その20

−冬休み最終日−

は『はぁ・・・今日で冬休みも終わりですね』
タ「明日も休みだったらなぁ・・・土日に繋がって、すごく得した気分になるのにな」
は『学校には行かないといけないんですから、ぼやいてもしょうがないですよ?』
タ「まぁねぇ・・・」
は『私としては、タカシさんとダラダラした生活にピリオドが打てる訳なので、嬉しい限りですが』
タ「でも、それなりに楽しかったでしょ?」
は『え?・・・全然です(///』
タ「顔を赤くしながら否定したって、説得力無いぞ?」
は『こ、こっち見ないで下さい!もう・・・』
タ「あはは、可愛いな」
は『と、とにかくですね、今日呼んだのは他でもないです』
タ「何かしたいことでもあるの?」
は『その・・・えっと・・・』
タ「ん?」
は『こ、これを!』
タ「何この・・・紙束?」
は『よ、読んでください』
タ「・・・小説か?」
は『だ、黙って読んでください!』
タ「いや、ちょっとくらい説明してくれても」
は『きょ、今日からビシッとした生活に戻すために、タカシさんには読書をしてもらいます』
タ「えー?明日からやるから、もうすこしダラダラしたい」
は『ダメです。明日から、と言って先に延ばしてると、いつまで経ってもやらないじゃないですか?』
タ「いや、大丈夫だって」
は『いーえ、認めません。却下です』
タ「つか、何で読書なの?他にも何かあるんじゃ」
は『た、タカシさんにとっては勉強も読書も同じなんです。それとも、普通に勉強しますか?』
タ「分かった分かった。大人しく読むよ・・・はぁ」
は『ちゃ、ちゃんと・・・隅々まで読んでくださいね?後で感想聞きますからね?』
タ「へいへい・・・」
は『・・・』
タ「あのさ・・・、これって」
は『喋っちゃダメです!』
タ「何で?」
は『質問その他は読んだ後に受け付けます。今はただ・・・黙って読んでください』
タ「・・・うん」

は『あ、あの・・・どこまで行きました?もう、ゴールデンウィークくらいまで?』
タ「いや、まだだけど・・・」
は『そ、そうですか・・・』
タ「・・・」
は『・・・』
タ「・・・」
は『・・・』
タ「あのさ・・・」
は『質問はダメですよ』
タ「・・・じっと見詰められてると、すごく読みにくいんですが」
は『ふぇ?だ、誰も見詰めてなんていません!(///』
タ「そうか?」
は『た、タカシさんを見詰めても面白くも何ともないですから(///』
タ「遥も何か読んでてよ。終わったら声かけるから」
は『だ、ダメです。目を離したら、何枚か飛ばして読むに決まってますから』
タ「それって・・・つまり、読み終わるまで、ずっと俺を見てるって事?」
は『え?ま、まぁ・・・不本意ながら』
タ「照れちゃうな」
は『な、何を考えてるんですか!これは、あくまでも監視してるだけですからね?(///』
タ「冗談冗談・・・でも、ちょっと集中させてくれないかな?」
は『ちゃんと読むって約束しますか?』
タ「当たり前だろ?ちょっとくらい、信じてよ」
は『じゃ、じゃぁ・・・分かりました』
タ「・・・」
は『(はぁ・・・ドキドキしちゃいます・・・落ち着かないです・・・)』

タ「ん〜〜〜・・・ふぁぁ・・・終わった」
は『お、お疲れ様でした。で、どうでした?』
タ「面白かったよ」
は『具体的には?』
タ「好きになる男がさ・・・これでもかって位鈍感でさ。気づけよ!って突っ込み入れたくなった」
は『他には?』
タ「まぁ、あとは主役の女の子だね。もっと素直になればいいのにってさ」
は『そ、それはタカシさんが悪いんじゃないですか?』
タ「は?」
は『い、いえ・・・何でもないです』
タ「質問・・・良いかな?」
は『は、はい』
タ「まず・・・この作者の名前は?」
は『・・・な、内緒です』
タ「この主人公と周りの連中のモデルは?」
は『・・・そ、それも秘密です』
タ「遥・・・ちゃんと読んだんだから、話してよ」
は『・・・』
タ「な?」
は『わ、笑わないで・・・下さいね?』
タ「うん」
は『それは・・・私の話なんです』
タ「だろうね」
は『で、でも、お話として面白いようにアレンジして書いてますよ?』
タ「事実だけなら、ちょっとアレだからな」
は『が、学校で・・・タカシさんと喧嘩しちゃったリとかしたときに・・・本当はこんなじゃないって
お互いこういう気持ちで・・・ちょっとすれ違っただけって・・・そう思って書いてたんです』
タ「確かに、身に覚えのある展開だなって思ってたけど」
は『お、可笑しいですよね。あはは・・・』
タ「すると、この鈍感男は俺か?」
は『もちろん』
タ「ちょっと脚色しすぎだろ〜」
は『そんな事ないですよ?これでも控えた位です』
タ「ちょ、酷ぇな・・・」
は『全然酷くないですっ』
タ「でもさ、これ先のことまで書いてあるよ?卒業して結婚して・・・とか」
は『今より先は・・・つ、辻褄を合わせるためで、希望とかじゃないですからね?(///』
タ「へぇ〜・・・子供は2人欲しいのか」
は『で、ですから、違います!(///』
タ「体験を元に書いてたなら、これからの話もそうやって書けば良かったんじゃない?」
は『最初はそう思ってたんですが・・・書いてるうちに、やっぱり自分とは違うと思ったんです』
タ「・・・」
は『偉い先生の言葉なんですが、物語を作る事は誰でも出来る。ただ、終わりまで書ききるのが難しいって』
タ「えっと・・・?」
は『ですからお話の中の自分達にも、ちゃんと相応しい結末を書いてあげるべきかと思って』
タ「なるほどね」
は『・・・私、本気で目指してみようと思うんです』
タ「物書き?」
は『はい。自分で言うのもなんですが、結構鈍くさいので・・・普通のお仕事は上手く行かない気がして。
それなら、好きなこと・・・夢・・・かな?頑張ってみようかと思うんですよ』
タ「そっか・・・良いんじゃないか?応援するよ」
は『タカシさんに応援されたら、やる気がなくります』
タ「そうかよ」
は『そ、それで・・・ですね・・・』
タ「うん」
は『今後、私が書いたら・・・また読ませてあげます』
タ「え・・・?いや、いいよ・・・」
は『ダメです。私は人に読んでもらう練習。タカシさんは小説を読む練習。一石二鳥です』
タ「え〜、そういうのは持ち込んだりするもんじゃないの?」
は『いきなり持ち込んでもダメに決まってるじゃないですか?まずは、何個か書いてですね』
タ「はいはい、わかったよ。読むよ・・・全部読むから」
は『も、もちろん・・・タダでとは言いませんから』
タ「え?・・・ん!?」
ちゅ・・・
は『ふはっ・・・どうです?(///』
タ「しゃーねーな、可愛い彼女の為に俺も頑張るか」
は『こ、こんな事でやる気出すなんて、やっぱりタカシさんは単純ですね(///』
タ「・・・」
は『どうしたんですか?』
タ「いや、ちょっと真面目に・・・俺もやるかって思ってね」
は『気合入りすぎじゃないですか?長続きしませんよ?』
タ「あはは、大丈夫。ちょっと・・・俺も進む道が何となく見えたって所?」
は『良く分からないですけど・・・ま、タカシさんも頑張ってくださいね?』
タ「もちろん。遥が売れない時も支えられるようにしないといけないしな」
は『な・・・は、恥ずかしい事言わないで下さい!ばか(///』
タ「あはは、ど〜んとまかせておけって」
は『あ、あの・・・遅くなりましたけど』
タ「まだ何かあるの?」

は『その・・・最後まで読んでくれて・・・あ、ありがとうです(///』


−終わり−


前へ  / トップへ
inserted by FC2 system