「かなみよ。お前はもっと淑女として振る舞おうとは思わんのか」
「父さままでそんなことを言うわけ? もううんざりよ」
「しかしだな。お前は未来の王女なのだぞ。それをしっかり自覚……」
「はいはい。私勉強があるから行くわね」
「こら、待たんか、かなみ! ……まったく」


「姫様。陛下からお召し物が届いておりますぞ」
「ドレスじゃない! もう、イヤだって言ったのに! 絶対着ないからね!」
「姫様……どうかじいのためと思って……」
「着ません! 出てった出てった!」
「姫様ぁ〜」
「こんなヒラヒラした服……」
(でも、こういう服を着たら、タカシは何て言うかな……)
「…………」
ゴソゴソ……。

コンコン
「姫。失礼致します」

「あ」
「ぁ……」
「失礼致しました、レディ」
「レディって、ちょっと待ちなさいよタカシ!」
「姫……?」
「そうよ。来たなり帰るなんて失礼じゃない」
「いえ、てっきり部屋を間違えたものと……」
「…………どうせ似合わないわよ」
「とんでもない! よくお似合いですよ、姫」
「そ、そう……? 綺麗?」
「はい。とてもお美しくあらせられます」
(タカシが……私を美しいって……)
「きっと貴族の嫡男の方々は姫に釘付けでございましょう」
「…………はぁ。これだもんなぁ……」

「姫様……おいたわしや……」


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