その4

山田「かなみ先生…命に別状は無くてよかったな……」
俺「ああ……でも、入院しちまった……」
山田「……強いんだな、荒巻のやつ……」
俺「荒巻には…師匠ですら敵わなかった…もう俺…どうしたら……」
山田「タカシ……」
俺「ははは…もう無理だよ。やっぱり俺にはみことさんを守る事なんか…」
山田「馬鹿言うな!それじゃぁ、坂本先輩はどうなっちまうんだよ!!」
俺「無理だよ!…一ヶ月修行したくらいじゃ到底追いつけねぇ…アイツを倒すなんて、無理なんだ!」
山田「お前………」
俺「もう嫌なんだ!おっかねぇよ!…よく考えてみりゃ、別に女はみことさんだけじゃねーし、こだわる必要もねーだろ?」
山田「くっ……この……馬鹿野郎!!(ぶんっ)」
俺「(す…)やめてよね。俺が本気だしたら山田が俺にかなうわけねーだろ?」
山田「く……!!てめぇ!!」
俺「とにかく俺はもう諦める。おっかねーことはもうゴメンだ。俺は普通の学生ライフを送るぜ。」
山田「畜生…!!見損なったぜ…!お前なら…お前ならみことさんを助けられると思ったのによ!!」
俺「………お前がやれよ。できるんならな!!」
山田「………!!」
俺「結局…強い奴には何やっても勝てないんだよ………(すたすた…)」
山田「畜生…!!畜生……!!俺に力があれば……!!ちくしょぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおっ!!」

〜翌日〜
みこと『………タカシ……』
俺「あ……い、いやぁ、坂本先輩!今日もいい天気っすね!」
みこと『え……?』
俺「あ、荒巻さんは一緒じゃないんですか?いやぁ、昨日は申し訳ないことしたなぁって思って、謝りたいんすけど…」
みこと『…………』
俺「ほんとお似合いっすよ、二人とも!あははははは!こそこそまわりうろついて、申し訳なかったっす。」
みこと『…そうだな…迷惑だったぞ。』

俺「荒巻さんにも、そう伝えてください!俺、もう邪魔しませんから…って!」
みこと『……そうか、やっと諦める気になったか。』
俺「…ええ。これからは変に突っ張らず、長いものに巻かれるようにしますよw」
みこと『そうか…』
俺「と、いうわけで荒巻さんの舎弟にして貰えたらうれしいな〜なんて、ははははは…」
みこと『………!!』
俺「ほら、どう背伸びしてもあの人には敵わねぇ。だから…』
みこと『馬鹿者!!』
俺「え…先輩…?」
みこと『貴様……どこまで負け犬なんだ!?私の為に…努力してきたんじゃなかったのか!?』
俺「やだなぁ、俺、利口になっただけですよ。もうね、実力に差がありすぎです。努力しても、無駄無駄www」
みこと『馬鹿……お前は………お前も……そうやって……逃げるのか……!?(ぽろぽろ)』
俺「逃げるしか…ないでしょう。…あんなバケモノ、どうやってやっつけろってんですか。無茶言わないでくださいよ。」
みこと『……そうだな、お前は昔から…そういう奴だった。根性無し…!!』
俺「…………!!」
みこと『でも……私の知ってる……私の好きだったタカシは……いざというときには…身を挺して立ち向かう勇気のある男だった……』
俺「そんなの、なんの得にもなりませんからね。…先輩には悪いっすけど、もう俺は……」
みこと『そうか!…ならばいい!私の事など構わず、好きに生きればいいじゃないか!!』
俺「だからそうするって言ってんでしょう!?しつこいんですよ!」
みこと『……タカシ………!』
俺「今更…どうしようもないじゃないっすか……」
みこと『……信じて、いたのに……見損なった……ぐす……(たたたっ)』
俺「あ、センパーイ!…………………畜生……俺は……ぐす…最低の男だ……えぐ……」

男子「オイ聞いたか、あの話。」
女子「聞いた聞いた。一年の山田が荒巻に果たし状叩きつけたんでしょ?」
男子「無茶するよなぁ……勝てるわけねーのに…」
女子「うん……」

俺「や、山田が……!?まさか、アイツ……!!」

〜道場〜
荒巻「てめえか?山田ってのは。」
山田「ああ。…ぶっ殺してやる。」
荒巻「そういって何人の奴が病院行ったかしってんのか?」
山田「知ってるさ。…だが、みことさんのためにもテメーはここでぶっ潰す!!」
荒巻「言ってろ…糞が。」
山田「うわああああああっ!!(ごっ)」
荒巻「けっ…クズが…!!」


俺「ここか…!?……山田!!しっかりしろ、山田ぁ!!!」
山田「う、うぅ……なんだ、腰抜け野郎か……」
俺「馬鹿野郎!…テメェ、何してんだよ!殺されてーのか!?」
山田「うるせー…よ……腰抜け……オメーに…指図される言われは…ねぇ……」
俺「まってろ、すぐ病院に連れてってやっからな。」
山田「余計な事すんな!…まだ、奴を殴ってねぇ……(よろ…)」
俺「何言ってんだ、馬鹿かお前……」
荒巻「まだ立つのかよ。そろそろ殺してやっか?」
山田「へへ…できるもんなら…やってみやがれ……!」
荒巻「お望みどうりにしてやんよぉっ!!(ごっ…)」

俺(何だよ…やめろよ……そんな…痛い思いして何になるんだよ…!)

山田「げぶはぁぁぁっ!?ま、まだだぜ…まだ死んでねぇ!!」
荒巻「けっ…よえぇくせに…よ!(ごっ)」

俺(山田…お前……なんでそんなに立ち向かえるんだよ……勝負は決まりきってるじゃねーかよ……)

山田「ぐへあぁああっ!げほっ…!げほげほげほっ!!(←吐血)」
荒巻「もうよしとけよ。マジで死ぬぜ?」

山田「殺せよ…!ころしゃあお前は刑務所行きだ……!!」
荒巻「な……?」
山田「そうすりゃ…みことさんから……オメーを引き離せる……!!」
荒巻「………こ、この……くそがぁぁぁぁぁぁっ!!」

俺(山田…!山田…!!そこまで…そこまで…できるのかよ……お前は…………!!!)
俺(畜生…畜生…!!俺は…俺は…!!師匠、みことさん…!!俺は……!!)

荒巻「マジでこれでとどめだ。…死ね…!!」
山田「………みこと……幸せに……!(す…)」
俺「待ちやがれ!!」
荒巻「………なんだ、コラ。またテメェか?」
俺「…山田を離せ。」
荒巻「おお。離してやんよ。(がすっ)これでいいか?」
山田「ぐはぁっ……!」
俺「山田!!…荒巻、テメェ……!!」
荒巻「まだ自分の立場がよくわかってねぇみたいだな。昨日こてんぱんにされただけじゃ学習できねーか?」
俺「…生憎、俺はアホなんでね…!!(ごっ)」
荒巻「けっ……おそいぜ。(ひゅっ)」
俺(ち…!やっぱはぇぇ…!!未完成だけど…俺の鋼気功で…耐えられるか!?)
荒巻「マジでテメーは死ねやぁっ!(がっきぃぃぃん!)……な、なに!?」
俺「へへへ…きかねーよ……!!」
荒巻「へぇ…鋼気功かよ…昨日の女に教わったのか?…だが、あめえんだよ!!(ひゅばっ!どん!どん!)」
俺「うぐほぁっ!…へ、へへ…きか…ねーよ…」
荒巻「糞が…舐めてんじゃねーぞコラァッ!!(どん!どん!)」

俺「うぐっ!ぐああっ!!(やべぇ……強すぎる……!鋼気功を維持するだけでいっぱいいっぱいだ……!)」
荒巻「やっぱ付け焼刃じゃ無理だよなぁ!しんどけや、糞が!!(ひゅっ……ばきっぃぃぃぃぃっ!!)」
俺「ぐわああああああああああっ!!!(ずっきゃぁぁぁぁん…!!)」
荒巻「はぁ…はぁ…雑魚が…調子に乗ってんじゃねーよ……はぁ…はぁ……」
俺「待てよ……!まだ…勝負はついてねぇ……!!」
荒巻「へ…!もう鋼気功を維持する事すら出来ねー癖によ……(ひゅっ……ばきどかぐしゃ!)」
俺「ぐあああっ!?ぎゃああああっ!!…く……それでも…負けられねえんだよ……!!」
荒巻「健気な事だな!なぜそこまでして戦う!」
俺「…俺は…友を…師匠を……!!そして、愛する人を裏切っちまった……!!これは…その……ケジメなんだよぉっ!!」
荒巻「自殺だな、そりゃ…しねやあぁぁぁっ!!」

山田「うぅ…た、タカシ………!!…みことさんを…よんでこなきゃ…!アイツ…マジで…殺されちまう…!(ずるっ…ずるっ…)」


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