その5

−入学式翌日−

は『はぁ・・・』
母『おはよう、遥。早いわね』
は『お母さん、おはよう』
母『ん・・・朝からクッキー作りとは、気合い入ってるわね』
は『別に・・・ただ、きっかけになればって思って』
母『へぇ〜、関心関心。友達いっぱい作る気になったんだ』
は『違うの。同じクラスに別府君って人がいてね』
母『あら、遥の口から男の子の名前がでるなんて小学校以来かしら』
は『お母さん』
母『あ、ごめんなさい。続けて』
は『でね・・・最初はいい加減な人だなって思ってたの』
母『ほほう』
は『自己紹介したら笑い者にするし、委員長にさせられるし、とにかく最低な人』
母『また委員長やるんだ。ついてないわね』
は『まったく。で、別府君が副委員長になって…仲良くしなきゃって思ってたんだけど』
母『喧嘩・・・しちゃったの?』
は『私が一方的に酷い事言っちゃったの』
母『で、仲直りにクッキーって訳ね』
は『うん。でも、ムダかも。許してくれるわけないもん』
母『ん〜・・・でも、遥は別府君の事好きなんでしょ?』
は『え・・・?ち、違う、そんな訳ないよ』
母『昔からそうだもん。変な所で素直じゃなくてねぇ』
は『私は充分素直です』
母『彼氏のひとりでも作ってお母さんを安心させて欲しいわ』
は『だから、別府君の事は好きとかじゃなくて、仲直りしたいだけだってば』
母『その別府君を彼氏にしろなんて言ってないわよ?』
は『もう!お母さん!』
母『はいはい、邪魔しないから。ついでに朝ご飯も作ってね』

207 名前:委員長と冬休み その5 2/5[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20:29:42.79 ID:tShQfFrn0
は『わ、分かりました・・・ふ〜んだ』
母『お母さんは二度寝しよっと』
バタン
は『仲直りしたいだけ。好きとか考えるから、変な事言っちゃうんだもん』

は『(もう時間なのに、別府君来ないです)』
キーンコーンカーンコーン
は『(チャイム・・・今日お休み!?まさか、昨日ので・・・?)』
ガラガラ
タ「お、セーフ。先生いないな」
わ『別府君、明日はもう少し早くこようね?』
タ「うわっ、先生!」
わ『はーい、皆さんも席について〜』
は『(良かった・・・来てくれたんだ。よし!頑張って仲直りしちゃいます)』

は『別府君・・・』
タ「あ、委員長」
は『その・・・えっと・・・(昨日のこと、謝らなきゃ)』
タ「どうしたの?」
は『え?あ・・・にゅ、入学早々に遅刻ですか?』
タ「いや、間に合ったから」
は『チャイムの後に入ってきたら遅刻です』
タ「厳しいな・・・」
は『普通です。別府君がだらしないだけです』
タ「あはは、明日は大丈夫だよ」
は『信じられません』
タ「いや、今日はさ・・・ちょっと朝寄るところがあったから」
は『寄るところ・・・ですか?』
タ「うん・・・はい、これ」

208 名前:委員長と冬休み その5 3/5[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20:30:16.43 ID:tShQfFrn0
は『この箱は・・・?』
タ「開けてみてよ」
は『・・・い、イチゴ大福?』
タ「昨日、美味しい和菓子屋があるって話しただろ?あの後いったら売り切れててさ」
は『・・・』
タ「今日の帰りも行ったら同じだろうからと思って、朝買いに行ってきたんだ」
は『で、でも・・・こんな時間に?』
タ「おう、開店前だったよ。でも、どうせ作ってるんだろうと思って、土下座して売ってもらったんだ」
は『な、なんで・・・そんな事を?』
タ「委員長に悪い事しちゃったから・・・どうしたら許してもらえるか考えててさ」
は『え?』
タ「俺、頭悪いから思いつかなくてさ。で、イチゴ大福好きかもって言ってたから・・・どうかなって」
は『・・・』
タ「これで・・・ダメかな?」
は『別府君は・・・本当におバカですね』
タ「それは分かってる」
は『酷い事言ったの私の方なのに・・・私が謝らないといけないのに・・・』
タ「そ、そんな事ないって。悪いのは全部俺だから」
は『ぐすっ・・・そうですよ・・・別府君が悪いんです』
タ「うん・・・」
は『私が、私が謝ろうと思ったのに・・・ぐすっ・・・先に謝っちゃうなんて・・・ぐすっ』
タ「え?」
は『ふぇぇぇん・・・ごめんなさい、ごめんなさい』
タ「ちょ、委員長!?」
と『ちょっと、別府君!朝から何泣かしてるのよ!』
タ「ち、違う!」
は『ぐすっ・・・ひっく・・・別府君が・・・いけないんです・・・ぐすっ』
タ「い、委員長、誤解されるような事言うなよ」
と『で、どうなのよ?』

209 名前:委員長と冬休み その5 4/5[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20:30:50.14 ID:tShQfFrn0
タ「あ〜!委員長、ちょっとこっち来い!」
は『ふぇ・・・?ひゃっ、引っ張らないで下さい(///』
と『ちょ、ちょっと!話は終わってないわよ!』

タ「はぁ・・・はぁ・・・」
は『はぅぅ・・・』
タ「勘弁してよ・・・俺、あのクラスで悪者になったんじゃないか?」
は『あ、あの・・・ごめんなさいです』
タ「で・・・許してくれるんだよね?」
は『ですから、許すも許さないも、私が悪いんです』
タ「いや、俺が悪いんだって。委員長は悪くないから」
は『いーえ、私が悪いんです』
タ「こういうときは、男を悪者にしとけば良いんだよ」
は『よくありません!事実は事実です』
タ「ぐっ・・・委員長、案外頑固だな」
は『だ、誰が頑固なものですか!別府君こそ、ただカッコつけたいだけじゃないですか?』
タ「ンな訳ねーよ!俺はただ、委員長に嫌われたくないだけだ!」
は『わ、私だって別府君と仲良くしたいだけですっ』

タ・は「『え?』」

タ「い、委員長?今なんて?」
は『べ、別府君こそ・・・今なんて言いました?』
タ「嫌・・・俺は・・・嫌われたくないって」
は『そ、そうですか・・・その・・・はい・・・き、嫌いには・・・なってませんから』
タ「委員長は何て言ったの?」
は『わ、私ですか?私は・・・その・・・な、何でもないですっ(///』
タ「えー?俺にだけ言わせてそりゃねーよ」
は『そ、そんなの知りません。別府君が勝手に言っただけです』
タ「そ、そんな〜、あんまりだ」

210 名前:委員長と冬休み その5 5/5[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 20:31:24.06 ID:tShQfFrn0
は『ぷっ・・・あはは・・・』
タ「あはは・・・」
は『何か変な事になっちゃいましたけど・・・これからもよろしくお願いしますね?』
タ「おう、こちらこそ。迷惑一杯掛けるかもしれんけどな」
は『最初から迷惑かけられっぱなしですしね。これから先も、思いやられます』
タ「ま、諦めてくれ」
は『もう〜・・・少しは頑張るとか思わないんですか?』
タ「委員長が面倒みてくれるから、安心感?」
は『あ、甘えてもダメですからね?(///』
タ「なるべく頼らないようにするよ」
は『あ、そうだ・・・はい、これ』
タ「何これ?・・・クッキー?」
は『あ、あの・・・委員長と副委員長が仲悪いのはまずいと思ったので・・・その・・・』
タ「へ〜、手作りか。おいしそう」
は『い、言ってきますけど、仲直りしたいだけですからね?他に他意はありませんからね?』
タ「いただきま〜す・・・もぐもぐ・・・ん、美味しい!美味しいよ、委員長」
は『そ、そんな事言われても、嬉しくなんかないですから(///』
タ「いや、すっごい美味しい。料理とかもできるの?」
は『え?はい・・・よくお手伝いとかしてますから』
タ「そっか。委員長は良いお嫁さんになれるね」
は『だ、誰が別府君なんかと結婚するもんですか!(///』
タ「い、いや・・・一般論っていうか・・・な、なんか思っただけだけど?」
は『う・・・』
タ「もしかして期待しちゃっても・・・?」
は『ち、違います!別府君の事なんて好きじゃないですからぁ〜(///』
と『(な〜んだ、ちゃんと仲直りしてるじゃない。心配して損したわ)』

わ『あれれ〜?音無さんと別府君と友田さんがいないよぉ〜?』


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