜んだ、本当は内心せせら笑ってるに決まってます』
タ「でも、魚がこっち見てるって・・・可愛いな」
は『タカシさん!(///』
タ「んで、お義母さんは?」
母『だ、だから、先祖代々』
は『お父さんが言ってたけど・・・』
母『わーわー、言わなくていいの!』
は『どうしようかな・・・?』
母『そ、そうだ!今日は鍋にしましょ?材料買ってくるから・・・あとよろしくね〜』

タ「・・・行っちゃったね」
は『はぁ・・・疲れます』
タ「で、俺は何すればいいの?」
は『そ、その・・・料理もできないタカシさんにお願いするのは酷ですが・・・』
タ「うん」
は『こ、この魚を・・・捌いて欲しいのです』
タ「いや、俺やった事無いけど?」
は『あ、頭と・・・尻尾を取ってくれれば・・・その・・・あ、後は何とか』
タ「ぷっ・・・あはは・・・」
は『な、何が可笑しいんですか?』
タ「いや、本当にダメなんだと思って・・・あはは」
は『人の欠点を笑うなんて最低です!』
タ「ゴメンゴメン。でも・・・いや、本当にさ」
は『ふ〜ん、もうタカシさんに頼まないです。このお魚はお隣さんに上げちゃいます』
タ「ゴメンって。やるから」
は『知りません』
タ「遥」
ぎゅ・・・
は『ふぇ・・・?は、離してください(///』
タ「本当に可愛いと思ってさ・・・笑ったのは謝るから」
は『きゅ、急に真面目な口調で言わないで下さい(///』
タ「ダメか?」
は『そ、そんな風に言われたら・・・は、恥ずかしいです(///』
タ「こっち向いて?」
は『・・・はい』
タ「ん・・・」
ちゅ・・・
は『んぁ・・・もう、えっちなんだから(///』
タ「じゃ、包丁貸して?」
は『はい・・・危ないから、気をつけてくださいね?』
タ「分かってるよ」
は『じゃ、まずは内臓から』
タ「こんな感じ・・・かな?」
ザクザク
タ「おー・・・グロ注意」
は『この位、料理してれば普通ですよ?』
タ「そうなの?・・・あ、タマゴだ」
は『わー、一杯詰まってますね』
タ「ふ〜ん、こうなってるんだ。初めて見た」
は『タカシさん、あんまりジロジロ見ないで下さい』
タ「え?」
は『鮮度が命です、さっさとやりましょう』
母『もう、遥ちゃんったら。いくらメスだからって、ヤキモチ妬かないの』
は『だ、誰が魚なんかにヤキモチ妬く・・・って、お母さん!?』
タ「あれ?買物は?」
母『考えてみれば、材料全部あったなって思って』
タ「い、いつからここに?」
母『んと・・・「こっち向いて?」の辺りから?』
は『・・・そ、それって、それって!(///』
母『や〜、若いって良いわねぇ。見てるお母さんもドキドキしちゃったわぁ』
は『もう・・・タカシさんのばかぁ(///』
タ「俺が悪いのかよ」

母『では、いただきま〜す』
は『いただきます』
タ「いただきます」
父「・・・」
タ「な、何か・・・家族水入らずの所に俺が居て良いのかな?」
父「歓迎」
タ「あはは、ありがとうございます」
は『い、一応手伝ってもらった訳ですし、お情けで食べさせてあげてるだけですからね?』
母『またそんな事言って・・・本当は嬉しいくせに』
は『そ、そんな事ないもん』
タ「お義父さん、お酒は?」
父「鍋」
母『そうよ?タカシ君が作ってくれたから、ちゃーんと堪能しないとね?』
は『もともと、あんまり飲まないんですよ?』
タ「そうだっけ?前あったときの印象がね」
母『必ず幸せにしてみせます・・・だっけ?あの時はカッコ良かったわねぇ』
は『あ、あんなの口からでまかせに決まってます』
タ「いや、本気だけど?つか・・・今も思ってるし」
は『た、タカシ・・・さん(///』
父「・・・」
母『・・・』
は『ちょ、ちょっと!二人とも何とか言ってよ・・・は、恥ずかしいじゃない(///』
母『タカシ君、今日は泊まっていく?』
タ「え?」
は『お、お母さん?』
タ「あ、あの・・・今日は・・・帰りますから」
父「・・・」
母『何よ?・・・口出すなって?こうでもしなきゃ・・・』
父「・・・」
母『わ、分かったわよ・・・。別にアンタに言われなくたって、分かってたんだからね?』
タ「何も言って無いのに、何で分かるのかな?」
は『さぁ・・・?』
父「愛」
タ・は「『なるほど』」
母『そ、そんな訳ないでしょ?あ、アンタの単純な考えなんてお見通しなだけなんだからね?(///』


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