その3

〜〜入学式 最悪のスタートと最高の出会いだったんですよ?〜〜

−時は遡って入学式−

は『今日から高校生。今までの内気な私はサヨナラ、明るくて活発な私こんにちはです』
どん
男「痛ってーな、急に立ち止まるなよ」
は『ご、ごめんなさい、ごめんなさい』
男「ったく・・・」
は『はぁ・・・びっくりしました。気を取り直して』
ポンポン
は『ふぁ!?ごめんなさい』
と『うわっ!な、何!?』
は『へ・・・?あ、友田さん?』
と『いきなり謝られてびっくりしたわよ』
は『ご、ごめんなさい』
と『いや、良いんだけどさ。なんか緊張してるみたいだけど大丈夫?』
は『は、はい・・・たぶん・・・』
と『本当に?ま、同じ中学出身同士、また三年間よろしくね』
は『は、はい!こちらこそ、よろしくお願いします』
と『あはは・・・委員長、やっぱり緊張してるよ』
は『あ、あの・・・』
と『うん?』
は『何でもないです(もう委員長じゃないんだけどな・・・)』
と『あ、そろそろ行かないと。初日から遅刻なんてカッコ悪いもんね』
は『そうですね、行きましょう』
と『ん〜、委員長さ』
は『はい?』
と『前から言ってるけど、私には普通にタメ口で良いよ?』
は『あ、あの・・・ごめんなさいです』
と『や、怒ってる訳じゃなくてさ。もっと気さくに友ちゃんって呼んでよ?』
は『はい・・・その・・・頑張ります』
と『いや・・・頑張らないでも・・・まぁ、いいか。委員長らしいし』
は『(私らしい・・・か。そんなすぐには自分を変えられないな)』

と『さて、そろそろ始まる時間ね』
ガラガラ
タ「お、間に合った〜、セーフ」
先「セーフじゃねぇ!早く自分のクラスんとこ行け」
タ「サーセン」
と『初日から遅刻ギリギリってすごいわね』
は『後ろに来たみたいですげど・・・』
と『てことは、同じクラスか』
は『みたいですね』
タ「あはは」
は『(変な人・・・遅刻ギリギリで来たのに笑ってます)』

わ『え〜っと、皆さん。私はこのクラスを担当する渡辺です』
わ『ちなみに、去年から先生になったばっかりです』
わ『だから、二年生。皆さんの先輩なのです。えっへん』
シーン
わ『あれれ〜?反応がないよ〜?先生悲しいなぁ』
シーン
わ『こほん・・・(///。で、では、皆さんの自己紹介を・・・出席番号一番の人から』
は『(落ち着け私。いっぱい練習したから大丈夫)』
わ『あの・・・一番の人?』
は『は、はい!』
ガタッ
わ『じゃ、お願い』
は『(みんなが見てます・・・どうしよう・・・緊張してきました・・・)』
わ『あれれ〜?どしたのかな〜?』
は『あ、あの・・・わ・・・たは・・・お、おと・・・音にゃし・・・遥・・・です』
シーン
は『(ふぇぇ・・・恥ずかしいです・・・)』
タ「ぷっ・・・あはは・・・」
は『・・・え?』
タ「音にゃしって・・・あはは・・・どんだけ噛んでるんだよ・・・あははは」
は『あ、あの・・・』
タ「あはは・・・やっべ、腹いてぇ・・・あはは・・・」
は『(ふぇぇ・・・クラス中に笑われています・・・)』
わ『あはは、皆さん、笑っちゃダメですよ。では・・・ふふふ・・・次の人』
男「あはは・・・か、加藤です。出身中学は―」
は『(はぁ・・・最悪のスタートです・・・はぅぅ・・・)』

わ『はい、では次の人』
は『(あ・・・さっき私を笑った人・・・)』
タ「はい!別府タカシです。出身は尾布西中です」
は『・・・』
タ「よろしく・・・お願いします(ニコリ」
は『(い、いまこっち見て・・・笑った?)』

キーンコーンカーンコーン
わ『自己紹介も終わったところで調度チャイムですね。次は委員を決めるので、どれが良いか選んどいてね』
は『はぁ・・・』
タ「あの・・・」
は『は、はい・・・な、何でしょう?』
タ「いや・・・あのさ・・・さっきはゴメン」
は『・・・』
タ「その・・・なんかツボに入っちゃって、笑いが堪えられなくてさ」
は『いえ・・・その・・・』
と『委員長!もっとガツンって言ってやんなよ』
は『友田さん・・・』
タ「ん?委員長?」
と『え?あー、この娘の中学のときのあだ名よ。3年間ずっとクラス委員長だったから』
タ「そうなんだ。すごいね」
は『す、すごくないです・・・全然・・・』
と『それよりも!えっと・・・?』
タ「別府です」
と『別府君。あれは酷いじゃないの?』
タ「や、だから謝りに来たんだって」
と『委員長からも何か言ってやりな?最初が肝心なんだから』
は『あ、あの・・・べ、別に・・・良いです・・・わざとじゃないんですし』
と『もう・・・そういう態度だと、後々までずっと舐められっぱなしよ?』
は『(やっぱり・・・そうですよね・・・変われる訳・・・ないですよね)』
タ「あ、あのさ」
ガラガラ
わ『はーい、休憩時間お終いですよ〜。席に着いちゃって〜』
タ「・・・」

わ『えっと、まずはクラス委員長を決めます。そしたら、あとはその人にお任せして、私はのんびり』
シーン
わ『じょ、冗談ですよ、やだなぁ・・・。で、では、委員長をやりたい人〜・・・って居るわけないよね』
タ「はい」
わ『お・・・別府君?』
タ「あ、いや、俺がやりたい訳じゃなくて。推薦したいんです」
わ『推薦?』
タ「中学時代、ずっと委員長を歴任していたつわものがいるんです」
わ『お〜、そうなんですか。で、その人は?』
タ「音無さんです」
は『ふぇ・・・?わ、私・・・?』
わ『じゃぁ、音無さんにお願いしちゃっても良いかな?』
は『え・・・あの・・・えっと・・・』
わ『他に人がいないから・・・やってくれると先生嬉しいなぁ』
は『・・・は、はい』
わ『やった!』
は『(はぁ・・・高校生になっても、やっぱり委員長やらされちゃうのか・・・)』
と『先生、そんなので決めて良いんですか?』
わ『良いの良いの。決まれば何だって』
と『はぁ・・・。別府君、推薦したんだから副委員長やるわよね?』
タ「え?いや・・・それは・・・」
わ『あ、それは良い考えです。ナイスアイディ〜ア〜です。決まり決まり〜パチパチ〜』
タ「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
と『自業自得でしょ?』
タ「そんなぁ〜・・・」

タ「えっと・・・つまり委員長やりたくてやってた訳じゃないの?」
と『あったりまえでしょ!どこの世界にやりたがる人がいるのよ』
は『・・・』
タ「あちゃ・・・好きそうだから推薦したのに」
は『・・・』
タ「あ、あのさ・・・委員長、ゴメンね?」
は『もう良いです・・・もう・・・ぐすっ・・・』
タ「わっ、ゴメンって」
と『あーあ・・・泣かせちゃった。私し〜らない』
タ「ちょっと待っ・・・友田さん」
は『高校生になって・・・ぐすっ・・・違う自分になりたかったのに・・・ぐすっ・・・変われないです』
タ「あ、あのさ・・・そのままじゃダメなの?」
は『こんな内気で・・・ぐすっ・・・それでイジメられて・・・そんな自分なんて大ッ嫌いです』
タ「委員長・・・」
は『もう、放っておいて下さい!私なんて、私なんて・・・ふぇぇぇぇん』
タ「・・・」
なでなで
は『ふぇ・・・?』
タ「あ、こうやって撫でられると、何か落ち着かない?」
は『・・・(コクン』
タ「内気でも何でもさ・・・良いじゃない?」
は『嫌です・・・いい事なんて全然・・・』
タ「委員長は委員長だもん。だから・・・そんな自分も好きになってあげないと」
は『別府君はそいう性格だから、私の気持ちが分からないんです』
タ「・・・俺も昔はイジメられててさ。で、今の自分は本当の自分じゃないって逃げてたんだ」
は『え?』
タ「でもね、自分が自分を好きになってあげないと、人から好かれる事なんてないんだって」
は『・・・』
タ「まぁ、半分は漫画とかの受け売りだけどさ」
は『ま、漫画って・・・真面目に聞いて損しました』
タ「いや、でも、本当の事だと思うんだよ。で、自分を変えるんじゃなくて、好きになるようにしたのさ」
は『自分を・・・好きに・・・?』
タ「そしたら、ちょっとずつ変わって行ったんだよ。だから委員長も、自分の事好きになってみたら?」
は『・・・』
タ「ね?(ニッコリ」
は『(ふぇぇ・・・何でしょうこの気持ち・・・すっごく・・・ドキドキしてきました・・・)』
タ「どうしたの?顔、赤いけど?」
は『ふぇ?あ、その・・・な、何でもないですっ』
タ「ちょ、大丈夫かよ?」
は『(はぅぅ・・・自分じゃなくて・・・べ、別府君の事・・・好きになっちゃったかもです////)』
タ「お、おい・・・ちょっと・・・」
は『べ、別府君みたいな・・・いい加減で変な人のいう事なんて・・・し、信じませんから!』
タ「はい?」
は『(わ、私、何言ってるんだろう・・・そういう事が言いたいんじゃないのに・・・)』
タ「そ、そっか・・・まぁ、今日あったばっかりのだしな。信用ねーのもしょうがないか」
は『別府君の場合は、昔からの知り合いでも信じる気になれません』
タ「え・・・案外ストレートに物言うんだね・・・さっきと大違い」
は『(違うのに〜〜〜・・・助言してくれてありがとうって言わなきゃなのに・・・)』
タ「あはは、嫌われちゃった・・・かな?」
は『も、元々・・・好きでも何でもないですし・・・』
タ「その・・・ゴメン」
は『わ、笑いものにされるし・・・委員長やらされるし・・・最低です』
タ「だからゴメンって」
は『謝って済む問題じゃないです』
タ「じゃ、じゃぁ・・・帰りにパフェとかクレープとか奢るから・・・それでどう?」
は『・・・え?』
タ「だから、何か奢るから・・・それで許して?」
は『えっと・・・つまり・・・それって・・・一緒に帰るって事です・・・か?』
タ「うん、そうなる・・・かな?」
は『(嘘・・・こんな風に・・・男の人から誘われるなんて・・・わ、私が!?)』
タ「ダメ・・・かな?」
は『が、学校帰りに寄り道は良くないですよ?』
タ「分かってるけど、なんかお詫びがしたいから」
は『それに・・・別府君とだなんて・・・』
タ「だ、だよね?あはは・・・俺、何言ってるんだろ」
は『で、でも・・・委員長と副委員長ですし・・・親睦を深める必要もあるというか・・・』
タ「え?」
は『その・・・本当は嫌ですけど・・・しょ、しょうがなく・・・行ってあげなくもない・・・です(///』
タ「マジで?やった!!!」
は『い、言っておきますけど、あくまでもお詫びと親睦が目的ですからね?』
タ「うんうん、分かってるって」
は『で、では・・・放課後に・・・(////』


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