その2

かなみ『さてと、修行を始める前に一つ言っておくことがあります。』
俺「…なんすか?」
かなみ『…正直、一ヶ月で出来る事は限られているわ。荒巻に勝つには、時間が絶対的に足りません。』
俺「勝てるようにしてくれるんじゃないんすか?」
かなみ『勝てるわ。…でも、それは死ぬほどの努力が必要です。…場合によっては本当に命を落とすかもしれないわ。』
俺「かまいません。耐えて見せます。」
かなみ『そう。ちゃんと覚悟はできてるのね。ならばよし。…これからは私を「師匠」と呼びなさい!』
俺「はい!師匠!!」
かなみ『いや、本気にしなくてもいいんだけど……まあいいや。それじゃはじめましょうか!』
俺「オス!!」
かなみ『はい、それじゃあまずは反射神経を向上させる訓練です。』
俺「……あの、反射神経と木刀に何の関係が…」
かなみ『いきなり真剣はきついでしょ?』
俺「え、はぁ…」
かなみ『さあ白刃取りしなさい!いくわよっ!!(びゅんっ!)』
俺「うわあああっ!」
かなみ『ちょっと、避けたら意味無いでしょう?』
俺「ていうか、しんじゃいますって!木刀危険!」
かなみ『みことは箸でとめるわよ?』
俺「う……なんて人間離れした人だ…」
かなみ『これでもまだ甘いほうなのよ。1週間で真剣を取れるようになりなさいよ!』
俺「うぅぅ…畜生!こうなりゃやけだ!!」

〜一方その頃〜
尊親衛隊員「ツンデレに栄光…あ…れ…あwせdrftgyみことlp;」
荒巻「どうだみこと。俺は強いだろう?」
みこと『……こんな…馬鹿どもを倒してなんになる!これはただの弱いものいじめだろう!?』
荒巻「俺に歯向かうからだ。弱いくせにな。……それと、口に気をつけろ。」

みこと『………!!………はい……』
荒巻「はははははは!それでいい!女はそうやってしおらしくしていないとなぁ!!」
みこと(やだ…こんなの…いやだ……タカシ……助けて……)


〜一週間後〜
俺「うぅ…やっと昼飯だ…」
山田「大丈夫か?この一週間、死にそうだぜ、お前。」
俺「大丈夫だ……かなみせんせ…い、いや、師匠の修行はさすがにきついが……」
山田「強くなってんのか、お前。」
俺「わかんねぇ…少なくとも師匠には手も脚も出なかった…」
山田「あのかなみ先生がねぇ……おい、これ食うか?疲れにきくそうだぜ。」
俺「すまねぇ山田……」
山田「いいってことよ。俺にゃこんな事くらいしかできねーが…」
俺「マジ助かる……でもなんで…」
山田「しらねーのか?ひでぇぜ、荒巻のやつ。坂本先輩を下僕かなんかと勘違いしてやがる。皆きれかけてんだよ。アイツの横暴さにな。」
俺「…………」
山田「実際キレた3年が20人かかりでシメにいったらしいが……結果は……」
俺「みことさんより強いんだ。当然だろうな。」
山田「だからよ。これはもうお前だけの問題じゃねーんだよ。学校中が期待してる。お前が勝つことにな。」
俺「…………」
山田「みんな荒巻がおっかねーからさ…口に出して応援はできねーけど…」
俺「俺には、学校中の期待を背負うような事はできねーよ。」
山田「でもよ……!!」
俺「俺は荒巻を倒して…みことさんを俺のものにする。ただそれだけだ。他の皆の事なんか、考えらんねーよ。」
山田「………でも、勝つんだろ?」
俺「………もちろんだ……!!」
山田「……頼んだぜ。」
俺「しらねーってば。…メシ、ありがとな。…そんじゃ、昼の修行があっからよ。(すたすた)」
山田「マジで…頼む……みことさんを……助けてやってくれ……!!」

かなみ『それじゃあ真剣でいくわよー』
俺「…来てください!」
かなみ『……………(びゅぁあああっ!)』
俺(心を落ち着けろ……木刀は止めた……よく見て……)
俺「おおわっ!やっぱ無理!!(ひょいっ)」
かなみ『も〜。木刀ならできたでしょう?要領は似たようなものなのに。』
俺「でも、やっぱ真剣は怖いですよ。」
かなみ『そんなこと言ってたら荒巻には勝てないわよ!もう時間はないのよ!!』
俺「く……」
かなみ『みことの為に命を懸けるんじゃなかったの?…根性無し!!』
俺「………!!」

〜回想〜
みこと『まったく、おまえはこんじょうなしだな。』
俺「でも…ちょっとはがんばったじゃないかぁ…」
みこと『まだまだだ。あんなていどでがんばっただなんて、おこがましいぞ。』
俺「うぅ……ぐす…」
みこと『なくな、まったく……もっとがんばれよ、タカシ。わたしがついているからな…(なでなで)』
俺「みことおねえちゃん……ぼく、がんばるよ……!!」
〜回想おわり〜

俺(根性無し…か……みことさんには小さい頃から何度も言われたな……俺は…あの頃からちっとも…変わってないんだな…)
俺(でも…変わる…俺は…みことさんを守れる強い男に……!!)
かなみ『あ、馬鹿!ぼさっとするな!避けて!!(びゅあああっ!)』
俺「………………(す…ぱしーん!)」
かなみ『え……止めた……!?目、つぶったままで……!?』
俺「へ?…あ、あれ?できた…?うわはははは!できた!できました師匠!!」
かなみ『え…ええ…って、調子に乗るな馬鹿!もう一回今のやってみなさい!!(びゅぁっ!)』
俺「おわああっ!やっぱこえええっ!」
かなみ『だから避けるな!さっきのはまぐれなの!?』
俺「そんなこといわれても…無我夢中で……」
かなみ『はぁ……まぁ合格にしときましょう。はい、ランニング!VIP駅まで走って来い!ダッシュで!30分ね!』
俺「ちょwwww10キロ以上ありますけど…」
かなみ『いいから行って来い馬鹿弟子が!』
俺「ひいいいっ!行ってきます!」

かなみ『……無我夢中とはいえ、目をつぶって白刃取りなんて…私にもできないことを……こりゃあ、物凄い素質の持ち主かも……』


〜駅前〜
俺「ゼェゼェ…むちゃくちゃ言いすぎ…ひぃふぅ……」
みこと『あ………』
俺「え…み、みことさん……」
みこと『な、なんだ。ランニングか?』
俺「え、ええ、まぁ。」
みこと『そうか。…頑張れよ。』
俺「は、はい。……あの!」
みこと『…なんだ?』
俺「えと…荒巻は……?」
みこと『………今、ちょっと用事だと……』
俺「そうですか……」
みこと『わ、私は、幸せだぞ?私より強い男と付き合えてな。』
俺「………」
みこと『だから、もうよせ。…かなみ先生に師事しているのは、聞いているぞ。』
俺「俺…」
みこと『無駄だよ。そんなことしても。…お前何かに、勝てるわけが無い。』
俺「でも…やってみなくちゃ…!!」
みこと『無駄だと言っている!次やったら、お前は死ぬぞ?無駄死にだ。やめるんだ。』

俺「やめませんよ。俺、みことさんのこと諦められないですから。」
みこと『馬鹿を言うな!…私の事など忘れろ!』
俺「いやだ!ずっと…ずっと好きだったんだ!こんな事で…」
みこと『馬鹿…お前は…なんて馬鹿なんだ……殺されるぞ……』
俺「愛の為に戦って死ぬなら、本望です。」
みこと『本当の大馬鹿だお前は!いいか、大体お前は……』
荒巻「どうしたみこと?……なんだお前は?」
俺「荒巻………!!」
荒巻「何故俺の名前をしっている?…ふむ、同じ学校か。」
俺「………!!」
荒巻「俺の女をナンパとは、いい度胸をしている。…殺してやろうか。」
みこと『な、なあに、今こっぴどくフッテやったところです。わざわざそんな事、する必要はありません…』
荒巻「そうか?まぁ、衝心の負け犬を殴ったところで意味はないからな。…いこうか、みこと。」
みこと『………はい………』
俺「ちょ…みことさん……!」
みこと『ついてくるな、気持ち悪い。』
俺「……みことさん………」

みこと(すまないタカシ…でも…こうすればお前は諦めてくれるだろう?……荒巻は強い……お前が傷つく姿は…見たくないんだ……ごめん……ごめんね、タカシ……)

俺「荒巻の野郎…俺の事、覚えてなかった…………糞っ…!ぜってー強くなってやる……!!待ってろよ、みことさん…!!」


決戦の日まで…あと、3週間………


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