その16

−冬休み九日目−

は『えっと・・・次は、大根を3本っと・・・』
タ「お、おいおい・・・まだ買うのか?」
は『当たり前です。何のために呼ばれたと思ってるんですか?』
タ「・・・荷物持ち」
は『分かってるなら、文句言わないで下さい』
タ「つーか、何日分の食料買い込むのさ?」
は『えっと・・・三日分くらいじゃないですか?』
タ「そんな訳無いだろ?どうみても1週間分以上あんぞ?」
は『うちのお母さんは姉妹の中で長女なんです。それで、親戚が沢山家にくるので』
タ「・・・そうっすか」
は『納得したら・・・はい、お願いします』
タ「んごっ・・・重たい・・・」
は『あとは・・・お肉か』
タ「てことはさ、正月は・・・逢えないのか?」
は『んー・・・どうでしょう?別に私は家にいなきゃいけない理由はないですけど』
タ「じゃぁ・・・」
は『でも、タカシさんより親戚の人達に会うほうが大切ですし』
タ「・・・」
は『タカシさんなんて、どうせ学校が始まれば、嫌でも毎日顔合わせますし』
タ「分かったよ、我慢すれば良いんだろ?」
は『・・・それでも逢いたいって、言ってくれないんですね(ボソッ』
タ「・・・え?」
は『な、何でもないです』
タ「じゃ、じゃぁさ、除夜の鐘付きにとかさ、初詣とか行こうよ?」
は『ん〜・・・どうしましょう』
タ「正月逢えないならさ、そのくらい良いだろ?」
は『正直、人ごみ苦手なので・・・そういうのは』
タ「これもダメか・・・はぁ・・・」
は『もう・・・強引に誘う位できないのですか?男らしくないですね』
タ「は?」
は『あ、いえ・・・その・・・な、何でもないです(///』
タ「俺について来い」
は『今更、そんな事言っても遅いです』
タ「遥、頼むよ」
は『頼まれません』
タ「そっか・・・こんなに重い荷物持ちさせて、ご褒美もなしか」
は『タカシさんは、何か報酬がないとお手伝いもできないような、心の狭い人間なんですね』
タ「むぐっ・・・そうくるか」
は『はい』
タ「じゃ、じゃぁ・・・最後の手段かな?」
は『何ですか?その・・・最後の手段って』
タ「内緒。とりあえず、買物が終わったら荷物を置きに行こう?」
は『は、はい・・・』

は『ただいま〜』
タ「お邪魔します」
母『あ、お疲れ様〜。ゴメンね〜、荷物持ちなんてさせちゃって』
タ「いえいえ、お役に立てて嬉しいです」
母『ささっ、座って座って。今お茶だすわね』
タ「すいません」
は『それで・・・最後の手段って何ですか?』
タ「ん?あー、今に分かるよ」
は『ま・さ・か、お母さんに言いつけるとかじゃないですよね?』
タ「子供じゃあるまいし、自分の問題は自分で解決するさ」
は『(お母さんじゃないとすると・・・もしかして・・・もしかして?////)』
タ「遥、ここにいるとお母さんの邪魔になるから、部屋行こう?」
は『ふぇ!?あ、は、はい(///』
母『えー、そんなつれない事言わないで、お喋りしましょうよ?』
タ「じゃ、あとでたっぷりと?」
母『あ、そうね・・・わかったわぁ』

は『・・・』
タ「でね、最終手段なんだけど」
は『は、はい』
タ「あ、もしかして分かっちゃった?」
は『さ、さぁ?私にはタカシさんが考えてる事なんてさっぱりですよ?』
タ「その割には、なんかソワソワしてない?」
は『そ、そんな事ないです。憶測で物を言わないで下さい(///』
タ「憶測っていうか・・・全然落ち着きないじゃない?」
は『き、気のせいです(///』
タ「そうか?まぁ・・・最終手段ってのは・・・この手は使いたくなかったんだが」
は『も、もったいぶらずに、すれば良いじゃないですか?』
タ「おう。・・・じゃーん、携帯ゲーム機!」
は『はい?』
タ「いやね、今年受験の親戚がいてさ。あると邪魔だからって、もらったんだよ」
は『は、はぁ・・・』
タ「で、俺が元から持ってるのとあわせて2台。これで、やっと遥と一緒に遊べるよ」
は『そ、そうですか』
タ「んでね?対戦して、勝ったら俺のいう事聞いてよ」
は『・・・』
タ「ま、ゲームならまず俺が負けるはず無いし。ちょっとずるい気がするけど・・・って聞いてる?」
は『えぇ・・・しっかり聞いてますよ』
タ「何か・・・怒ってる?」
は『部屋で二人きり・・・最終手段と聞いて・・・それですか』
タ「だ、ダメ?」
は『当たり前です!散々人に期待させておいて、何ですかそのオチは!最低です』
タ「へ〜・・・そうなんだ」
は『な、何ですか?ニヤニヤしないで下さい』
タ「じゃぁ、ご期待に沿わないと・・・ね?」
は『ふぇ?・・・きゃっ』
ぎゅ・・・
タ「こうやって、ぎゅってされて」
は『ち、違っ』
なでなで
タ「なでなで・・・されたかったんでしょ?」
は『そ、そんな訳ないですっ(///』
タ「遥・・・はむっ」
は『ふぁ・・・み、耳たぶ・・・噛んじゃめーですよぉ(///』
タ「ね?混まないところ知ってるから・・・初詣行こう?」
は『こ、こんなのずるいです・・・ぁ・・・んん(///』
タ「それとも、出かけるの嫌なら、大晦日からずっと二人で居ようよ?」
は『そ、そんなの・・・』
タ「ダメ?」
は『タカシさん・・・ん』
タ「遥」
ちゅ・・・
は『んはっ・・・んん・・・』
ちゅ・・・くちゅくちゅ
タ「ぷはっ・・・ダメ?」
は『も、もう・・・えっちなんですから。しょうがないですね・・・(///』

母『えっと、大晦日はお泊りで、初詣済ませて帰ってくる・・・でいいのね?』
タ「すいません、忙しいのに」
母『いいのよ、いいのよ。親戚が来るって言っても、お昼過ぎだし。その頃までに帰ってくれば』
は『あ、あのね?タカシさんが、どうしてもって言うからだよ?私はお家でのんびりしたいのに』
母『はいはい、分かってるわよ。でも、タカシ君のお家に迷惑掛からない?』
タ「一応、さっき電話したら、大晦日は家に居ないって言ってました」
は『え?旅行とかですか?』
タ「いや、除夜の鐘に並んで、そのまま初日の出拝んで、初詣済ませて、親戚周りするって」
は『何か・・・すごく気を使わせてないですか?』
タ「毎年の事だし。俺も遥がいなければ、一緒に行ってたしね」
は『行かなくても大丈夫なんですか?』
タ「親戚周りの途中から合流すればいいって。だから・・・」
母『ずっと二人きりで居られるって訳ね?』
は『そ、そこまで手回しされたのに断ったら、逆に失礼になりますから・・・しょうがないですね』
タ「やった!」
母『うんうん、お母さんも嬉しいわ』
タ「それって・・・お義父さんと二人きりになれるからですか?」
母『え・・・?ち、違うわよ、そんな訳無いじゃない(///』
は『あ、そうなんだ・・・そういう理由で娘を追い出したかった訳かぁ・・・へぇ〜』
母『だ、だから違うわよ!あ、あんなのと二人なんて嫌に決まってるじゃない?』
タ「あはは、やっぱり遥と似てる」
は・母『『似てません』』
タ「おぉ、息もピッタリ」
は『お母さん、いい加減に素直になれば良いじゃない?』
母『遥こそ、タカシ君とベタベタイチャイチャしたいくせに素直じゃないわね』
タ「さ〜って、放っといて帰るか」
は『た、タカシさんとなんてい、イチャイチャしたいわけないじゃない!』
母『お母さんだって、お父さんの事なんてどうでもいいわよ!』


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